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現代詩の起源(18); 八木重吉詩集『秋の瞳』大正14年刊(xii)『秋の瞳』収録詩編の分類(1)

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[ 八木重吉(1898-1927)大正13年=1924年5月26日、長女桃子満1歳の誕生日に。重吉26歳、妻とみ子19歳 ]

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 前回では八木の同世代・同時代の詩人、高橋新吉(1901-1987, 第1詩集『ダダイスト新吉の詩』'23=大正12年でデビュー)が3年間の入院(脳医学的薬物療法のなかった当時では完全に無刺激状態に置くため、病室や寺を利用した閉鎖監禁療法が行われました。高橋の場合は神道系の禅寺です)を含み6年間の沈黙からカムバックした第4詩集『戯言集』'34(昭和9年)の大半を占める表題作の全67編の短詩からなる連作長編詩「戯言集」を構成する断片的断章を、

(a)生活報告や心境告白に留まるもの
(b)警句や意見表明の次元で成立しているもの
(c)自律性の高い、独立した短詩と見なせるもの

 の3種に分類してみました。読者によって分類先には異論もあるとは思いますが、筆者の基準で上記3種に分類すると、

(a)生活報告や心境告白に留まるもの……22編
(b)警句や意見表明の次元で成立しているもの……23編
(c)自律性の高い、独立した短詩と見なせるもの……22編

 と意外な均衡が見られたのは大変意外な結果でした。高橋は連作長編詩「戯言集」の構成配列を初版以来再録のたびに入れ替えていますが全67編の断章内容は同一なので、この内容分布は意図的な書き分けではないとしても選択と配列については十分に構成意識が働いていると思われます。初版詩集『戯言集』は連作長編詩「戯言集」67編の他に後の全詩集では割愛される単独詩編12編を含んでおり、また第4詩集『戯言集』刊行と同月の昭和9年('34年)3月内に高橋は『戯言集』と並行して執筆編集されたと考えられる第5詩集『日食』を発表しています。3年間の入院を終えて再び上京して2年、6年ぶりの詩集刊行ですから詩集に収めきれないほどの詩編があり、草稿となるときりがなかったでしょうが、『日食』には44編の詩が収録され、また第6詩集『新吉詩抄』'36(昭和11年刊)には70編、第7詩集『雨雲』'38(昭和13年刊)には83編の新作が収められており、第8詩集『霧島』'42(昭和17年刊)、第9詩集『父母』'43(昭和18年刊)は年代も離れているので『戯言集』収録詩編と時期が重なる可能性があるのは『日食』『新吉詩抄』『雨雲』と全詩集『高橋新吉詩集(創元選書版)』'52(昭和27年刊)、『定本高橋新吉全詩集』'72(昭和47年刊)、『高橋新吉全集第一巻・全詩集』'81(昭和56年刊)に収められた同時期の遺漏詩編まででしょう。

 それだけ相当数の同時期の詩作の中からの選抜し、または「戯言集」のための書き下ろしから構成したのが連作長編詩「戯言集」ですから、これは八木重吉の大正14年(1925年)8月刊行の第1詩集『秋の瞳』序+全117編が、大正10年(1921年)に書かれた作品から、大正13年(1924年)秋に着手し編纂を終えた大正14年(1925年)春までに手製小詩集にまとめていた40冊・1,455編のうち33冊から97編を選び20編の書き下ろし詩編20編を加えて、通例のように章立てはせず作品配列は年代順によらず詩集全体で1冊の作品としての効果を狙ったのと共通する成立過程と目的との共通点があると目しても良いのではないかと思われます。高橋の「戯言集」の断章の分類とその結果は前回の通りですが、八木重吉の場合は連作詩としての提示ではなく1編ごとに表題がつけられた詩であるため基準は高橋新吉「戯言集」よりもいっそう厳しく、

