ジュセッピ・ローガン・カルテット The Giuseppi Logan Quartet - サタンの踊り Dance of Satan (Giuseppi Logan) (ESP, 1965) : https://youtu.be/v8_S1Z15J-A - 5:16
Recorded at Bell Sound Studios, New York City, October 5, 1964
Released by ESP Disk 1007 as album "The Giuseppi Logan Quartet", 1965
[ Personnel ]
Giuseppi Logan - alto and tenor saxophone, Don Pullen - piano, Eddie Gomez - bass, Milford Graves - drums
'60年代の新興ジャズ・レーベルとして名高いインディー・レーベル、ESPディスクの第1回作品としてアルバート・アイラー・トリオの『Spiritual Unity』、バイロン・アレン・トリオの『Byron Allen Trio』とともにリリースされた『The Giuseppi Logan Quartet』はピアノにドン・プーレン(のちチャールズ・ミンガス・クインテット~ジョージ・アダムス&ドン・プーレン・カルテット)、ベースにエディ・ゴメス(のちビル・エヴァンス・トリオ)、そしてニューヨークのロフト・ジャズ界の重鎮になるミルフォード・グレイヴスがドラムス、という強力なメンバーが顔を揃えていましたが、唯一出世しなかったどころか翌年に次作『More』'66をして、他にラズウェル・ラッドのアルバム『Everywhere』'66、パティ・ウォーターズのアルバム『College Tour』'66に参加したのを最後に消息不明になってしまった謎のジャズマンがジュセッピ・ローガン(1935-)でした。アイラーのアルバムが斬新なスタイルを確立したフリー・ジャズの名盤とすぐに認知され、アレンのアルバムが典型的なオーネット・コールマン影響下の作品とされたのに対して、ローガンのアルバムはあまりに素っ頓狂な音楽性とローガンの演奏のミスだらけの奇天烈さで評価が分かれ、しかもローガンは忽然とジャズの世界から姿を消してしまったので、精神病院への入退院をくり返しているらしいとか、ニューヨークの路上でストリート・ミュージシャンしている姿を見た人がいる、とか、写真やたいした文献もないため生年や人種も不明なまま21世紀初頭まで伝説化していたのです。
ローガンの最高の作曲と演奏が聴けるのがこの曲「サタンの踊り」で、フリー・ジャズと言ってもちゃんと調性も和声も定則ビートもある音楽です。ワンホーン・カルテットとしてアンサンブルもモダン・ジャズの類型を踏まえていますが、この調子っぱずれで異様なリズム・リフの楽曲はいわゆるフリー・ジャズの中でもディフォルメの具合が際立ったもので、ジャズはチンドン屋の音楽だとか土人の音楽だと言えばこれほどジャズらしい曲と演奏はありませんが、都会の夜の倦怠ムードだとかメロウなリラクゼーション感は皆無で、あまり怖くないお化けの行進のような曲です。ちなみにローガンは2008年にニューヨークでストリート・ミュージシャンを取材していたジャーナリストによって現存が発見され、近年は養老院の住み込み雑役夫をしながら時々路上で演奏しており、精神病院への再三の入退院やその間のストリート・ミュージシャンの目撃情報も全部本当だったのが判明しました。2010年にジャズ界に復帰したローガンはその後『The Giuseppi Logan Quintet』(Tompkins Square, 2010)、『The Giuseppi Logan Project』(Mad King Edmund, 2011)、『... And They Were Cool』(Improvising Beings, 2013)を発表、現在でも演奏活動を続けています。ローガン畢生の代表曲をお聴きください。
(2010年、路上演奏中のジュセッピ・ローガン)
Recorded at Bell Sound Studios, New York City, October 5, 1964
Released by ESP Disk 1007 as album "The Giuseppi Logan Quartet", 1965
[ Personnel ]
Giuseppi Logan - alto and tenor saxophone, Don Pullen - piano, Eddie Gomez - bass, Milford Graves - drums
'60年代の新興ジャズ・レーベルとして名高いインディー・レーベル、ESPディスクの第1回作品としてアルバート・アイラー・トリオの『Spiritual Unity』、バイロン・アレン・トリオの『Byron Allen Trio』とともにリリースされた『The Giuseppi Logan Quartet』はピアノにドン・プーレン(のちチャールズ・ミンガス・クインテット~ジョージ・アダムス&ドン・プーレン・カルテット)、ベースにエディ・ゴメス(のちビル・エヴァンス・トリオ)、そしてニューヨークのロフト・ジャズ界の重鎮になるミルフォード・グレイヴスがドラムス、という強力なメンバーが顔を揃えていましたが、唯一出世しなかったどころか翌年に次作『More』'66をして、他にラズウェル・ラッドのアルバム『Everywhere』'66、パティ・ウォーターズのアルバム『College Tour』'66に参加したのを最後に消息不明になってしまった謎のジャズマンがジュセッピ・ローガン(1935-)でした。アイラーのアルバムが斬新なスタイルを確立したフリー・ジャズの名盤とすぐに認知され、アレンのアルバムが典型的なオーネット・コールマン影響下の作品とされたのに対して、ローガンのアルバムはあまりに素っ頓狂な音楽性とローガンの演奏のミスだらけの奇天烈さで評価が分かれ、しかもローガンは忽然とジャズの世界から姿を消してしまったので、精神病院への入退院をくり返しているらしいとか、ニューヨークの路上でストリート・ミュージシャンしている姿を見た人がいる、とか、写真やたいした文献もないため生年や人種も不明なまま21世紀初頭まで伝説化していたのです。
ローガンの最高の作曲と演奏が聴けるのがこの曲「サタンの踊り」で、フリー・ジャズと言ってもちゃんと調性も和声も定則ビートもある音楽です。ワンホーン・カルテットとしてアンサンブルもモダン・ジャズの類型を踏まえていますが、この調子っぱずれで異様なリズム・リフの楽曲はいわゆるフリー・ジャズの中でもディフォルメの具合が際立ったもので、ジャズはチンドン屋の音楽だとか土人の音楽だと言えばこれほどジャズらしい曲と演奏はありませんが、都会の夜の倦怠ムードだとかメロウなリラクゼーション感は皆無で、あまり怖くないお化けの行進のような曲です。ちなみにローガンは2008年にニューヨークでストリート・ミュージシャンを取材していたジャーナリストによって現存が発見され、近年は養老院の住み込み雑役夫をしながら時々路上で演奏しており、精神病院への再三の入退院やその間のストリート・ミュージシャンの目撃情報も全部本当だったのが判明しました。2010年にジャズ界に復帰したローガンはその後『The Giuseppi Logan Quintet』(Tompkins Square, 2010)、『The Giuseppi Logan Project』(Mad King Edmund, 2011)、『... And They Were Cool』(Improvising Beings, 2013)を発表、現在でも演奏活動を続けています。ローガン畢生の代表曲をお聴きください。
(2010年、路上演奏中のジュセッピ・ローガン)