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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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アル中病棟入院記178

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(人名はすべて仮名です)
・4月12日(月)曇りのち雨
「昨晩、消灯後のデイルームで根島看護婦とわれわれ患者との間でひと悶着あって、病院側のルーズさが問題だったので冬村さんが先頭に立って患者を代表するかたちだった。ホワイトボードに酒歴発表の記載がない(月間スケジュールには記載されているが)。さらに前回の発表は予定表には記載があったのにホワイトボードには金田さんの名前しか書かれず、退院日がもう決っている仲村画伯の発表は飛ばされてしまった。発表待ちの松本さん、渥美さんも同じことになりかねない。そこで午前中のプログラムがないのを幸い、酒歴合格済みの松本さん・渥美さんともども予定を早めて三人とも翌日発表と決った。仲村画伯に合わせるなら早めるしかない」

「それで今日の午前は、朝の会を終えると少しの休みを置いて松本さん、渥美さん(佐伯代読)、仲村画伯の順で酒歴原稿の朗読発表になった。代読に当ってはあらかじめ渥美さんから紹介があった。松本さん、仲村画伯はさすがにところどころ言葉に詰まっていたが、渥美さんの酒歴原稿は半月以上ほぼ毎日かけて練り上げたものだ。言わずもがなの部分は簡潔に、強調すべき箇所は入念に表現を磨いた。淡々と読み上げ、以上です。ありがとうございました、を言い忘れたが原稿の文末と重複するからいいか、と拍手をもらいながら着席した。立って朗読するきまりはなく、これまでもどの人も座ったまま発表していたが、声量に自信がないのと代読という立場上、起立して朗読することにしたのだ。合格原稿を朗読すれば入院履修ノルマはおしまいなので、これで渥美さんのお手伝いも句切りがついたことになる」

「酒歴発表の感想文を書いて提出、朝食頃は曇りだったが雨天。少年ジャンプの『HUNTER×HUNTER』を立ち読みしにだけコンビニに行く(第304回)。まもなく、昼食になり、終って一服し部屋に戻ると渥美さんが新聞買いに行くから、と誘ってくる。渥美さんのお伴をするのも入院中のリハビリみたいなものだ。今日も渥美さんは自分の買い物が済むと五百円玉を差し出してきて何でも好きなものを、とうながされたが、そんなに毎回はいただけません、と控えめにお断りした。好意からなのだから受けても良かったのだが、酒歴発表も終えたばかりでかえって今日は遠慮したい気持の方が強かった」(続く)

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