アル中病棟入院記238
(人物名はすべて仮名です)・5月17日(月)晴れ「朝日新聞朝刊、ロニー・ジェイムズ・ディオ訃報、享年67歳・胃癌(16日没)」「今日は動きがあわただしい。まず勝浦くんと小林くんの退院があるが、その前の朝食後に坂部が池田くんに冷蔵庫整理を教えていて絶対何かやらかす魂胆だなとの予想通り、尾崎さんの牛乳と大芝くんの紅茶を記名がないからと勝手に捨てていて、当然尾崎さんも大芝くんも憤慨するが坂部はニヤニヤ笑っ...
View Articleアンドレ・ジッド(14)ジッドとジャンル意識(続)
ようやくアンドレ・ジッド(1869~1951)の小説以外の著作について、具体的にご紹介できます。まず劇作家としては、...
View Article偽ムーミン谷のレストラン(56)
それにしてもだ、とムーミンパパは言いました、レストランでまだ良かったよ。これが熟女パブや熟女サロンだった場合どうなっただろう?・ムーミン谷に熟女パブができたそうだよ、とムーミンパパは新聞から顔を上げて、言いました。うむ、やはり熟女パブや熟女サロンではどうもしっくりせん。何だか妙に期待してしまう。いやですよあなた、とムーミンママはまったく無関心な笑顔で合いの手を入れました。それが習慣です。サロンとパブ...
View Article偽ムーミン谷のレストラン(57)
食事に戻る前に、とジャコウネズミ博士、切り抜いたテーブルを戻さなければいかんな。杖を抜くから少し持ち上げてくれんかね?よしきた、とヘムル署長が手を添えました。ひとりで持たん方がいいぞ。ん、なぜだね?結構重いからさ。なあにこの程度大丈夫さ。なら杖を抜くぞ。うわあ、とヘムル署長は落ちたテーブル板もろとも床に叩きつけられました。ほら言わんことじゃない、指が挟まれなかっただけでも幸とすべきじゃろ。博士はさっ...
View ArticleThe Spontaneous Music Ensemble-Karyobin(1968)
ジャズの名盤と言われるものも100枚200枚ではきかないが、内容の良さに加えて歴史的な重要性もあるものは繰り返し聴くほどに発見があり、飽きがこない。音楽に革新性があるからだ。スポンティニアス・ミュージック・アンサンブル『カリョービン』などもそれに当るだろう。簡単にデータを上げると、 The Spontaneaous Music...
View Article偽ムーミン谷のレストラン(58)
ええと続きだったな、どこまで話は進んだっけ?ヘムル署長たちがテーブルを直したところだよ、と偽ムーミン。ほほう、とたちまちムーミンパパは皮肉を浴びせかけました。よそのテーブルのことの方が家族の会話より気にかかるのかね?実は私もさっきから気になっているがね。あちらはなにしろムーミン谷の法を自由にできる方々だし、どさくさまぎれに何やらしてはならないことまでやってらっしゃるご様子だ。しかもいい歳どころか現役...
View ArticleArt Ensemble of Chicago-People in Sorrow(1969)/Les Stances A Sophie (1970)
邦題は『苦悩の人々』。全40分で一曲の大作だが、LP時代は片面に40分は入らないのでA面17分・B面23分のPt.1、Pt.2に分けられていた。60年代ジャズの掉尾を飾る名作とされ、ジャズのグループ表現にまったく新しい発想を持ち込んだバンド初期の代表作とされるがほとんど聴かれていないのは、1988年に日本で初CD化されて以来廃盤だったからだ。今ならまるごと試聴できます。同じ集団即興演奏でも『迦陵頻伽...
View Article偽ムーミン谷のレストラン(59)
ええと続きか、どこまで話は進んだっけ?ヘムル署長たちがのテーブルを直したところだよ、と偽ムーミン。私が怪訝に思うには、とヘムレンさんが顎に手をやりながら言いました、ちょっと出番が多すぎはしないかね?われわれ本来の立ち位置なら、こんなに呼ばれはしないはずだが。それは私も感じていたが、とジャコウネズミ博士。ないといえばきみ、あごひげはどうした?おや?きみだなスティンキーくん!いつ私から盗ったのだ?しかも...
