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ビリー・ホリデイ Billie Holiday - サマータイム Summertime (Vocalion/Columbia, 1936)

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ビリー・ホリデイ Billie Holiday - サマータイム Summertime (George Gershwin, DuBose Heyward, Ira Gershwin) (Vocalion/Columbia, 1936) : https://youtu.be/ysow1wXWyvE - 2:55
Recorded at 1766 Broadway, New York City, July 10, 1936
Originally Released by Vocalion/Columbia 3288, Shellac, 10", 78 RPM, 1936
From the 3LP Compilation Album "The Golden Years", Columbia Records Columbia ‎C3L 21, 1962

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[ Billie Holiday and Her Orchestra ]
Billie Holiday (vocal), Bunny Berigan (trumpet), Artie Shaw (clarinet), Joe Bushkin (piano), Dick McDonough (guitar), Pete Peterson (b), Cozy Cole (drums)

 この大スタンダード曲「サマータイム (Summertime)」は作曲家ジョージ・ガーシュイン(1898-1937)畢生の黒人フォーク・オペラ『ポーギーとベス (Porgy and Bess)』'35の歌曲中でも中盤のハイライトといえるナンバーで、この作品は真にアメリカのオリジナルなオペラとしてヨーロッパの音楽家たちにも発表即新しいクラシック名作として大反響を呼んだものですが、大衆歌曲、すなわちジャズ歌曲として真っ先に取り上げてシングル曲で発表したのはビリー・ホリデイ(1915-1959)でした。ビリーは'33年11月に18歳でコロンビアの白人スター・クラリネット奏者ベニー・グッドマンのバンドのゲスト・ヴォーカリストとして初レコーディングし、以降8回のレコーディングをグッドマンやグッドマンのバンド・メンバーのシングル曲のゲスト・ヴォーカリストとして21曲を録音しましたが、'36年7月10日、21歳で9回目のレコーディングにして初めてビリー自身の名義のシングル2枚、4曲を録音する機会が訪れます。この時ビリーが選んだ4曲は得意レパートリーとなる「No Regret」やビリー初のオリジナル曲「Billie's Blues」も含まれ、「Summertime」は「Billie's Blues」をB面に発売され大ヒットしました。いわば「Summertime」もビリーのオリジナル・ヒット曲と言えるものなのですが、この曲はあまりに続々とカヴァーが発表されたためビリーのステージ・レパートリーには採用されなかったので「ビリー・ホリデイのヒット曲」というイメージは薄いのです。ジャズ・ヴォーカルやジャズの器楽カヴァーのみならずムード・オーケストラ版やポップス歌手によるヴァージョン、さらにロック・バンドによるカヴァーもザ・ゾンビーズ、ザ・ドアーズ、ルーファス・ザファールなど数々があり、とりわけサンフランシスコのヒッピー・バンド、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーのバロック音楽風アレンジと女性ヴォーカリストのジャニス・ジョプリンによる歌唱はヴォーカル版としてはビリー版以来の大ヒットとなり、同曲のジャニスのヴォーカル・スタイルは後のヘヴィ・メタル・ヴォーカルの基本スタイルにもなり、ジャニスは同バンドから独立後も夭逝するまで「Summertime」をライヴの最重要レパートリーにしていたので、ジャニスのヴォーカル・ヴァージョンの印象がもっとも強いというリスナーも多いでしょう。
 本来オペラの中で子守唄として歌われるこの曲は、版権登録されたASCAP(米国作曲家作詞家出版者協会 American Society of Composers, Authors and Publishers)に正式に届け出があっただけでも2010年代までに3万3,000以上のカヴァー・ヴァージョンが存在しているそうで、今や心あるジャズマンはかえって演奏しない曲になっていますが(ビリー・ホリデイは『Porgy and Bess』からはクライマックスの絶唱「I Love You Porgy」を生涯のレパートリーにし、他のジャズマンも『Porgy and Bess』からは「Summertime」以外の曲、または他のガーシュイン曲を取り上げる方が多いのですが)、歴代のジャズ・カヴァーではルイ・アームストロングと並ぶジャズの祖でジャズ・ソプラノサックスの祖シドニー・ベシェ(1897-1959)の'39年のヴァージョン、チャーリー・パーカー(1920-1955)が弦楽オーケストラと初めて共演したシングルでパーカー唯一のポップ・ヒットとなった'49年のヴァージョン、マイルス・デイヴィス(1926-1991)が終生の親友だった白人アレンジャーのギル・エヴァンスと組んで『Porgy and Bess』全曲をビッグバンド・アレンジで演奏した'58年のヴァージョン、またフリー・ジャズのテナー奏者アルバート・アイラー(1936-1970)がデンマークのメジャー・レーベルから初めて発表したラジオ出演のスタジオ・ライヴ演奏の'63年ヴァージョンが知られますが、ロサンゼルスの天才白人アルト奏者アート・ペッパー(1925-1982)がマイナー・レーベルのアラディンに残したアルバム3枚を80年代後半に新生ブルーノート・レーベルからCD化再発売された際に、定評ある絶頂期の名盤『Modern Art』録音時の未発表テイクにLP収録時には没にされた「Summertime」があるのがマスターテープ中から発見され、ブルーノートCD版『Modern Art』に収録されました。これが没になったのも無理からぬ、アルバート・アイラーやジャニス・ジョプリンと泣きを競うかのようなドロドロのむせび泣き演奏で、あっさりしたバラード演奏にしようとしているバックのラス・フリーマン・トリオの清涼感あふれるバッキングを無視してアルトサックスだけが泣きに泣いている異常ヴァージョンになっています。ペッパーに較べると黒人ジャズマンのベシェやパーカー、マイルスの方がよっぽどクールなのがわかるような演奏で、この曲が現在あまりジャズマンには演奏されないのは、もともとペッパーやアイラーの演奏のような、泣きを伴う臭みに傾きやすい楽曲だからという理由もあるとも思えます。

