Recorded in April and May 1979
Released by Brain Records / Metronome Musik GmbH Brain 0060.225, 1979
Produced, Lyrics and Composed by Klaus Schulze
(Side 1)
A1. Dune - 30:28
(Side 2)
B1. Shadows of Ignorance - 26:20
[ Personnel ]
Klaus Schulze - electronics
Arthur Brown - vocals (on "Shadows of Ignorance")
Wolfgang Tiepold - cello
*
(Original Brain "Dune" LP Liner/Gatefold Inner Cover & Side 1 Label)
アルバム・ジャケットはタルコフスキーの映画『惑星ソラリス』'72のテレビ放映画面をシュルツェ自身が写真に撮りトリミングして使ったそうで、アルバム・タイトルとタイトル曲は前作『X』でもオマージュを捧げたフランク・ハーバートの『デューン 砂の惑星』'65から採られているのは言うまでもなく、少々ベタなセンスですがアルバム内容は『X』でティーポルドの参加があった大曲2曲「Heinrich von Kleist」と「Ludwig II. von Bayern」、ヴァイオリンのロング・ソロをフィーチャーした「Friedemann Bach」の路線に『ブラックダンス』以来のゲスト・ヴォイス・パフォーマーを迎えたかたちで、やはり『ムーンドーン』『ボディ・ラブ(サウンドトラック)』以降のポリリズムと推進力の強いビートの強調が進められており、『ヨーロッパ特急』『人間解体』まで行きついていたクラフトワークの音楽の無機質化とは対照的にサウンドの有機的な質感と躍動感がいよいよ堂に入っており、シュルツェの音楽は当初から高い精神性と表現性を感じさせるものでしたが、シンセサイザー使用がシークエンサー導入によって飛躍的に表現力を拡大してから、むしろロック的なダイナミズムや音楽の記名性は高まっているのが当時のエレクトロニクス音楽の趨勢とは逆行しているところにシュルツェの反時代性や反骨性があり、クラフトワークの抽象性やガジェット指向に対してシュルツェの音楽がその反対を向いていて、精神的にはオルタネイティヴ・ロックやインダストリアル・ミュージックと共通する点が多く、シュルツェの場合はドイツ的ロマン主義やヒッピー的理想主義など一見すると相反する要素が時間をかけてじっくりシュルツェの個性に消化されたものだったために、機材の完全デジタル化が可能になった'80年代以降急速にリスナーとの感覚との乖離を招いたと思われます。次作『...Live...』'80で'70年代末のライヴを初めてアルバム化した後、スタジオ録音の『Dig It』'80でアナログ時代の終焉を最後のアナログ機材アルバムとして制作したシュルツェは次の『Transfer』'81からデジタル機材環境でアルバム制作を始めますが、同作と次の2枚組大作アルバム『Audentity』'83の頃からシュルツェの音楽はリスナーに届きづらくなって行ったように見えるのです。