(a)詩的表現が断片的に過ぎ、生活報告や心境告白に留まるもの
(b)詩としては断章的で、警句や意見表明の次元で成立するもの
(c)一編の詩として自律性の高い、独立した短詩と見なせるもの

 という見方で腑分けしていくことになります。なお選抄では意味がないので「序」も1編の序詩とし全118編と数え、今回は前半59編、次回は後半59編を取り上げました。序には番号を振らず、表題つき作品のみに通した番号を振りました。つまり今回は「序」+1~58の59編、次回は59~117の59編を取り上げます。詩集全体の分布は次回の後半59編も合わせないと判明しないと予告させていただきます。「序」+1~58の59編については、(a)が「序」+18編、(b)が22編、(c)が18編という分布になりました。(b)の中にも(c)に移せる断章はあるのですが、八木の短詩の場合「わたし」と「こころ」「そら」「ひかり」「かなしみ(または「さびしさ」)」「玉(または「珠」)」の主題が1編で完全な表現(完結性)を持たず数編の断章で連作的な表現を取るため(c)には移せず(b)または(a)に分類される断章が多いのです。しかし詩集前半の58編で八木が意図的に(a)~(c)に大別できる性格の異なる仕上がりの短詩をほぼ当分に配置していると判断しても良いと思われます。

八木重吉詩集『秋の瞳』
大正14年(1925年)8月1日・新潮社刊

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 秋 の 瞳

 八木重吉


●(a)詩的表現が断片的に過ぎ、生活報告や心境告白に留まるもの……「序」+18編


  序

 私は、友が無くては、耐へられぬのです。しかし、私には、ありません。この貧しい詩を、これを、読んでくださる方の胸へ捧げます。そして、私を、あなたの友にしてください。


  (3)哀しみの 火矢(ひや)

はつあきの よるを つらぬく
かなしみの 火矢こそするどく
わづかに 銀色にひらめいてつんざいてゆく
それにいくらのせようと あせつたとて
この わたしのおもたいこころだもの
ああ どうして
そんな うれしいことが できるだらうか


  (7)植木屋

あかるい 日だ 
窓のそとをみよ たかいところで
植木屋が ひねもすはたらく

あつい 日だ
用もないのに
わたしのこころで
朝から 刈りつづけてゐるのは いつたいたれだ


  (8)ふるさとの 山

ふるさとの山のなかに うづくまつたとき
さやかにも 私の悔いは もえました
あまりにうつくしい それの ほのほに
しばし わたしは
こしかたの あやまちを 讃むるようなきもちになつた


  (11)一群の ぶよ

いち群のぶよが 舞ふ 秋の落日
(ああ わたしも いけないんだ
他人も いけないんだ)
まやまやまやと ぶよが くるめく
(吐息ばかりして くらすわたしなら
死んぢまつたほうが いいのかしら)


  (15)大和行

大和の国の水は こころのようにながれ
はるばると 紀伊とのさかひの山山のつらなり、
ああ 黄金(きん)のほそいいとにひかつて
秋のこころが ふりそそぎます

さとうきびの一片をかじる
きたない子が 築地(ついぢ)からひよつくりとびだすのもうつくしい、
このちさく赤い花も うれしく
しんみりと むねへしみてゆきます

けふはからりと 天気もいいんだし
わけもなく わたしは童話の世界をゆく、
日は うららうららと わづかに白い雲が わき
みかん畑には 少年の日の夢が ねむる

皇陵や、また みささぎのうへの しづかな雲や
追憶は はてしなく うつくしくうまれ、
志幾(しき)の宮の 舞殿(まひでん)にゆかをならして そでをふる
白衣(びやくえ)の 神女(みこ)は くちびるが 紅あかい


  (16)咲く心

うれしきは
こころ 咲きいづる日なり
秋、山にむかひて うれひあれば
わがこころ 花と咲くなり


  (19)つかれたる 心

あかき 霜月の葉を
窓よりみる日 旅を おもふ
かくのごときは じつに心おごれるに似たれど
まことは
こころ あまりにも つかれたるゆえなり


  (28)甕(かめ)

