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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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アル中病棟入院記249

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(人物名はすべて仮名です)
・5月18日(火)追記
「体育の後すぐロビーでメール書きに取り掛かれたのではなかった。深川さんという女性ケースワーカーが待っていて、調査面談ということで集団療法室で細かく具体的に訊かれた。入院中の心境や感想、病識と退院後の生活計画、自助グループへの参加の意志の有無など。善意に基づく面談だとは心得ているがずっと彼女の腕時計の長針が気になる。とにかく具体的に、それにはなるべく要点を絞って簡潔に答え、なんとか30分で放免される。滝口さんへのメールはそれから大急ぎで書き上げる。メール返信の用さえなければひまつぶしに延々話していても良かった。入院経験のある人はみんなこうして退院直前に調査面談を受けるとしても、八~九割の人が二年以内に再入院してしまう、そうした医療成果についても訊き返したかった。現在のアルコール科は初入院よりも再入院者の方が多い。冬村さんですら手を焼くわけで、二か月前は再入院者は木島さん一人だった。再入院者が多ければ今のように悪ずれした雰囲気にもなるのは仕方あるまい」

・5月19日(水)晴れのち雨のち曇り
(明日退院)
「まる一日をこの病院で過ごすのは、今日が最後になる。そう思うと、毎日おいしく食べていた献立が単調で味気なく感じられる。自分にとっては特別な一日でも病院にとっては普段の一日なのだ。検温、朝の会。河尻くんのあいさつは、河尻です、ガンダムが好きです、よろしくお願いします―と明るくて感心する。おかげでさっそく坂部にガンダム話をふっかけられていたが。普通、精神科では公けな自己紹介の席は設けられないと思うし、少なくともこれまでの自分の入院経験ではそうなのだが、アルコール科では集団療法が行われるから自己紹介が必要になる。ガンダムが好きです、とはわかりやすくて良い。アルコール科への再入院だけはご免だが、セーラームーンが好きです、というのもバリアが張れていいかもしれない」

「全体会。尾崎さんに頼まれた冷蔵庫整理当番と日直の兼務の確認し、先週のように診察、または今日のように授業が午後一時半とある時は掃除時間はそれに合わせて30分繰り上げか混乱を避けるために統一してほしい、と提案し、これで少なくとも当面必要な確認事項は質したことになる。病院の前のコンビニに行って少年サンデー立ち読み。この店もこれが最後だ」
(続く)

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