クラフトワーク Kraftwerk - コンピューター・ワールド Computer World (Warner Bros, 1981) Full Album + 12 Bonus Tracks : https://youtu.be/vMZJJOh2nVM
Kraftwerk - Computerwelt (Kling Klang, 1981) Full Album + 12 Bonus Tracks : https://youtu.be/rv46gcNOFcE
Recorded at Kling Klang Studio, Dusseldorf, Germany, 1979-1981
Released by Warner Brothers Records HS 3549, May 10, 1981
Produced by Ralf Hutter & Florian Schneider
All Lyrics by Ralf Hutter & Florian Schneider with Emil Schult (A1 only), All Compositions by Ralf Hutter, Florian Schneider & Karl Bartos
(Side One)
A1. Computer World (Computerwelt) - 5:05
A2. Pocket Calculator (Taschenrechner) - 4:55
A3. Numbers (Nummern) - 3:19
A4. Computer World 2 (Computerwelt 2) - 3:21
(Side Two)
B1. Computer Love (Computerliebe) - 7:15
B2. Home Computer (Heimcomputer) - 6:17
B3. It's More Fun to Compute - 4:13
[ Kraftwerk ]
Ralf Hutter - album concept, artwork reconstruction, cover, electronics, keyboards, mixing, Orchestron, production, recording, Synthanorma Sequenzer, synthesiser, vocoder, voice
Florian Schneider - album concept, cover, electronics, mixing, production, recording, speech synthesis, synthesiser, vocoder
Karl Bartos - electronic percussion
*
(Original Warner Brothers "Computer World" LP Liner Cover & Side One/Two Label)
現在でこそクラフトワークらしい好アルバムと愛されている本作は発表当時完全に出遅れた観のあった作品でした。クラフトワークは本作のためにクリング・クラング・スタジオを大規模改造し、海外でのメイン・ターゲットであるアメリカではEMI傘下キャピトル・レコーズからワーナー・ブラザース・レコーズに配給先を移籍、シングル「Pocket Calculator」が世界5か国語でリリースされ、日本語版歌詞で歌われた「電卓」は話題を呼びましたが、'81年には日本ではテクノポップ自体が飽きられかけていたのです。クラフトワークは本作発表に伴いこれまでで最大規模のワールド・ツアーを行い、シベリア鉄道経由で初来日公演を行って好評でしたし、ミュージシャン間では本作も非常に高い評価を得ましたが、前年'80年のテクノポップ・ブームがあまりに急速に高まり流行音楽として蔓延したので'81年にはクラフトワークの音楽は今さら感がありました。ことに日本ではイエロー・マジック・オーケストラの大成功があり、第1作『イエロー・マジック・オーケストラ』'78.11.25は当初オリコン・チャート69位でしたがそのアメリカ版(アメリカ発売'79.5.30)発売に伴う話題がアメリカ版の日本発売('79.7.25)でチャート20位の飛躍的な注目を集め、第2作『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』'79.9.25はチャート1位を獲得、以降アメリカ・ツアー時のライヴ盤『パブリック・プレッシャー/公的抑圧』'80.2.21、ミニアルバム『増殖 (X∞MULTIPLIES)』'80.6.5とYMOはたてつづけにアルバムを1位に送り込みましたが、'80年後半には歌謡曲にもテクノポップ風のサウンドが使われ、また後続のテクノポップ路線のバンドはチャート面では賑わなかったので、極端に実験的なアンビエント・テクノに踏みこんだYMOの次作『BGM』'81.3.21はチャート2位と健闘するも(収録曲には「バカ、バカ、バカ」と連呼される曲すらあります)明快なテクノポップを期待した多くのリスナーを落胆させるアルバムになりました。すぐにYMOは完成度の高いテクノポップ・アルバム『テクノデリック (TECHNODELIC)』'81.11.21をリリースしますが、前作で多くの流動的ファンが離れたのがチャート4位という数字に表れました。一方メンバー3人のソロ・アルバムは高い評価を受けたので、メンバーのソロ活動を経て解散アルバムを意図してポップ・ヒット曲「君に胸キュン」をフィーチャーしたスタジオ・アルバム最終作『浮気なぼくら (NAUGHTY BOYS)』'83.5.24はシングル曲の大ヒットともどもチャート1位にかえり咲きました。YMOはのち期間限定で再結成しますが、解散ツアーからのライヴ・アルバム『アフター・サーヴィス (AFTER SERVICE)』'84.2.22も2枚組、解散後にもかかわらずチャート2位の成績を収めます。
