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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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アル中病棟入院記176

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(人名はすべて仮名です)
・4月11日(日)晴れ
(前回から続く)
「山崎さんの胃カメラの検査結果がどうだというよりも羽田有紗は要するに人の気を惹きたいので、ショックだったというからには予想以上に悪かったということだろうが、それと自分の姉がNo.1キャバクラ嬢だという自慢話をして笑い転げるのが彼女には地続きなのだ。彼女は山崎さんを10歳から、15年来の入院仲間として叔父のように慕っているのではなかったか」

「病気に由来するとしても不快感を抱かずにはいられないのは勝浦くんばかりではなく女性患者からも彼女は敬遠されている。私って美人だから、と自惚れたこと言ってるらしいぜ、と勝浦くんから聞いた。勝浦くんはおばさまたちからそう聞いたのだろう。彼女は若い以外には容貌的には特筆すべきことはなく、肌の張りはあるが顔面ニキビだらけでは汚らしいほどだ。勝浦くんは以前面と向ってハゲ呼ばわりされたことがあり、確かに彼は髪は薄いが彼くらい薄い中年男はざらにいる。その現場に居合わせなくて良かった」

「清水くんは居合わせて、うちの奥さんも小学生の頃から統合失調症ですから仕方ないですよ、と言っていたが、羽田などそもそも義務教育すら履修を終えたのか。10歳から数か月ごとに入院、というのでは10代をまるまる費やしてようやく中学卒業がいいところだろう。17歳でカリフォルニア州立大学医学部を飛び級卒業、とことあるごとに触れ回っている時の彼女が妄想ともハッタリという自覚もないのなら…これはもう何度も書いている。彼女の功績は勝浦くんが自分の学歴を振りかざさなくなったくらいだ」

「夕食後はデイルームでの雑談には加わる気にならず珍しく当日の日記を当日に書く。数日前まではずっと前日・前々日の分までかたづいていない停滞ぶりだったのだ。渥美さんの酒歴も合格点をもらい、渥美さんに頼まれて代読することになりその許可も下りた。ご本人はあいさつする程度が精一杯だし、看護婦が代読するのでなければ酒歴作成の協力者しか適任はいないからだ。渥美さんが満足そうなので、お手伝いした甲斐もあった気になる。…喫煙室で一服していると、お照さんが入ってきた。もうすぐ退院ですね、この眺めを見ながら夜の煙草を喫うのもあと数日ですね。そうよ、と一服し終えて、だからあんたもこっち来て話に入りなさいよ」(続く)

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