これは、ブルース色の濃いジャズマンのアドリブでも頻繁に使われるし、むしろジャズの本流は五音階に長調と短調を折衷したものとも言えるのだが、モダン・ジャズというのは、頻繁な代理コードによるコード・チェンジと、コード・チェンジごとに目まぐるしく変わるスケールという、極めて難易度の高いアイディアから始まった。メロディアスというよりは極端にメカニカルで、下手をすればただの音階練習になってしまうというリスクの強いこの手法の最高峰こそがチャーリー・パーカーであり、そのアドリブは通常の意味の情感とは別の次元で多彩で強烈な表現力を持っていた-おそらくジミ・ヘンドリクスだけが黒人音楽の歴史でパーカーに匹敵した。
パーカーの確立した音楽はビ・バップと呼ばれた。だがビ・バップはパーカーひとりが発明したものではなく、ディジー・ガレスピーやモンク、クラークらの、若手黒人ジャズマンたちのジャム・セッションから生まれたものだった。
『エピストロフィー』は、『ソー・ホワット』と同じくAA'BA32小節からなるが2つしかコードがない後者とは対照的に1小節ごとに2つのコード・チェンジがあり難易度自体が問われる。モンクのアルバム(画像2)でも大混乱に陥っている。次回で検討しよう。