甕 を いくつしみたい
この日 ああ
甕よ、こころのしづけさにうかぶ その甕

なんにもない
おまへの うつろよ

甕よ、わたしの むねは
『甕よ!』と おまへを よびながら
あやしくも ふるへる


  (31)こころの 海(うな)づら

照らされし こころの 海(うな)づら
しづみゆくは なにの 夕陽

しらみゆく ああ その 帆かげ
日は うすれゆけど
明けてゆく 白き ふなうた


  (35)石くれ

石くれを ひろつて
と視、こう視
哭(な)くばかり
ひとつの いしくれを みつめてありし

ややありて 
こころ 躍(おど)れり
されど
やがて こころ おどらずなれり


  (39)悩ましき 外景

すとうぶを みつめてあれば
すとうぶをたたき切つてみたくなる

ぐわらぐわらとたぎる
この すとうぶの 怪! 寂!


  (41)葉

葉よ、
しんしん と
冬日がむしばんでゆく、
おまへも
葉と 現ずるまでは
いらいらと さぶしかつたらうな
葉よ、
葉と 現じたる
この日 おまへの 崇厳

でも、葉よ
いままでは さぶしかつたらうな


  (43)しづけさ

ある日
もえさかる ほのほに みいでし
きわまりも あらぬ しづけさ

ある日
憎しみ もだえ
なげきと かなしみの おもわにみいでし
水の それのごとき 静けさ


  (44)夾竹桃

おほぞらのもとに 死ぬる
はつ夏の こころ ああ ただひとり
きようちくとうの くれなゐが
はつなつのこころに しみてゆく


  (50)痴寂な手

痴寂(ちせき)な手 その手だ、
こころを むしばみ 眸(め)を むしばみ
山を むしばみ 木と草を むしばむ

痴寂な手 石くれを むしばみ
飯を むしばみ かつをぶしを むしばみ
ああ、ねずみの 糞ふんさへ むしばんでゆく

わたしを、小(ち)さい 妻を
しづかなる空を 白い雲を
痴寂な手 おまへは むさぼり むしばむ
おお、おろかしい 寂寥の手
おまへは、まあ
じぶんの手をさへ 喰つて しまふのかえ


  (51)くちばしの黄な 黒い鳥

くちばしの 黄いろい
まつ黒い 鳥であつたつけ
ねちねち うすら白い どぶのうへに
籠(かご)のなかで ぎやうつ! とないてゐたつけ、

なにかしら ほそいほそいものが
ピンと すすり哭ないてゐるような
そんな 真昼で あつたつけ


  (53)白き響

さく、と 食へば
さく、と くわるる この 林檎の 白き肉
なにゆえの このあわただしさぞ
そそくさとくひければ
わが 鼻先きに ぬれし汁(つゆ)

ああ、りんごの 白きにくにただよふ
まさびしく 白きひびき


  (54)丘を よぢる

丘を よぢ 丘に たてば
こころ わづかに なぐさむに似る

さりながら
丘にたちて ただひとり
水をうらやみ 空をうらやみ
大木(たいぼく)を うらやみて おりてきたれる


●(b)詩としては断章的で、警句や意見表明の次元で成立するもの……22編


  (5)フヱアリの 国

夕ぐれ
夏のしげみを ゆくひとこそ
しづかなる しげみの
はるかなる奥に フヱアリの 国をかんずる


  (6)おほぞらの こころ

わたしよ わたしよ
白鳥となり
らんらんと 透きとほつて
おほぞらを かけり
おほぞらの うるわしいこころに ながれよう


  (9)しづかな 画家

だれでも みてゐるな、
わたしは ひとりぼつちで描くのだ、
これは ひろい空 しづかな空、
わたしのハイ・ロマンスを この空へ 描いてやらう


  (10)うつくしいもの

わたしみづからのなかでもいい
わたしの外の せかいでも いい
どこにか 「ほんとうに 美しいもの」は ないのか
それが 敵であつても かまわない
及びがたくても よい
ただ 「在る」といふことが 分りさへすれば、
ああ ひさしくも これを追ふにつかれたこころ


