第五章。
未登場人物・三人の魔女トロール&子だくさんの母トロール(ミムラ夫人)。
ミムラ夫人、ミムラやミイの母親。35人の子を持つムーミン谷一多産な夫人。スナフキンの実の母親。
三人の魔女トロール。
その一、トゥーティッキ。帽子にシマシマの服を着た気のいい魔女。冬眠から目覚めたムーミンに冬の暮し方を教える。
その二、モラン。通った道は凍りつき、座りこんだ場所には何も生えなくなる。世界一冷たい灰色の魔女トロール。
その三、フィリフヨンカ。フィリフヨンカ族の魔女。フィリフヨンカ族はきれい好きで神経質で気が小さいのが共通点。だが…
※
長い悪夢を見ていたような気分なのはスナフキンに限らず、ムーミン谷に結界を張る三人の魔女も同じでした。この三人の魔女は協力して結界を張り、ムーミン谷を世界から隔絶させてきましたが、おたがいの存在はおろか自分たちが結界を張っている魔女であるのも知らなかったのです。
ですからこの結界はいたるところがほころびかけていました。これを身近なものにたとえると、何度結んでもほどけてしまう靴ひものようなものです。なぜわれわれは靴ひもを結ぶかといえばもちろん、履いて歩くためですが、歩くと靴ひもがほどけてしまう。しかし歩かなくては靴ひもを結んだ意味がない。
それと同じでこの結界は、なまじ張られているために全世界から注目を浴びる地帯になっていました。つまり結界など張られていなければここは、単に北の国の無人地帯で済んだはずなのです。
ですが結界の存在自体がこの地帯を結果的に神話化させてしまったのは、結界に踏み込んで帰ってきた人が誰もいないからで、そのことからも外部の研究機関ではこの結界の性質を外部からの侵入は許すが、元々の住人であれ外部からの調査員であれ、内部からの脱出は厳重に食い止めている、と判断していました。
この事態は、魔女たちの存在が続く限り続くことでした。魔女たちの結界を発動させたのが、発動の魔力の代償に35人の子だくさんになったミムラ夫人でした。なぜミムラ夫人が、といえばミムラ族は単性生殖だったからです。
結界の魔力発動と引き替えに起ったのは、結界内すべての生命のトロール化であり、記憶はすべて失われました。またはただの空想と区別がつかなくなったのです。スナフキンが見ていた悪夢は永遠に続くムーミン谷の現実そのものでした。
未登場人物・三人の魔女トロール&子だくさんの母トロール(ミムラ夫人)。
ミムラ夫人、ミムラやミイの母親。35人の子を持つムーミン谷一多産な夫人。スナフキンの実の母親。
三人の魔女トロール。
その一、トゥーティッキ。帽子にシマシマの服を着た気のいい魔女。冬眠から目覚めたムーミンに冬の暮し方を教える。
その二、モラン。通った道は凍りつき、座りこんだ場所には何も生えなくなる。世界一冷たい灰色の魔女トロール。
その三、フィリフヨンカ。フィリフヨンカ族の魔女。フィリフヨンカ族はきれい好きで神経質で気が小さいのが共通点。だが…
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長い悪夢を見ていたような気分なのはスナフキンに限らず、ムーミン谷に結界を張る三人の魔女も同じでした。この三人の魔女は協力して結界を張り、ムーミン谷を世界から隔絶させてきましたが、おたがいの存在はおろか自分たちが結界を張っている魔女であるのも知らなかったのです。
ですからこの結界はいたるところがほころびかけていました。これを身近なものにたとえると、何度結んでもほどけてしまう靴ひものようなものです。なぜわれわれは靴ひもを結ぶかといえばもちろん、履いて歩くためですが、歩くと靴ひもがほどけてしまう。しかし歩かなくては靴ひもを結んだ意味がない。
それと同じでこの結界は、なまじ張られているために全世界から注目を浴びる地帯になっていました。つまり結界など張られていなければここは、単に北の国の無人地帯で済んだはずなのです。
ですが結界の存在自体がこの地帯を結果的に神話化させてしまったのは、結界に踏み込んで帰ってきた人が誰もいないからで、そのことからも外部の研究機関ではこの結界の性質を外部からの侵入は許すが、元々の住人であれ外部からの調査員であれ、内部からの脱出は厳重に食い止めている、と判断していました。
この事態は、魔女たちの存在が続く限り続くことでした。魔女たちの結界を発動させたのが、発動の魔力の代償に35人の子だくさんになったミムラ夫人でした。なぜミムラ夫人が、といえばミムラ族は単性生殖だったからです。
結界の魔力発動と引き替えに起ったのは、結界内すべての生命のトロール化であり、記憶はすべて失われました。またはただの空想と区別がつかなくなったのです。スナフキンが見ていた悪夢は永遠に続くムーミン谷の現実そのものでした。