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ジョン・コルトレーン John Coltrane - ワイズ・ワン Wise One (Impulse!, 1964)

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ジョン・コルトレーン John Coltrane - ワイズ・ワン Wise One (John Coltrane) (Impulse!, 1964) : https://youtu.be/UYE-kn5GR_0 - 9:00
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey, April 27, 1964
Released by ABC/Impulse! Records as the album "Crescent", Impulse! A-66, July 1964
[ John Coltrane Quartet ]
John Coltrane - tenor saxophone, McCoy Tyner - piano, Jimmy Garrison - bass, Elvin Jones - drums

 ジョン・コルトレーン(1926-1967)のカルテットは'60年代には元メンバーの一員だったマイルス・デイヴィス(1926-1981)のクインテットをしのぐジャズ界のイノヴェーターとして神格化され、メジャーのABCレコーズ傘下のインパルス!レーベルはコルトレーンを看板アーティストとして迎えて設立されたレーベルでしたが、半年1作ペースで発売されるコルトレーンの新作アルバムは若手ジャズマンに新たな教典のように回し聴きされ、手本となり、目標とされるようになったといいます。コルトレーンのジャズはバップ以降のジャズの総決算であるとともに最尖鋭のフリー・ジャズとも積極的に接点を持っていましたが、アルバム『クレッセント』は次作で'64年12月録音のアルバム『至上の愛』'65からのコルトレーンの音楽的指向の変化の分かれ道となるアルバムになりました。『クレッセント』は'64年4月27日に3曲、6月1日に2曲を完成して7月に発売されますが、6月にチャールズ・ミンガスのバンドのヨーロッパ・ツアーで渡欧したコルトレーンの当初のクインテット時代のパートナーで親友のエリック・ドルフィー(アルトサックス、バスクラリネット、フルート、1928-1964)は6人編成中一人は病気で中途帰国、さらにピアニストのジャッキー・バイアードとドルフィーは帰国後の仕事のあてがないためヨーロッパに残留してどさ回りを選び(無事に帰国したのは三人だけ、ということです)、ドルフィーはヨーロッパ各国で地元ジャズマンと共演してパリ留学中の婚約者のバレエ・ダンサーの女性と8月結婚を予定していましたが、6月29日に36歳の誕生日から9日後に公演先のベルリンで糖尿病の急性症状によって客死しました。
 一方、入れ違いのように前年に軍務で渡欧したあとヨーロッパ留学から帰国したアルバート・アイラー(テナーサックス、1936-1970)が'64年6月にはライヴで完成したアレンジで演奏していたフリー・ジャズの画期的アルバム『スピリチュアル・ユニティ』'65を'64年7月10日に録音し、同作はフリー・ジャズの新インディー・レーベルESPの第1弾アルバムになりましたが、アイラーは'64年中に同作に先立つアルバム『マイ・ネーム・イズ・アルバート・アイラー』'64('63年1月ヨーロッパ録音)を発表し、アメリカ帰国後の第1弾アルバム『スピリッツ』'66('64年2月録音)を完成しており、ファロア・サンダース、アーチー・シェップと並んでコルトレーンがもっとめ注目していた20代の新鋭テナー奏者でした。ドルフィーの遺族からは形見にドルフィーが使用していたフルートを譲り受け、アイラーがESPとの契約が切れるやインパルス!レーベルに迎え入れたのはコルトレーンで、インパルス!からのアイラーへの支払いが少ないと考えたコルトレーンは自分へのギャラからもアイラーにボーナスを支給したほどでした。ドルフィーの死、アイラーの本格的活動がコルトレーンの2作『クレッセント』と『至上の愛』の間にコルトレーンにとってもっとも大きな衝撃を与えたので、音楽を演奏することについて、極端に言えば根本的な死生観の違いからコルトレーンの考えが変化したのが次作『至上の愛』で起こります。その直前の最高の達成が名曲揃いのアルバム『クレッセント』で、この「ワイズ・ワン」もそうです。あるいはここまで沈鬱な境地に達していたからこそドルフィーの急逝、アイラーの登場はコルトレーンに深く突き刺さったのかもしれません。

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