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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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アメリカ喜劇映画の起源(1)

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趣味などどこで決るか判らないもので、中学生の頃に繰り返し熱心に読んでいたのは小林信彦のエッセイ集だった。小説の二大傑作、「大統領の密使」「大統領の晩餐」は何度読んだか数えられないし、長編エッセイ「パパは神様じゃない」と「つむじ曲がりの世界地図」も愛読したが、特にすみずみまで憶えこんだのは「東京のロビンソン・クルーソー」「東京のドン・キホーテ」、そして「世界の喜劇人」「日本の喜劇人」だった。小林信彦がエッセイで触れている小説、映画は全部逃すまいとして青年時代までを過ごしたようなものだ。小林信彦と関係なく興味を深めていったのは音楽と、女の口説き方くらいかもしれない。小林信彦10割だったら女にモテません(笑)。

その「世界の喜劇人」に、1967に世界40か国の批評家投票によるカナダ映画協会の喜劇映画ベスト10が紹介されている。
1.チャップリンの黄金狂時代(25年)
2.キートン将軍(26)
3.マルクス兄弟・オペラは踊る(35)
4.ぼくの伯父さんの休暇(52)
5.我輩はカモである(33)
-.モダン・タイムズ(36)
7.ル・ミリオン(31)
-.マダムと泥棒(55)
9.イタリア麦の帽子(27)
10.ロイドの要心無用(23)
―と、一見なんでもないように見えて実は相当苦労したリストなのが映画の実物を観ると判る。ルネ・クレールから『ル・ミリオン』『イタリア麦の帽子』と二本も入ったが、クレールを入れないとジャック・タチが入れづらい。タチも『~休暇』より『ぼくの伯父さん』に大衆性があるが、渋いのにした。『マダムと泥棒』はイギリス喜劇への敬意だろう。

あとの作品はサイレント期アメリカ三大喜劇王、チャールズ・チャップリンとハロルド・ロイド、バスター・キートンと、トーキー初期No.1コメディ・チーム、マルクス兄弟。この四組がアメリカ喜劇映画初期の最高の達成を見せてくれる。実はこの四組だけでも喜劇映画ベスト10どころかベスト30はいけるのだが、バランスを考慮した結果フランス映画三本、イギリス映画一本が入選したようなものだろう。
このリストが苦渋の選択なのは、チャップリン、ロイド、キートン、マルクス兄弟の全作品を観るといよいよ身に染みてくる。野暮を承知でご案内したい。

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