ルー・ドナルドソン / クリフォード・ブラウン Lou Donaldson / Clifford Brown - カーヴィン・ザ・ロック Carvin' the Rock (Elmo Hope, Sonny Rollins) (Blue Note, 1953) : https://youtu.be/eWNqOIGMEWw - 3:56
Recorded at WOR Studios, New York City, June 9, 1953
Released by Blue Note Records as the 10-inch album "Lou Donaldson/Clifford Brown - New Faces-New Sounds", BLP 5030, 1953
[ Personnel ]
Clifford Brown - trumpet, Lou Donaldson - alto saxophone, Elmo Hope - piano, Percy Heath - bass, Philly Joe Jones - drums
エルモ・ホープ(ピアノ、1923-1967)はR&B畑でのレコーディングはありましたが(ボックス・セット『Atlantic Rhythm and Blues 1947-1974』に収録されています)モダン・ジャズの録音はブルー・ノート・レコーズでの起用が初めてで、3枚の10インチ・アルバム『Elmo Hope Trio - New Faces-New Sounds』'53、『Lou Donaldson/Clifford Brown - New Faces-New Sounds』'53、『Elmo Hope Quintet - New Faces-New Sounds, Volume 2』'54、『Lou Donaldson Sextet, Vol. 2』'54を残した後ブルー・ノートとの契約を失いました。この4作に収録された全24曲(1曲のみホープ作曲の『Lou Donaldson Sextet, Vol. 2』を除けば3作全20曲)中エルモ・ホープ自身のオリジナル曲は14曲で、うち今回の「カーヴィン・ザ・ロック」は唯一ソニー・ロリンズとの共作曲で(ホープは先輩ピアニストのセロニアス・モンク、学校で同級生だったバド・パウエルを通してロリンズと知りあい、ロリンズはホープの参加していたドナルドソン&ブラウン・クインテットの友人でもありましたから、ホープはのちにロリンズのアルバム『Moving Out』'54のサイドマンを勤めます)、『Elmo Hope Trio』でピアノ・トリオ(ピアノ、ベース、ドラムス)編成で初演され、『Lou Donaldson/Clifford Brown』ではアルバムのオープニング曲になりました。ドナルドソン&ブラウン・クインテットはブルー・ノート・レコーズの企画でホレス・シルヴァー(ピアノ)&アート・ブレイキー(ドラムス)・トリオと組まされてアート・ブレイキー・クインテットとしてライヴ録音の『At Night at The Birdland, Vol,1/2/3』を'54年2月に録音し、それをきっかけにドナルドソン&ブラウン・クインテットは解散、ドナルドソンとブラウンはそれぞれ独立し、シルヴァー&ブレイキーはホレス・シルヴァー・クインテット、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズに発展分岐していきます。そして仲間たちが皆出世し有力新人も続々デビューしてくる中で、尻すぼみ状態ながら晩年までほそぼそと活動を続けたのがエルモ・ホープというピアニストでした。
先にエルモ・ホープ・トリオのデビュー作の方が出ていたドナルドソン&ブラウン・クインテットのデビュー作でも全6曲中ホープのオリジナル曲3曲、ドナルドソンとブラウンのオリジナル曲が1曲ずつ、1曲はスタンダードという配分で、オリジナル曲に関する限りホープの貢献の大きいバンドでした。しかしホープは「オリジナル曲はいいけどピアノの腕前は……」とあっという間にシーンの前線から押しのけられてしまい、マイルス・デイヴィスの晩年の自伝はさながら'30年代~'80年代ジャズマン人物史の観がある壮大なアメリカのジャズ界変遷史ですが、ホープの名前は1か所、マイルスが麻薬中毒で切羽詰まっていた'50年代前半にホープに頼んで調達してもらった、というエピソードだけです(当時ホープはジャズの仕事がなく売人をしていました)。このかっこいいハード・バップ曲「カーヴィン・ザ・ロック」は筆者が10年ほど前に未決囚監に収監されていた4か月の間、土日だけ流れるラジオ放送で唯一聴くことができた(偶然放送されていた)ジャズ曲でした。ああエルモ・ホープの曲だ、クインテットだからドナルドソン&ブラウン・クインテットのヴァージョンだ、と心の中で涙が流れました。結婚のための用事でさらにその10年前に秋田に出向いて、晩にホテルの部屋のラジオでかかった唯一のジャズ曲がアート・ブレイキー・クインテットの(『At Night at The Birdland』の、ホレス・シルヴァーのオリジナル曲)「Split Kick」でしたが、入獄したのは離婚がらみの事情だったので、結婚の時も離婚の時もこれかと思うと胸が裂けました。ジャズ聴いていて良かったなあ、と心から思えたひと時でした。人生の伴侶となる音楽とはそういうものです。
Elmo Hope Trio - Carvin' the Rock (Blue Note, 1953) : https://youtu.be/KTinj7XTaSE - 2:57 (Track No.2)
Recorded at Van Gelder Studion in Hackensack, New Jersey, June 18, 1953
Released by Blue Note Records as the 10-inch album "Elmo Hope Trio - New Faces-New Sounds", BLP5029, 1953
