シーラ・ジョーダン Sheila Jordan - イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ If You Could See Me Now (Tadd Dameron, Carl Sigman) (Blue Note, 1963) : https://youtu.be/8d_ajRsQH8g - 4:32
Recorded at The Van Gelder Studio
Englewood Cliffs, New Jersey, September 19, 1962
Released by Blue Note Records as the album "Portrait of Sheila", BST 89002, January 1963
[ Personnel ]
Sheila Jordan - voice, Barry Galbraith - guitar, Steve Swallow - bass, Denzil Best - drums
ビ・バップ時代のピアニスト/バンドリーダー、タッド・ダメロン(1917-1965)はバンドからバド・パウエル、ファッツ・ナヴァロ、マイルス・デイヴィス、サラ・ヴォーンらを輩出し、晩年にもサイドマン=セッションミュージシャン時代のジョン・コルトレーンやビル・エヴァンスを迎えたアルバムを残していますが、ピアニストよりもバンドリーダー、作曲家、編曲家としての活動で名を残した人でした。ダメロンの書いたバップ曲は美しく滑らかなメロディーとコード進行で愛され、代表的な曲に「ホット・ハウス」や「アワ・デライト」、「グッド・ベイト」や「レディ・バード」などがありますが、バラード曲の極めつけといえば盟友ディジー・ガレスピーとともに発掘した新人女性シンガー、サラ・ヴォーン(1924-1990)のために1944年のサラの録音のために書き下ろしたこの「イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ」でしょう。シーラ・ジョーダン(1928-)はビ・バップのヒップな若い白人女性ファンで、ファンが嵩じてチャーリー・パーカーのバンドのピアニストだったデューク・ジョーダンと結婚した人でしたから、こういったビ・バップ最前線の黒人ジャズマンとはファミリー的交友関係がありました。デューク・ジョーダンと離婚したその年に34歳にしてジャズ・ヴォーカリストとしてデビュー・アルバムを吹きこむことになって、この曲をみずみずしく歌いあげているのはシーラ・ジョーダンならではのビ・バップからの深い蓄積がうかがえます。
バックのギター、ベース、ドラムスだけの伴奏も見事なもので、ドラムスのデンジル・ベスト(1917-1965)だけが黒人ジャズマンですが、作曲家としてもビ・バップ・スタンダード「ムーヴ」で知られるベストはもちろん前記の尖鋭ビ・バップ・ジャズマンに混じって活動してきた人ながら、1953年に交通事故で両足を負傷して以来第一線を退き、ごく稀にしか演奏しないミュージシャンになりました。この曲で聴けるベストのブラシによるドラムス演奏はジャズ・ドラムスのブラシ・プレイでも白眉のものです。この曲は1998年にグラミー賞の名曲の殿堂入りを果たしており、器楽ジャズでもギル・エヴァンス、チェット・ベイカー、ユーゼフ・ラティーフ、レッド・ガーランド、ボビー・ティモンズ、ビル・エヴァンス、デクスター・ゴードン、ウェス・モンゴメリーなど白人黒人問わず愛されている曲ですが、テーマ・メロディーを端正に歌ったヴォーカル・ヴァージョンはこのシーラ・ジョーダンのアルバムのヴァージョンを真っ先に上げたいと思います。
Recorded at The Van Gelder Studio
Englewood Cliffs, New Jersey, September 19, 1962
Released by Blue Note Records as the album "Portrait of Sheila", BST 89002, January 1963
[ Personnel ]
Sheila Jordan - voice, Barry Galbraith - guitar, Steve Swallow - bass, Denzil Best - drums
ビ・バップ時代のピアニスト/バンドリーダー、タッド・ダメロン(1917-1965)はバンドからバド・パウエル、ファッツ・ナヴァロ、マイルス・デイヴィス、サラ・ヴォーンらを輩出し、晩年にもサイドマン=セッションミュージシャン時代のジョン・コルトレーンやビル・エヴァンスを迎えたアルバムを残していますが、ピアニストよりもバンドリーダー、作曲家、編曲家としての活動で名を残した人でした。ダメロンの書いたバップ曲は美しく滑らかなメロディーとコード進行で愛され、代表的な曲に「ホット・ハウス」や「アワ・デライト」、「グッド・ベイト」や「レディ・バード」などがありますが、バラード曲の極めつけといえば盟友ディジー・ガレスピーとともに発掘した新人女性シンガー、サラ・ヴォーン(1924-1990)のために1944年のサラの録音のために書き下ろしたこの「イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ」でしょう。シーラ・ジョーダン(1928-)はビ・バップのヒップな若い白人女性ファンで、ファンが嵩じてチャーリー・パーカーのバンドのピアニストだったデューク・ジョーダンと結婚した人でしたから、こういったビ・バップ最前線の黒人ジャズマンとはファミリー的交友関係がありました。デューク・ジョーダンと離婚したその年に34歳にしてジャズ・ヴォーカリストとしてデビュー・アルバムを吹きこむことになって、この曲をみずみずしく歌いあげているのはシーラ・ジョーダンならではのビ・バップからの深い蓄積がうかがえます。
バックのギター、ベース、ドラムスだけの伴奏も見事なもので、ドラムスのデンジル・ベスト(1917-1965)だけが黒人ジャズマンですが、作曲家としてもビ・バップ・スタンダード「ムーヴ」で知られるベストはもちろん前記の尖鋭ビ・バップ・ジャズマンに混じって活動してきた人ながら、1953年に交通事故で両足を負傷して以来第一線を退き、ごく稀にしか演奏しないミュージシャンになりました。この曲で聴けるベストのブラシによるドラムス演奏はジャズ・ドラムスのブラシ・プレイでも白眉のものです。この曲は1998年にグラミー賞の名曲の殿堂入りを果たしており、器楽ジャズでもギル・エヴァンス、チェット・ベイカー、ユーゼフ・ラティーフ、レッド・ガーランド、ボビー・ティモンズ、ビル・エヴァンス、デクスター・ゴードン、ウェス・モンゴメリーなど白人黒人問わず愛されている曲ですが、テーマ・メロディーを端正に歌ったヴォーカル・ヴァージョンはこのシーラ・ジョーダンのアルバムのヴァージョンを真っ先に上げたいと思います。