  (13)花になりたい

えんぜるになりたい
花になりたい


  (14)無造作な 雲

無造作な くも、
あのくものあたりへ 死にたい


  (17)劒(つるぎ)を持つ者

つるぎを もつものが ゐる、
とつぜん、わたしは わたしのまわりに
そのものを するどく 感ずる
つるぎは しづかであり
つるぎを もつ人は しづかである
すべて ほのほのごとく しづかである
やるか!?
なんどき 斬りこんでくるかわからぬのだ


  (18)壺のような日

壺のような日 こんな日
宇宙の こころは
彫みたい!といふ 衝動にもだへたであらう
こんな 日
「かすかに ほそい声」の主(ぬし)は
光を 暗を そして また
きざみぬしみづからに似た こころを
しづかに つよく きざんだにちがひあるまい、
けふは また なんといふ
壺のような 日なんだらう


  (20)かなしみ

このかなしみを
ひとつに 統(す)ぶる 力ちからはないか


  (22)心 よ

ほのかにも いろづいてゆく こころ
われながら あいらしいこころよ
ながれ ゆくものよ
さあ それならば ゆくがいい
「役立たぬもの」にあくがれて はてしなく
まぼろしを 追ふて かぎりなく
こころときめいて かけりゆけよ


  (23)死と珠(たま)

死 と 珠 と
また おもふべき 今日が きた


  (27)花と咲け

鳴く 蟲よ、花 と 咲 け
地 に おつる
この 秋陽(あきび)、花 と 咲 け、
ああ さやかにも
この こころ、咲けよ 花と 咲けよ


  (30)玉(たま)

わたしは
玉に ならうかしら

わたしには
何(なん)にも 玉にすることはできまいゆえ


  (34)泪(なみだ)

泪、泪
ちららしい
なみだの 出あひがしらに

もの 寂びた
哄(わらひ) が
ふつと なみだを さらつていつたぞ


  (36)竜舌蘭

りゆうぜつらん の
あをじろき はだえに 湧く
きわまりも あらぬ
みづ色の 寂びの ひびき

かなしみの ほのほのごとく
さぶしさのほのほの ごとく
りゆうぜつらんの しづけさは
豁然(かつぜん)たる 大空を 仰あふぎたちたり


  (37)矜持ある 風景

矜持ある 風景
いつしらず
わが こころに 住む
浪(らう)、浪、浪 として しづかなり


  (38)静寂は怒る

静 寂 は 怒 る、
みよ、蒼穹の 怒(いきどほり)を


  (45)おもひで

おもひでは 琥珀(オパール)の
ましづかに きれいなゆめ
さんらんとふる 嗟嘆(さたん)でさへ
金色(きん)の 葉の おごそかに
ああ、こころ うれしい 煉獄の かげ

人の子は たゆたひながら
うらぶれながら
もだゆる日 もだゆるについで
きわまりしらぬ ケーオスのしじまへ
廓寥と 彫られて 燃え
焔々と たちのぼる したしい風景


  (46)哀しみの海

哀しみの
うなばら かけり

わが玉 われは
うみに なげたり

浪よ
わが玉 かへさじとや


  (52)何故に 色があるのか

なぜに 色があるのだらうか
むかし、混沌は さぶし かつた
虚無は 飢えてきたのだ

ある日、虚無の胸のかげの 一抹(いちまつ)が
すうつと 蠱惑(アムブロウジアル)の 翡翠に ながれた
やがて、ねぐるしい ある夜の 盗汗(ねあせ)が
四月の雨にあらわれて 青(ブルウ)に ながれた


