Sun Ra - Pathways to Unknown Worlds (Impulse!, 1975) Full Album
Recorded at El Saturn Recording Studios, Chicago, IL, 1973.
Released by ABC Records Impulse! ASD-9298, 1975
Produced by Alton Abraham
All composed and arranged by Sun Ra.
(Side A)
A. Pathways To Unknown Worlds : http://youtu.be/2WgiNCvAdfY - 12:12
(Side B)
B1. Extension Out : http://youtu.be/CAPhPOBsg3o - 7:31
B2. Cosmo-Media : http://youtu.be/8--VFpvRJYo - 6:58
*CD Bonus Track
Tr. Untitled : http://youtu.be/FuO5MvsU2BM - 5:23
[ Sun Ra And His Astro Infinity Arkestra ]
< collective personnel >
Sun Ra - Keyboards
Akh Tal Ebah, Lamont McClamb - Trumpet
Danny Davis - Alto Saxophone
Marshall Allen - Alto Saxophone, Flute, Oboe
John Gilmore - Tenor Saxophone, Percussion
Danny Thompson - Baritone Saxophone
Leroy Taylor - Bass Clarinet
Bill Davis, Ronnie Boykins - Bass
Clifford Jarvis - Drums
Eugene Brennan, Russell Branch, Stanley Morgan - Congas
今回でサン・ラ・アーケストラのアルバム紹介は48作目になります。そのうち1972年に入った43枚目『Astro Black』からはABCレコーズ傘下インパルス!レーベル(『Space Is The Place』のみABCレコーズ傘下のブルー・サム・レーベル)のためにレコーディングされたアルバムで、この時期唯一サターン・レーベルから発売された『Discipline 27-II』はおそらくインパルス!に提供する予定の原盤だったのではないか、と同作をご紹介した際に推測しました。同作は『Space Is The Place』と同じシカゴ録音で同時期の録音になり、サン・ラ・アーケストラ主演映画のサウンドトラック『Soundtrack To The Film SPACE IS THE PLACE』は『Discipline 27-II』『Space Is The Place』を包括する期間に録音されています。
そこで、『Astro Black』に続いてはインパルス!へのスタジオ録音の新作でありながら2000年に発掘CD発売されるまで未発表だったアルバム2作『Cymbals』『Crystal Spears』をご紹介しました。『Astro Black』は1972年5月録音、『Cymbals』『Crystal Spears』はそれに続く1972年半ばまでの録音と推定されます。『Discipline 27-II』『Space Is The Place』は1972年10月録音です。インパルス!のため録音され1975年発売になったのが本作『Pathways to Unknown Worlds』で、1973年(月日不明)の録音でした。『Cymbals』ご紹介の際にインパルス!へは4枚分を録音し発表されたのは2作、とうかつに解説してしまいましたが、実際は『Pathways~』と同時期にもう2枚分の未発表アルバムがあったことが判明しています。次回ご紹介しますが1枚は1973年前半録音の『Friendly Love』で、数え忘れていたのは2000年に発掘CD発売された形態が『Pathways~』とのカップリングだったからです。さらにインパルス!からのリリース予定だったマスター・テープから2014年に『Sign Of The Myth』としてイタリアのインディー・レーベルから発売されたアルバムがありますが、これは未発表アルバムというより『Pathways~』セッションのアルバム未収録テイク集とされるようです。
(Original Impulse! "Pathways To Unknown Worlds" LP Liner Cover & Side A Label)
結局1972年~1973年にABCレコーズに録音された音源のうち、発売されたのは『Astro Black』『Space Is The Place』『Pathways to Unknown Worlds』の3枚、サターン・レーベル自身でリリースしたのが『Discipline 27-II』、お蔵入りしたのが『Cymbals』『Crystal Spears』『Friendly Love』『Sign Of The Myth』の4枚となり、さらにLP2枚組相当の『Soundtrack To The Film SPACE IS THE PLACE』も未発表アルバムと数えればお蔵入りアルバムは5作・6枚に上ります。発表・未発表合わせれば'72年5月~'73年前半の1年間で9作・10枚分を録音したわけで、このうち『Space Is The Place』のB面5曲のうち2曲、映画サントラ『Soundtrack To The Film~』以外は初スタジオ録音の新曲ばかりですからアルバム8枚分が新曲になります。'72年には海外ツアーがなかったとはいえ、この時期サン・ラ・アーケストラがいかに好調だったかがわかります。
前作『Space Is The Place』『Discipline 27-II』はともに名作といえる出来でしたが、専任ベーシスト不在のためバリトン奏者のパット・パトリックがベース・ギターを兼任していたのが唯一の難点になっていました。パトリックは天才サックス奏者ですがベース演奏には難があり、パトリックに代わってバリトンの座についたダニー・トンプソンも優れた奏者でしたので、天才ベーシストのロニー・ボイキンスが復帰(しかも新参加のビル・デイヴィスとの2ベース)した本作ではパトリックは不参加となっています。ボイキンスの復帰によって本作は近年の作風に『The Heliocentric Worlds~』以来の路線の抽象度の高いフリー路線を重ねたものになりました。またCD化によってボーナス・トラックに6分弱の未発表曲が発掘されましたが、オリジナルLPではB面は十分ですがA面が12分強の1曲のみと短すぎるのです。CDではこの未発表曲を2曲目に配置しており、楽曲の内容も配分もしっくりきます。LP時代にはインパルス!との契約との最終リリースとなった本作ですが、ジャケットの秀逸さと楽曲単位の充実では優れながらもどこかバランスを欠いて見えるのは、重鎮メンバーのパトリックの不在とアルバム構成の不足感によるものかもしれません。
Recorded at El Saturn Recording Studios, Chicago, IL, 1973.
