Recorded live at Gondel Kino, Bremen, Germany, June 25, 1971
All tracks written by Ralf H?tter and Florian Schneider-Esleben.
(Originally Unofficial LP Tracklist)
(Side A)
A1. Heavy Metal Kids - 7:55
A2. Stratovarius - 15:34
(Side B)
B1. Ruckzuck - 19:21
(Side C)
C1. Vom Himmel Hoch - 15:24
C2. Rueckstoss Gondliere - 11:25
(Add. TV Broadcasted; Beat Club May 22, 1971)
1. Krautrock : https://youtu.be/LN8Y9Di_3VA - 4:11
2. Kakteen, Wuste, Sonne : https://youtu.be/ry64e6SVQGs - 5:05
3. Rueckstoss Gondliere : https://youtu.be/ftE_jQcsWkw - 11:26
[ Kraftwerk ]
Florian Schneider-Erleben - flute, violin, percussion
Michael Rother - guitar, electronics
Klaus Dinger - drums
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(Unofficial Live On Bremen Radio CD Liner Cover & Picture Label)
このラジオ・ブレーメンの'71年6月の公開ライヴ(収録12日・放送25日と25日生放送の2説あり)は70分にも及ぶフル・コンサートで、この前後にもスタジオ・ライヴのTV出演が曲単位でありますが(リンクに追加しました)、フル・コンサート規模のライヴが聴けるのは大変珍しく、また技術先進国ドイツだけあって公式アルバム録音と遜色ない素晴らしい音質とサウンド・バランスで公式発売されていないのがもったいないくらいの最上級音源です。'71年にはデビュー・アルバムのプロデューサー、コニー・プランクによってシュナイダー、ローター、ディンガーのトリオでアルバム1枚分のスタジオ録音も行われた記録がありますがこれは未発表に終わり、ローターとディンガーはプランクのプロデュースで新グループ、ノイ!(Neu!)として早くも'71年内にはデビュー・アルバムを発表します。バンド創設者のシュナイダーとしてはライヴはともかく、クラフトヴェルクとしてのアルバム製作・発表はあくまでヒュッターの復帰を待ちたかったのでしょう。
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(Unofficial Live On Bremen Radio LP Front/Liner Cover & Picture Label)
これはもとよりロックバンドなどという意識はなかったフローリアン・シュナイダーにとっては不測の事態だったでしょう。同じエクスペリメンタル・ロックでもクラフトヴェルクは脱ロック志向の強いタンジェリン・ドリームよりもさらに抽象的なクラスターに近く、サイケデリック・ロックの類型からデフォルメーションして脱ロックを目指したカンやグル・グルとは異なる音楽性をデビュー・アルバムで打ち出していました。ですが今回ローターのヘヴィーなギターにディンガーのドラムスもすっかりヘヴィーでダイナミックな演奏で応え、グル・グルのやっているヘヴィー・ロックのパロディに近い方向の音楽になってしまった。これは一時脱退していたヒュッターはもとよりシュナイダーにとってもクラフトヴェルクの音楽ではなかったはずです。また、クラフトヴェルクから独立してノイ!を始めたローターとディンガーにとってもこうなるはずではなかったのがノイ!の'71年のデビュー・アルバム、'73年のセカンド・アルバムを聴くとわかります。完全にオリジナリティを確立するのに'74年の4作目『Autobahn』A面までかかった(それでもB面はまだ実験路線だった)クラフトヴェルクに較べてノイ!は'71年のデビュー・アルバムでスタイルを確立したデュオでした。それはクラフトヴェルクのデビュー作の代表曲「Ruckzuck」同様ロックの8ビートをキメもなくヤマもなくひたすら平坦化してギター音や電子音が現れては消えるという単純なものでしたが、このラジオ・ブレーメンのライヴのようなヘヴィー・ロックの対極にあるような音楽で、クラスターやクラフトヴェルクの音響実験をロックのビートで一気にポップ・ミュージック化するという発想です。そういう具合に、このラジオ・ブレーメンのライヴはヒュッターがエフェクト変調させた電気オルガンでやっていたサウンドのドローン効果をディストーション・ギターでやってみたらクラフトヴェルクのライヴなのにヘヴィー・ロックになってしまったという偶発事故みたいなコンサートになりました。誰が悪いかと言えばギターがメタルならドラムスもやったるぞとハード・ロックみたいなドラムスを叩いてしまったクラウス・ディンガーの悪乗りに尽きるでしょう。しかしこういう音源も残っているのが発掘ライヴの面白さとも言えます。後にも先にもヘヴィー・ロックなクラフトワークの音源など他にはないのですから。