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アメリカ喜劇映画の起源(12)チャップリン5

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ユナイテッド・アーティスツ第一作『巴里の女性』からはチャップリンは創作意欲と作品の規模に見合った制作ペースの自由も手に入れて、数年に一作が許される巨匠になります。シリアス作品『巴里の女性』から始まり、ここからのチャップリンは喜劇映画であっても喜劇作家の作品ではなくて、ジャンルとしては一般のドラマ映画が喜劇映画ふうに仕上げられたもの、と見るべきでしょう。

1925『黄金狂時代』
1928『サーカス』
1931『街の灯』
1936『モダン・タイムス』
1940『独裁者』
1947『殺人狂時代』
1952『ライムライト』
1957『ニューヨークの王様』
1967『伯爵夫人』

エドナ時代を1923年の『巴里の女性』で終えたチャップリンは、次作『黄金狂時代』でそれまでの作品で演じてきた貧困で飢餓にさらされた放浪者のキャラクターの決定版を描きます。以後のチャップリン映画はすべてチャップリン自身によるチャップリン解釈というメタ映画的な総決算的内容になるのです。
1947年の『殺人狂時代』と1957年の『ニューヨークの王様』ではチャップリンは連続殺人を繰り返す結婚詐欺師、革命によって亡命を余儀なくされた架空の小国の王様という対照的な役柄を演じます。1952年の『ライムライト』は引退作品を意識したと覚しく、老芸人が若い男女芸人を見守りながら静かに死んでいく話です。1967年の『伯爵夫人』はソフィア・ローレンとマーロン・ブランド主演のロマンティック・コメディで『ニューヨークの王様』ともども巨匠の余技と評価のあまり高くない作品ですが1977年に88歳の長寿を全うする大映画作家の遺作と見れば晩年の境地をしみじみ感じさせられます。

チャップリン生涯のピークは『サーカス』『街の灯』『モダン・タイムス』『独裁者』『殺人狂時代』の20年間の五作品で、前後から『黄金狂時代』と『ライムライト』を加えて30年間の七作品としてもいいですがこれらはどれをとっても映画史上の驚異的な画期作と言えて、喜劇映画としての評価よりもチャップリンという巨匠の里程標として感動が迫ってくるものです。そこにチャップリンの偉大さと通俗性があり、純粋な喜劇映画人としての評価がかえって難しくなる思想性や芸術性もありました。

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