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60年代のアメリカ小説(2)

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文学全集類で二十世紀アメリカ小説の古典とされているのは、ドライサー「アメリカの悲劇」25、フィッツジェラルド「偉大なギャッツビー」25、ドス・パソス「北緯42度線」(「U.S.A」第一部)30、スタインベック「怒りの葡萄」39-そしてヘミングウェイは「われらの時代に」24/「日はまた昇る」26/「武器よさらば」29の初期三作。一方双璧をなすフォークナーは、「響きと怒り」29と「八月の光」32、「アブサロム、アブサロム!」36を三大傑作とする定評があるが、比較的コンパクトな「死の床に横たわりて」31/「サンクチュアリ」31/「野生の棕櫚」39が選ばれることも多い。

以上が各種の世界文学全集では定番の二十世紀アメリカ小説で、パール・バック「大地」31や、ミッチェル「風と共に去りぬ」36などは今日顧みられることは少ない。20年代の大家だったウィラ・キャザーやシンクレア・ルイスは忘れ去られて、アンダソンは「ワインズバーグ・オハイオ」一作のみ。二十世紀初頭に晩年の諸作を残したヘンリー・ジェイムズの評価は年々高まる。

オールダマンの「荒地の彼方」が60年代アメリカ小説に絞った作品論なのに較べて、タナー「言語の都市」は50年代~70年までのアメリカ小説を作家論形式で要領よくまとめたもので、高橋正雄「二十世紀アメリカ小説」と併せれば70年までの二十世紀アメリカ小説の動向はほぼつかめる。ただしタナーは言語意識の変容という面から重要作家を選出しており、強引さは否めない。だがタナー著の71年時点では一定の線引きが必要だった。オールダマンと重複しない項目では特に重要な指摘が見られる。

オールダマン選の60年代アメリカ小説ベスト8は以下の通り。すべて翻訳がある(複数選出あり)。

ケン・キージー「カッコーの巣の上で」62
スタンリー・エルキン「悪い男」67
ジョン・バース「やぎ少年ジャイルズ」66
ジョーゼフ・ヘラー「キャッチ-22」61
トマス・ピンチョン「V.」63/「競売ナンバー49の叫び」66
ジョン・ホークス「罠」61
カート・ヴォネガットJr.「タイタンの妖女」59/「母なる夜」61/「猫のゆりかご」63/「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」65/「スローターハウス5」69
ピーター・S・ビーグル「最後のユニコーン」68

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