Released by ABC Records Impulse! ASD-9298, 1975
Produced by Alton Abraham
All composed and arranged by Sun Ra.
(Side A)
A. Pathways To Unknown Worlds : http://youtu.be/2WgiNCvAdfY - 12:12
(Side B)
B1. Extension Out : http://youtu.be/CAPhPOBsg3o - 7:31
B2. Cosmo-Media : http://youtu.be/8--VFpvRJYo - 6:58
*CD Bonus Track
Tr. Untitled : http://youtu.be/FuO5MvsU2BM - 5:23
[ Sun Ra And His Astro Infinity Arkestra ]
< collective personnel >
Sun Ra - Keyboards
Akh Tal Ebah, Lamont McClamb - Trumpet
Danny Davis - Alto Saxophone
Marshall Allen - Alto Saxophone, Flute, Oboe
John Gilmore - Tenor Saxophone, Percussion
Danny Thompson - Baritone Saxophone
Leroy Taylor - Bass Clarinet
Bill Davis, Ronnie Boykins - Bass
Clifford Jarvis - Drums
Eugene Brennan, Russell Branch, Stanley Morgan - Congas
今回でサン・ラ・アーケストラのアルバム紹介は48作目になります。そのうち1972年に入った43枚目『Astro Black』からはABCレコーズ傘下インパルス!レーベル(『Space Is The Place』のみABCレコーズ傘下のブルー・サム・レーベル)のためにレコーディングされたアルバムで、この時期唯一サターン・レーベルから発売された『Discipline 27-II』はおそらくインパルス!に提供する予定の原盤だったのではないか、と同作をご紹介した際に推測しました。同作は『Space Is The Place』と同じシカゴ録音で同時期の録音になり、サン・ラ・アーケストラ主演映画のサウンドトラック『Soundtrack To The Film SPACE IS THE PLACE』は『Discipline 27-II』『Space Is The Place』を包括する期間に録音されています。
そこで、『Astro Black』に続いてはインパルス!へのスタジオ録音の新作でありながら2000年に発掘CD発売されるまで未発表だったアルバム2作『Cymbals』『Crystal Spears』をご紹介しました。『Astro Black』は1972年5月録音、『Cymbals』『Crystal Spears』はそれに続く1972年半ばまでの録音と推定されます。『Discipline 27-II』『Space Is The Place』は1972年10月録音です。インパルス!のため録音され1975年発売になったのが本作『Pathways to Unknown Worlds』で、1973年(月日不明)の録音でした。『Cymbals』ご紹介の際にインパルス!へは4枚分を録音し発表されたのは2作、とうかつに解説してしまいましたが、実際は『Pathways~』と同時期にもう2枚分の未発表アルバムがあったことが判明しています。次回ご紹介しますが1枚は1973年前半録音の『Friendly Love』で、数え忘れていたのは2000年に発掘CD発売された形態が『Pathways~』とのカップリングだったからです。さらにインパルス!からのリリース予定だったマスター・テープから2014年に『Sign Of The Myth』としてイタリアのインディー・レーベルから発売されたアルバムがありますが、これは未発表アルバムというより『Pathways~』セッションのアルバム未収録テイク集とされるようです。
(Original Impulse! "Pathways To Unknown Worlds" LP Liner Cover & Side A Label)
結局1972年~1973年にABCレコーズに録音された音源のうち、発売されたのは『Astro Black』『Space Is The Place』『Pathways to Unknown Worlds』の3枚、サターン・レーベル自身でリリースしたのが『Discipline 27-II』、お蔵入りしたのが『Cymbals』『Crystal Spears』『Friendly Love』『Sign Of The Myth』の4枚となり、さらにLP2枚組相当の『Soundtrack To The Film SPACE IS THE PLACE』も未発表アルバムと数えればお蔵入りアルバムは5作・6枚に上ります。発表・未発表合わせれば'72年5月~'73年前半の1年間で9作・10枚分を録音したわけで、このうち『Space Is The Place』のB面5曲のうち2曲、映画サントラ『Soundtrack To The Film~』以外は初スタジオ録音の新曲ばかりですからアルバム8枚分が新曲になります。'72年には海外ツアーがなかったとはいえ、この時期サン・ラ・アーケストラがいかに好調だったかがわかります。
前作『Space Is The Place』『Discipline 27-II』はともに名作といえる出来でしたが、専任ベーシスト不在のためバリトン奏者のパット・パトリックがベース・ギターを兼任していたのが唯一の難点になっていました。パトリックは天才サックス奏者ですがベース演奏には難があり、パトリックに代わってバリトンの座についたダニー・トンプソンも優れた奏者でしたので、天才ベーシストのロニー・ボイキンスが復帰(しかも新参加のビル・デイヴィスとの2ベース)した本作ではパトリックは不参加となっています。ボイキンスの復帰によって本作は近年の作風に『The Heliocentric Worlds~』以来の路線の抽象度の高いフリー路線を重ねたものになりました。またCD化によってボーナス・トラックに6分弱の未発表曲が発掘されましたが、オリジナルLPではB面は十分ですがA面が12分強の1曲のみと短すぎるのです。CDではこの未発表曲を2曲目に配置しており、楽曲の内容も配分もしっくりきます。LP時代にはインパルス!との契約との最終リリースとなった本作ですが、ジャケットの秀逸さと楽曲単位の充実では優れながらもどこかバランスを欠いて見えるのは、重鎮メンバーのパトリックの不在とアルバム構成の不足感によるものかもしれません。