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Sidney Bechet Quintet - Summertime (Recorded '39, from the album "Sidney Bechet Jazz Classics Vol.1", Blue Note 7002, 1950) : https://youtu.be/xlvSITXT4Mo - 4:07
Recorded in June 8, 1939, New York City
[ Sidney Bechet Quintet ]
Sidney Bechet (soprano saxophone), Mead "Lux" Lewis (piano), Teddy Bunn (guitar), John Williams (bass), Sidney Catlette (drums)

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Charlie Parker with Strings - Summertime (from the album "Charlie Parker with Strings", Mercury MG 35010, 1950) : https://youtu.be/AbXauqq9ayY - 2:46
Recorded at Mercury Recording, New York City, November 30, 1949
[ Charlie Parker with Strings ]
Charlie Parker (alto saxophone), Mitch Miller (oboe), Bronislaw Gimpel, Max Hollander and Milt Lomark (violin), Frank Brieff (viola), Frank Miller (cello), Myor Rosen (harp), Stan Freeman (people), Ray Brown (bass), Buddy Rich (drums), Jimmy Carroll (arranger & conductor) 

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Miles Davis with Gil Evans Orchestra - Summertime (from the album "Porgy and Bess", Columbia LP CS 8095, March 9, 1959) : https://youtu.be/_Tx2O6137GM - 3:19 (Master Take)
Recorded at Columbia 30th Studio, New York City, July 22, 1958
[ Miles Davis with Gil Evans Orchestra ]
Miles Davis (flugelhorn), Ernie Royal, Bernie Glow, Johnny Coles and Louis Mucci (trumpet), Dick Hixon, Frank Rehak, Jimmy Cleveland and Joe Bennett (trombone), Willie Ruff, Julius Watkins and Gunther Schuller (horn), Bill Barber (tuba), Jerome Richardson and Romeo Penque (flute, alto flute & clarinet), Cannonball Adderley (alto saxophone), Danny Bank (alto flute, bass flute & bass clarinet), Paul Chambers (bass), Jimmy Cobb (drums), Gil Evans (arranger & conductor)

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Art Pepper Quartet - Summertime (Rec.'57, from the album "The Complete Art Pepper Aladdin Recordings Vol.2; Modern Art", Blue Note CDP 7 46848 2, 1988) : https://youtu.be/6RJoLVNyq_U - 7:26
Recorded at Master Recorder, Los Angeles, January 14, 1957
[ Art Pepper Quartet ]
Art Pepper (alto saxophone), Russ Freeman (piano), Ben Tucker (bass), Chuck Flores (drums)

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Albert Ayler Quartet - Summertime (rec.'63, from the album "My Name Is Albert Ayler", Fontana/Debut Records DEB-140, 1964) : https://youtu.be/bQXk-0C-wVM - 9:00
Recorded at Danish National Radio Studios, Copenhagen, Denmark, January 14, 1963
[ Albert Ayler Quartet ]
Albert Ayler (tenor saxophone), Niels Bronsted (piano), Niels Henning Orsted Pederson (bass), Ronnie Gardiner (drums)

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