[ Personnel ]
Elmo Hope - piano, Percy Heath - bass, Philly Joe Jones - drums
Recorded at WOR Studios, New York City, June 9, 1953
Released by Blue Note Records as the 10-inch album "Lou Donaldson/Clifford Brown - New Faces-New Sounds", BLP 5030, 1953
[ Personnel ]
Clifford Brown - trumpet, Lou Donaldson - alto saxophone, Elmo Hope - piano, Percy Heath - bass, Philly Joe Jones - drums
エルモ・ホープ(ピアノ、1923-1967)はR&B畑でのレコーディングはありましたが(ボックス・セット『Atlantic Rhythm and Blues 1947-1974』に収録されています)モダン・ジャズの録音はブルー・ノート・レコーズでの起用が初めてで、3枚の10インチ・アルバム『Elmo Hope Trio - New Faces-New Sounds』'53、『Lou Donaldson/Clifford Brown - New Faces-New Sounds』'53、『Elmo Hope Quintet - New Faces-New Sounds, Volume 2』'54、『Lou Donaldson Sextet, Vol. 2』'54を残した後ブルー・ノートとの契約を失いました。この4作に収録された全24曲(1曲のみホープ作曲の『Lou Donaldson Sextet, Vol. 2』を除けば3作全20曲)中エルモ・ホープ自身のオリジナル曲は14曲で、うち今回の「カーヴィン・ザ・ロック」は唯一ソニー・ロリンズとの共作曲で(ホープは先輩ピアニストのセロニアス・モンク、学校で同級生だったバド・パウエルを通してロリンズと知りあい、ロリンズはホープの参加していたドナルドソン&ブラウン・クインテットの友人でもありましたから、ホープはのちにロリンズのアルバム『Moving Out』'54のサイドマンを勤めます)、『Elmo Hope Trio』でピアノ・トリオ(ピアノ、ベース、ドラムス)編成で初演され、『Lou Donaldson/Clifford Brown』ではアルバムのオープニング曲になりました。ドナルドソン&ブラウン・クインテットはブルー・ノート・レコーズの企画でホレス・シルヴァー(ピアノ)&アート・ブレイキー(ドラムス)・トリオと組まされてアート・ブレイキー・クインテットとしてライヴ録音の『At Night at The Birdland, Vol,1/2/3』を'54年2月に録音し、それをきっかけにドナルドソン&ブラウン・クインテットは解散、ドナルドソンとブラウンはそれぞれ独立し、シルヴァー&ブレイキーはホレス・シルヴァー・クインテット、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズに発展分岐していきます。そして仲間たちが皆出世し有力新人も続々デビューしてくる中で、尻すぼみ状態ながら晩年までほそぼそと活動を続けたのがエルモ・ホープというピアニストでした。
先にエルモ・ホープ・トリオのデビュー作の方が出ていたドナルドソン&ブラウン・クインテットのデビュー作でも全6曲中ホープのオリジナル曲3曲、ドナルドソンとブラウンのオリジナル曲が1曲ずつ、1曲はスタンダードという配分で、オリジナル曲に関する限りホープの貢献の大きいバンドでした。しかしホープは「オリジナル曲はいいけどピアノの腕前は……」とあっという間にシーンの前線から押しのけられてしまい、マイルス・デイヴィスの晩年の自伝はさながら'30年代~'80年代ジャズマン人物史の観がある壮大なアメリカのジャズ界変遷史ですが、ホープの名前は1か所、マイルスが麻薬中毒で切羽詰まっていた'50年代前半にホープに頼んで調達してもらった、というエピソードだけです(当時ホープはジャズの仕事がなく売人をしていました)。このかっこいいハード・バップ曲「カーヴィン・ザ・ロック」は筆者が10年ほど前に未決囚監に収監されていた4か月の間、土日だけ流れるラジオ放送で唯一聴くことができた(偶然放送されていた)ジャズ曲でした。ああエルモ・ホープの曲だ、クインテットだからドナルドソン&ブラウン・クインテットのヴァージョンだ、と心の中で涙が流れました。結婚のための用事でさらにその10年前に秋田に出向いて、晩にホテルの部屋のラジオでかかった唯一のジャズ曲がアート・ブレイキー・クインテットの(『At Night at The Birdland』の、ホレス・シルヴァーのオリジナル曲)「Split Kick」でしたが、入獄したのは離婚がらみの事情だったので、結婚の時も離婚の時もこれかと思うと胸が裂けました。ジャズ聴いていて良かったなあ、と心から思えたひと時でした。人生の伴侶となる音楽とはそういうものです。
Elmo Hope Trio - Carvin' the Rock (Blue Note, 1953) : https://youtu.be/KTinj7XTaSE - 2:57 (Track No.2)
Recorded at Van Gelder Studion in Hackensack, New Jersey, June 18, 1953
Released by Blue Note Records as the 10-inch album "Elmo Hope Trio - New Faces-New Sounds", BLP5029, 1953
[ Personnel ]
Elmo Hope - piano, Percy Heath - bass, Philly Joe Jones - drums