日本ではそうしたイエロー・マジック・オーケストラの活動の消長が即テクノポップ・ブームの消長だったので、あえて一過性のブームを揶揄して浮動票的リスナーをはぐらかすようなYMOの実験的アルバム『BGM』の直後にクラフトワークの本作がリリースされたのは非常にタイミングの悪いことでした。YMOのメンバー始めミュージシャン間では当然クラフトワークは尊敬されており、本作発表後の同年中に、YMOがシリアスで完成度の高い『テクノデリック (TECHNODELIC)』を発表したのも、クラフトワーク来日を受けてテクノポップの名誉挽回を図ったものと考えられます。'81年夏に日比谷野外音楽堂でインディーズ・アーティストのフェスティヴァルがあり、ヒカシューの巻上氏(ヴォーカル、ベース)、海琳氏(ギター)、泉水氏(ドラムス)の3人が3人組のロックバンド編成で日本語ヴァージョン「電卓」をカヴァーしていたのも印象に鮮やかで、クラフトワーク3年のブランクの間にもテクノポップ・スタイルのパイオニアてして敬愛され、それはギター、ベース、ドラムスのトリオ編成でも応用可能な楽曲の洗練に表れたのがヒカシューからのピックアップ・メンバーの「電卓」のライヴ・カヴァーからでもありありと感じられるものでした。しかしクラフトワークの本作は好評を博したワールド・ツアーに較べてアルバムとしては停滞感を感じさせるものであり、本格的の次作はシルグル「Tour De France」""83を挟んだ『Electric Cafe』'86.14.10になります。カール・バルトス電子パーカッションを担当していたウオルフガング・フラーがレコーディング・メンバーから抜けて、前作からヒュッター、シュナイダーとともに楽曲共作者になったバルトの昇格に伴ってジャケットでは4人てますが、アルバム制作からははずられてコンサート・ツアーのサポート要員に降格されています。なかなかの好作ながら本作の存在感がやや地味なのもそうした事情によるのかもしれません。なお日本語版「電卓」を含むリンク先のボーナス・トラックはリンク先の曲目リストをご覧ください。
Kraftwerk - Computerwelt (Kling Klang, 1981) Full Album + 12 Bonus Tracks : https://youtu.be/rv46gcNOFcE
Recorded at Kling Klang Studio, Dusseldorf, Germany, 1979-1981
Released by Warner Brothers Records HS 3549, May 10, 1981
Produced by Ralf Hutter & Florian Schneider
All Lyrics by Ralf Hutter & Florian Schneider with Emil Schult (A1 only), All Compositions by Ralf Hutter, Florian Schneider & Karl Bartos
(Side One)
A1. Computer World (Computerwelt) - 5:05
A2. Pocket Calculator (Taschenrechner) - 4:55
A3. Numbers (Nummern) - 3:19
A4. Computer World 2 (Computerwelt 2) - 3:21
(Side Two)
B1. Computer Love (Computerliebe) - 7:15
B2. Home Computer (Heimcomputer) - 6:17
B3. It's More Fun to Compute - 4:13
[ Kraftwerk ]
Ralf Hutter - album concept, artwork reconstruction, cover, electronics, keyboards, mixing, Orchestron, production, recording, Synthanorma Sequenzer, synthesiser, vocoder, voice
Florian Schneider - album concept, cover, electronics, mixing, production, recording, speech synthesis, synthesiser, vocoder
Karl Bartos - electronic percussion
