スタン・ゲッツ・フューチャリング・アストラッド・ジルベルト Stan Getz Quartet Featuring Astrud Gilberto - ワン・ノート・サンバ Samba de uma Nota So (One Note Samba) (Antonio Carlos Jobim, Newton Mendonca) (Verve, 1964) : https://youtu.be/_Y1qM9E-MyQ - 3:19
Recorded live at Carnegie Hall, New York City, October 9, 1964
Released by Mercury/Verve Records as the album "Getz Au Go Go", Verve
V6-8600, Mid December 1964
[ Stan Getz Quartet Featuring Astrud Gilberto ]
Stan Getz - tenor saxophone, Astrud Gilberto - vocals, Gary Burton - vibes, Chuck Israels - bass, Joe Hunt - drums
この曲「ワン・ノート・サンバ」はブラジルのボサ・ノヴァ歌手=ギタリストのジョアン・ジルベルト(1931-)が1960年のアルバムで作曲家でジャズ・ピアニストのアントニオ・カルロス・ジョビン(1927-1994)から提供されて録音したのが初演で、以降ボサ・ノヴァの代表的スタンダード(ジョビン作曲の曲のほとんどがそうですが)になりました。もともとモダン・ジャズにはラテン・ビートを取り入れたディジー・ガレスピー以来の成果がありましたが、ジルベルトやジョビンはクール・ジャズやウェスト・コースト・ジャズなどの白人主導のモダン・ジャズの影響を受けたブラジルの白人ミュージシャンで、アメリカではエキゾチックな題材への取り組みが早かったハービー・マンやスタン・ゲッツ(1927-1991)がいち早くボサ・ノヴァに目をつけ、特にゲッツはボサ・ノヴァ・アルバム第1弾『ジャズ・サンバ』'62をチャート最高位1位(チャートイン70週)、第4弾でジョアン・ジルベルトとアントニオ・カルロス・ジョビンをブラジルから招いた『ゲッツ/ジルベルト』'64をチャート最高位2位(チャートイン96週)の大ヒット・アルバムにし(『ゲッツ/ジルベルト』が1位を逃したのはビートルズのアメリカ・デビュー作と重なったからです)、シングルも「ディサフィナード」'62が最高位15位、「イパネマの娘」'64が最高位5位と、アルバム、シングルともにジャズのレコードでは異例のポップ・ヒットになりました。
ここに上げたのはゲッツのボサ・ノヴァ・アルバム第5弾でヴィブラフォンの新鋭ゲイリー・バートンを迎えた新カルテットによるライヴ・アルバム『ゲッツ・オウ・ゴー・ゴー』'64収録テイクで、ゲッツはそれまでのボサ・ノヴァ・アルバムでもこの曲を演っていますがアルバム10曲中6曲にアストラッド・ジルベルト(1940-)をヴォーカルに迎えた曲の出来が同アルバムでも特に良く、アストラッドは自分のアルバムでは英語歌詞でこの曲を録音しますが、ポルトガル語の原詞で歌うこのヴァージョンの方が簡素なバンドの演奏とあいまってより良いと思います。「ワン・ノート(1音符)サンバ」というだけあってこの曲はAA'BA'がそれぞれ1音符の音程だけ、ブリッジのCC'が音列の昇降だけという本来異例の曲で、ゲッツのテナーも5度音程の1音をオクターヴを変えるだけのニュアンスで吹き、ブリッジ部分も音階の昇降だけという天才テナー奏者のお遊びのような演奏ですが、それだけで聴かせてしまうとは何ということでしょうか。ゲッツのテナーにはそういう音楽の魔力を操る力があるのです。
Recorded live at Carnegie Hall, New York City, October 9, 1964
Released by Mercury/Verve Records as the album "Getz Au Go Go", Verve
V6-8600, Mid December 1964
[ Stan Getz Quartet Featuring Astrud Gilberto ]
Stan Getz - tenor saxophone, Astrud Gilberto - vocals, Gary Burton - vibes, Chuck Israels - bass, Joe Hunt - drums
この曲「ワン・ノート・サンバ」はブラジルのボサ・ノヴァ歌手=ギタリストのジョアン・ジルベルト(1931-)が1960年のアルバムで作曲家でジャズ・ピアニストのアントニオ・カルロス・ジョビン(1927-1994)から提供されて録音したのが初演で、以降ボサ・ノヴァの代表的スタンダード(ジョビン作曲の曲のほとんどがそうですが)になりました。もともとモダン・ジャズにはラテン・ビートを取り入れたディジー・ガレスピー以来の成果がありましたが、ジルベルトやジョビンはクール・ジャズやウェスト・コースト・ジャズなどの白人主導のモダン・ジャズの影響を受けたブラジルの白人ミュージシャンで、アメリカではエキゾチックな題材への取り組みが早かったハービー・マンやスタン・ゲッツ(1927-1991)がいち早くボサ・ノヴァに目をつけ、特にゲッツはボサ・ノヴァ・アルバム第1弾『ジャズ・サンバ』'62をチャート最高位1位(チャートイン70週)、第4弾でジョアン・ジルベルトとアントニオ・カルロス・ジョビンをブラジルから招いた『ゲッツ/ジルベルト』'64をチャート最高位2位(チャートイン96週)の大ヒット・アルバムにし(『ゲッツ/ジルベルト』が1位を逃したのはビートルズのアメリカ・デビュー作と重なったからです)、シングルも「ディサフィナード」'62が最高位15位、「イパネマの娘」'64が最高位5位と、アルバム、シングルともにジャズのレコードでは異例のポップ・ヒットになりました。
ここに上げたのはゲッツのボサ・ノヴァ・アルバム第5弾でヴィブラフォンの新鋭ゲイリー・バートンを迎えた新カルテットによるライヴ・アルバム『ゲッツ・オウ・ゴー・ゴー』'64収録テイクで、ゲッツはそれまでのボサ・ノヴァ・アルバムでもこの曲を演っていますがアルバム10曲中6曲にアストラッド・ジルベルト(1940-)をヴォーカルに迎えた曲の出来が同アルバムでも特に良く、アストラッドは自分のアルバムでは英語歌詞でこの曲を録音しますが、ポルトガル語の原詞で歌うこのヴァージョンの方が簡素なバンドの演奏とあいまってより良いと思います。「ワン・ノート(1音符)サンバ」というだけあってこの曲はAA'BA'がそれぞれ1音符の音程だけ、ブリッジのCC'が音列の昇降だけという本来異例の曲で、ゲッツのテナーも5度音程の1音をオクターヴを変えるだけのニュアンスで吹き、ブリッジ部分も音階の昇降だけという天才テナー奏者のお遊びのような演奏ですが、それだけで聴かせてしまうとは何ということでしょうか。ゲッツのテナーにはそういう音楽の魔力を操る力があるのです。