View Article俳句と短歌の『金輪際』
・金輪際わりこむ婆や迎鐘(川端茅舎)・金輪際夜闇に根生う姿なり五重の塔は立てりけるかも(北原白秋)以前にもこれを取り上げようと思い、まず『金輪際』の語源や、同様に本来の意味では使用されないが俗語表現としては生きている古語について前置きを何回か書いたはずだ。なのに結局本題に入らないうちに止めてしまった。たしかムーミン谷童話を書き始めるのと入れ違いに放置したので、下手に前振りで引っ張るようなことをしたか...
View Article偽ムーミン谷のレストラン(60)
ええと続きだ、どこまで話は進んだっけ?ヘムル署長たちがのテーブルを直したところだよ、と偽ムーミン。ですがヘムル署長たちの関心はもうとうに次の話題に移っていました。ムーミン谷の住民が争いごともなく平和に共存しているのは、他ならぬ時間感覚のズレが所属グループごとに明確だからです。ムーミンパパとジャコウネズミ博士が同時に同じ高さのテーブルから皿を落としたとすると、博士の皿が床に砕けた時にはまだムーミンパパ...
View ArticleKrzysztof Komeda Quintet-Astigmatic(1965)
ポーランドのジャズを代表する一枚と言えばクシシュトフ・コメダ(1931~1969)の傑作『アスティグマティク』1965になるだろう。同時期にコメダに強い影響を与えた先輩ピアニストのアンジェイ・トザスコウスキ(Andrzej...
View Article偽ムーミン谷のレストラン(61)
第七章。ムーミン谷にレストランができたそうだよ、とムーミンパパが新聞から顔を上げると、言いました。今朝のムーミン家の居間には、・今ここにいる人・ここにいない人―のどちらもいません。いつもならムーミン谷の住民はあれやこれやの口実をたずさえて、ムーミンママのもてなしを目当てに朝から晩までひっきりなしに出入りしているのですが、今のムーミン家の居間にはあのニョロニョロすら生える気配はありませんでした。ムーミ...
View ArticleJefferson Airplane/The Great Society
アメリカで60年代末、もっとも影響力のあったのはこのバンドだろう。強力な女性ヴォーカルに一体感のあるバンド・サウンドは同時代では国内外に多くのフォロワーを生んだ。当時ではヴェルヴェット・アンダーグラウンドなど比較にならなかったと思う、と人前で発言してせせら笑われたことがあるが、聴くべきものをちゃんと聴き、自分の頭で考えればわかる。エアプレインの最大ヒットはヴォーカルにグレイス・スリックが加入したセカ...
View Article偽ムーミン谷のレストラン(62)
それにしても、と(偽)ムーミンは思いました、いったいどのくらい時間が経ったんだろうか。それはたぶん全員共通の困惑だ。スナフキンもスニフもフローレンも、スノークもヘムレンさんもジャコウネズミ博士もヘムル署長も、スティンキーもトゥーティッキもモランもフィリフヨンカも、トフスランとビフスランもミムラもミイも、たぶん全員が困惑しているはずだ。ムーミンパパとムーミンママについては、実のところよくわからない。だ...
View Article偽ムーミン谷のレストラン(63)
案外手間はかからなかったな、とムーミンパパはレストランのドアをくぐり、ムーミンとムーミンママを振り返りました。ムーミン、実は偽ムーミンは朝の居間の会話中、レストラン行きに危険を察してトイレに立ち、本物のムーミンと入れ替わっていたのです。偽ムーミンが抱いた疑惑とは主に、・情報源があやしい・謎のレストランというのがくさいその根拠は、ムーミンパパが見ていた新聞は今朝届いたとは思えないし、パパの頭はどうも不...
View Article