  (55)おもたい かなしみ

おもたい かなしみが さえわたるとき
さやかにも かなしみは ちから

みよ、かなしみの つらぬくちから
かなしみは よろこびを
怒り、なげきをも つらぬいて もえさかる

かなしみこそ
すみわたりたる 「すだま」とも 生くるか


  (56)胡蝶

へんぽんと ひるがへり かけり
胡蝶は そらに まひのぼる
ゆくてさだめし ゆえならず
ゆくて かがやく ゆえならず
ただひたすらに かけりゆく
ああ ましろき 胡蝶
みずや みずや ああ かけりゆく
ゆくてもしらず とももあらず
ひとすぢに ひとすぢに
あくがれの ほそくふるふ 銀糸をあへぐ


●(c)一編の詩として自律性の高い、独立した短詩と見なせるもの……18編


  (1)息を 殺せ

息を ころせ
いきを ころせ
あかんぼが 空を みる
ああ 空を みる


  (2)白い枝

白い 枝
ほそく 痛い 枝
わたしのこころに
白い えだ


  (4)朗(ほが)らかな 日

いづくにか
ものの
落つる ごとし
音も なく
しきりにも おつらし


  (12)鉛と ちようちよ

鉛(なまり)のなかを
ちようちよが とんでゆく


  (21)美しい 夢

やぶれたこの 窓から
ゆふぐれ 街なみいろづいた 木をみたよる
ひさしぶりに 美しい夢をみた


  (24)ひびく たましい

ことさら
かつぜんとして 秋がゆふぐれをひろげるころ
たましいは 街を ひたはしりにはしりぬいて
西へ 西へと うちひびいてゆく


  (25)空を 指(さ)す 梢(こずゑ)

そらを 指す
木は かなし
そが ほそき
こずゑの 傷いたさ


  (26)赤ん坊が わらふ

赤んぼが わらふ
あかんぼが わらふ
わたしだつて わらふ
あかんぼが わらふ


  (29)心 よ

こころよ
では いつておいで

しかし
また もどつておいでね

やつぱり
ここが いいのだに

こころよ
では 行つておいで


  (32)貫ぬく 光

はじめに ひかりがありました
ひかりは 哀しかつたのです

ひかりは
ありと あらゆるものを
つらぬいて ながれました
あらゆるものに 息を あたへました
にんげんのこころも
ひかりのなかに うまれました
いつまでも いつまでも
かなしかれと 祝福(いわわ)れながら


  (33)秋の かなしみ

わがこころ
そこの そこより
わらひたき
あきの かなしみ

あきくれば
かなしみの
みなも おかしく
かくも なやまし

みみと めと
はなと くち
いちめんに
くすぐる あきのかなしみ


  (40)ほそい がらす

ほそい
がらすが
ぴいん と
われました


  (42)彫られた 空

彫られた 空の しづけさ
無辺際の ちからづよい その木地に
ひたり! と あてられたる
さやかにも 一刀の跡


  (47)雲

くものある日
くもは かなしい
くもの ない日
そらは さびしい


  (48)在る日の こころ

ある日の こころ
山となり

ある日の こころ
空となり

ある日の こころ
わたしと なりて さぶし


  (49)幼い日

おさない日は
水が もの云ふ日

木が そだてば
そだつひびきが きこゆる日


  (57)おほぞらの 水

おほぞらを 水 ながれたり
みづのこころに うかびしは
かぢもなき 銀の 小舟(おぶね)、ああ
ながれゆく みづの さやけさ
うかびたる ふねのしづけさ


  (58)そらの はるけさ

こころ
そらの はるけさを かけりゆけば
豁然と ものありて 湧くにも 似たり
ああ こころは かきわけのぼる
しづけき くりすたらいんの 高原


(引用詩のかな遣いは原文に従い、用字は当用漢字に改め、明らかな誤植は訂正しました。)
(以下次回)

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