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アメリカ喜劇映画の起源(11)チャップリン4

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1918年初頭にはチャップリンは自己所有のチャップリン撮影所を設立、前年にパラマウントから分裂し、全米一の上映館数を誇った大メジャーのファースト・ナショナル社からの移籍第一作が中編『犬の生活』で、この年は軍隊喜劇の『担え銃』もあり、以下、
1919年『サニー・サイド』『一日の行楽』公開
1920年『キッド』制作
1921年『キッド』『のらくら』公開
1922年『給料日』公開、『偽牧師』『巴里の女性』制作
1923年『偽牧師』『巴里の女性』公開
この1918年~1923年の作品中『キッド』はチャップリン監督作初の長編になり、『巴里の女性』は長編第二作になります。『一日の行楽』『のらくら』『給料日』は短編で、他は中編ですがドラマの密度はすでに長編の風格があります。

『偽牧師』はファースト・ナショナル社最後の作品となり、『巴里の女性』はグリフィス、チャップリン、ダグラス・フェアバンクスとメアリー・ピックフォードの四者で設立したユナイテッド・アーティスツ第一弾作品でした。フェアバンクスとピックフォードは当時人気最高の男女スター、グリフィスは最大の映画監督でしたから、映画界入り五年でファースト・ナショナル、さらに五年でユナイテッド・アーティストに名をつらねたチャップリンの成功は驚異的でした。

『巴里の女性』までチャップリンはエドナ・パーヴィアンスを起用し続けますがエドナはヒロインであってもエッサネイ~ミューチュアル時代のように前面には出てこず、『犬の生活』なら犬、『キッド』なら少年がチャップリンが体を張って守りぬくパートナーなのです。実生活でも愛人関係にあったエドナとは1918年のチャップリンの最初の結婚以降は監督と女優の間柄に戻り、チャップリンが監督に徹したシリアス作品の『巴里の女性』はいわばエドナへの花道でした。

もしファースト・ナショナルでの作品群でもエドナにエッサネイ~ミューチュアル時代のようなヒロイン役を演じさせていたら、そうでなくても喜劇映画よりむしろドラマ作品に近づいていたチャップリン作品は恋愛要素が強く出てしまっていたでしょう。またチャップリンが実際はもう貧困な放浪者ではなく大金持ちの大スターであることも大衆には浸透しており、そのためにも相手役は美人女優よりも犬や子供でなければならなかったのです。

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