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ペギー・リー Peggy Lee - ブラック・コーヒー Black Coffee (Decca, 1953)

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ペギー・リー Peggy Lee - ブラック・コーヒー Black Coffee (Sonny Burke, Paul Francis Webster) (Decca, 1953) : https://youtu.be/c-KKN76HaBc - 3:05
Recorded at Decca Studios, 50 West 57th Street in New York City, May 4, 1953
Released by Decca Records DL 5482 as 10-inch album "Black Coffee with Peggy Lee", 1953, also Re-Released DL 8358 as 12-inch album "Black Coffee with Peggy Lee", 1956
[ Personnel ]
Peggy Lee - vocals, Pete Candoli - trumpet, Jimmy Rowles - piano, Max Wayne - bass, Ed Shaughnessy - drums

 オリジナル・ヴァージョンは1948年、サラ・ヴォーン(1924-1990)のミュージッククラフト盤シングルへの書き下ろし曲で、ヴォーンは翌'49年メジャーのコロンビアに移籍し再録音版でこの曲をヒットさせます。白人ライターによる曲で、ブリッジつきとはいえブルース曲なのも黒人女性歌手への書き下ろし曲だったからですが、オリジナル盤の歌手ヴォーンのヴァージョンよりこの曲の決定版となったのが白人歌手ペギー・リー(1920-2002)の1953年吹き込みのデッカ盤でした。歌詞の内容は都会の真夜中の女性の一人称で、眠ろうとしても眠れず、部屋中をうろうろし、座って何度もドアを見つめてはため息をつき、ニコチンとブラック・コーヒーでぼんやりとする、という失恋またはあるいは不毛な恋を暗示するものです。楽曲自体はとりたてて名曲とするほどではなく、ありふれた変型ブルースの佳曲、という程度でしょう。サラ・ヴォーン盤はストリング・オーケストラにジャズマンのリズム・セクションを加えたアレンジで、この楽曲をあえてポピュラー寄りに仕上げてヒットさせています。
 ペギー・リーは1942年に歌手デビューし、当時のポップスの主流がジャズ・ヴォーカルだったのでジャズ歌手とされる人ですが、デビュー翌年の'43年には100万枚以上のセールスを上げるヒット曲を出し、'48年には全米で年間No.1の売り上げを記録したヒット「マニャーニャ」をリリースするなど、ジャズの範疇にとどまらないアメリカ屈指の人気ポピュラー歌手でした。ロックンロール誕生の'50年代、ロック・バンドの席巻した'60年代にも人気は衰えず、'57年からはキャピトル・レコーズの大黒柱として同レーベルを離れる'72年まで年間2、3枚の新作アルバムをリリースし、グラミー賞ノミネート12回、'69年には最優秀女性ポップ・ヴォーカル賞を、1995年には生涯功労賞を受賞しています。そのペギー・リーの、キャピトル専属以前の最高傑作と名高い名盤が『Black Coffee with Peggy Lee』で、全曲がコンテ・カンドリのトランペットにピアノのジミー・ロウルズ・トリオのカルテットで録音された素晴らしいアルバムです。ヴォーン版はストリング・オーケストラ入りのアレンジでしたが、このペギー・リー版ヴァージョンはぐっとシンプルにヴォーンが師事したビリー・ホリデイ(1915-1959)の伴奏者でもあった白人ピアニスト、ロウルズのピアノ・トリオに、ロサンゼルス・ジャズ界の白人若手トランペット奏者カンドリがのちのロックのリード・ギターが踏襲することになる鋭く退廃的なソロ・ラインでヴォーカルにオブリガートをつけていく時代を超えたもので、オリジナルの黒人女性ジャズ・ヴォーカル版の方がポピュラー寄りで、カヴァーした白人女性ポピュラー・ヴォーカル版の方がよりブルージーになっている面白い逆転現象が起きています。先行ヒットしたヴォーン版と聴き較べてみていただければそれは歴然としていて、ヴォーン版も良いですしヴォーカルは黒いのですが、ペギー・リー版の鋭さには及ばないのです。

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Sarah Vaughan with Joe Lipman & His Orchestra - Black Coffee (Columbia 38462, Released in May 2, 1949) : https://youtu.be/CRyN9wQ1taY - 3:16

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