*
(Original Warner Brothers "Computer World" LP Liner Cover & Side One/Two Label)
現在でこそクラフトワークらしい好アルバムと愛されている本作は発表当時完全に出遅れた観のあった作品でした。クラフトワークは本作のためにクリング・クラング・スタジオを大規模改造し、海外でのメイン・ターゲットであるアメリカではEMI傘下キャピトル・レコーズからワーナー・ブラザース・レコーズに配給先を移籍、シングル「Pocket Calculator」が世界5か国語でリリースされ、日本語版歌詞で歌われた「電卓」は話題を呼びましたが、'81年には日本ではテクノポップ自体が飽きられかけていたのです。クラフトワークは本作発表に伴いこれまでで最大規模のワールド・ツアーを行い、シベリア鉄道経由で初来日公演を行って好評でしたし、ミュージシャン間では本作も非常に高い評価を得ましたが、前年'80年のテクノポップ・ブームがあまりに急速に高まり流行音楽として蔓延したので'81年にはクラフトワークの音楽は今さら感がありました。ことに日本ではイエロー・マジック・オーケストラの大成功があり、第1作『イエロー・マジック・オーケストラ』'78.11.25は当初オリコン・チャート69位でしたがそのアメリカ版(アメリカ発売'79.5.30)発売に伴う話題がアメリカ版の日本発売('79.7.25)でチャート20位の飛躍的な注目を集め、第2作『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』'79.9.25はチャート1位を獲得、以降アメリカ・ツアー時のライヴ盤『パブリック・プレッシャー/公的抑圧』'80.2.21、ミニアルバム『増殖 (X∞MULTIPLIES)』'80.6.5とYMOはたてつづけにアルバムを1位に送り込みましたが、'80年後半には歌謡曲にもテクノポップ風のサウンドが使われ、また後続のテクノポップ路線のバンドはチャート面では賑わなかったので、極端に実験的なアンビエント・テクノに踏みこんだYMOの次作『BGM』'81.3.21はチャート2位と健闘するも(収録曲には「バカ、バカ、バカ」と連呼される曲すらあります)明快なテクノポップを期待した多くのリスナーを落胆させるアルバムになりました。すぐにYMOは完成度の高いテクノポップ・アルバム『テクノデリック (TECHNODELIC)』'81.11.21をリリースしますが、前作で多くの流動的ファンが離れたのがチャート4位という数字に表れました。一方メンバー3人のソロ・アルバムは高い評価を受けたので、メンバーのソロ活動を経て解散アルバムを意図してポップ・ヒット曲「君に胸キュン」をフィーチャーしたスタジオ・アルバム最終作『浮気なぼくら (NAUGHTY BOYS)』'83.5.24はシングル曲の大ヒットともどもチャート1位にかえり咲きました。YMOはのち期間限定で再結成しますが、解散ツアーからのライヴ・アルバム『アフター・サーヴィス (AFTER SERVICE)』'84.2.22も2枚組、解散後にもかかわらずチャート2位の成績を収めます。
日本ではそうしたイエロー・マジック・オーケストラの活動の消長が即テクノポップ・ブームの消長だったので、あえて一過性のブームを揶揄して浮動票的リスナーをはぐらかすようなYMOの実験的アルバム『BGM』の直後にクラフトワークの本作がリリースされたのは非常にタイミングの悪いことでした。YMOのメンバー始めミュージシャン間では当然クラフトワークは尊敬されており、本作発表後の同年中に、YMOがシリアスで完成度の高い『テクノデリック (TECHNODELIC)』を発表したのも、クラフトワーク来日を受けてテクノポップの名誉挽回を図ったものと考えられます。'81年夏に日比谷野外音楽堂でインディーズ・アーティストのフェスティヴァルがあり、ヒカシューの巻上氏(ヴォーカル、ベース)、海琳氏(ギター)、泉水氏(ドラムス)の3人が3人組のロックバンド編成で日本語ヴァージョン「電卓」をカヴァーしていたのも印象に鮮やかで、クラフトワーク3年のブランクの間にもテクノポップ・スタイルのパイオニアてして敬愛され、それはギター、ベース、ドラムスのトリオ編成でも応用可能な楽曲の洗練に表れたのがヒカシューからのピックアップ・メンバーの「電卓」のライヴ・カヴァーからでもありありと感じられるものでした。しかしクラフトワークの本作は好評を博したワールド・ツアーに較べてアルバムとしては停滞感を感じさせるものであり、本格的の次作はシルグル「Tour De France」""83を挟んだ『Electric Cafe』'86.14.10になります。カール・バルトス電子パーカッションを担当していたウオルフガング・フラーがレコーディング・メンバーから抜けて、前作からヒュッター、シュナイダーとともに楽曲共作者になったバルトの昇格に伴ってジャケットでは4人てますが、アルバム制作からははずられてコンサート・ツアーのサポート要員に降格されています。なかなかの好作ながら本作の存在感がやや地味なのもそうした事情によるのかもしれません。なお日本語版「電卓」を含むリンク先のボーナス・トラックはリンク先の曲目リストをご覧ください。