ビル・エヴァンス・トリオ Bill Evans Trio - 恋の廻り道 Detour Ahead (Herb Ellis, Lou Carter, John Frigo)(from the album "Waltz For Debby", Riverside RLP399, 1962) : https://youtu.be/nwD2K_cczNY - 7:34
Recorded live at the Village Vanguard, New York City, June 25, 1961
[ Bill Evans Trio ]
Bill Evans - piano
Scott LaFaro - bass
Paul Motian - drums
アルバム『ワルツ・フォー・デビー』の隠れ名曲はこれでしょう。ウディ・ハーマン楽団といえばアメリカ東部の白人ビッグバンドでいち早くビ・バップを取り入れ、スタン・ゲッツ、ズート・シムズ、ジミー・ジュフリー、サージ・チャロフ(爆音テナーのフリップ・フィリップス、アル・コーンもいました)をサックス・セクションに擁して育て上げ、夭逝の伝説的天才白人ビ・バップ・トランペット奏者ソニー・バーマンが在籍し、ディジー・ガレスピーのオリジナルのバップ・スタンダード曲「Woody'n You」がウディ・ハーマンに捧げられたことでも知られますが、そのハーマン楽団が専属歌手のマリアン・マッコール歌唱によるレコードでヒットさせた曲です。'40年代アメリカ東部の白人ビ・バップ・ジャズマンのほとんどがハーマン楽団出身で、黒人楽団のビリー・エクスタイン楽団(ガレスピーもパーカーもここ出身)、西海岸のスタン・ケントン楽団(白人、アート・ペッパー、ショーティー・ロジャース、名アレンジャーのピート・ルゴロらを輩出)、ライオネル・ハンプトン楽団(黒人、チャールズ・ミンガスやドド・マーマローザらを輩出)と並ぶ存在でした。日本のジャズ・リスナーはビ・バップ以降のスモール・コンボのジャズが好き・吹奏楽部出身でビッグバンドが好きという層に分かれるので'40年代ジャズは微妙なのですが、どうも世界的に事情は同じらしくこの曲をYou Tubeで試聴しようとしても肝心のハーマン楽団版がありません。
この曲は比較的新しく'48年にオスカー・ピーターソン・トリオで知られるギタリストのハーブ・エリスが書いた曲で、エリスは親バップ派というより(ジャズ界はピーターソンを過小評価しているという反証で)セロニアス・モンクをこき下ろすなどあるまじき言動もあった人ですが(トリスターノのモンク嫌いも有名ですが、トリスターノ門弟のビル・エヴァンスはモンクをバド・パウエルと並ぶ最高のジャズ・ピアニストと賞賛しています)やはりエヴァンスがこれを採り上げたのはビリー・ホリデイのカヴァーに拠るのではないかとボーナス・トラックに「Porgy」が入って締めくくりになるCD版『ワルツ・フォー・デビー』を聴くと思えてきます。ライヴの選曲には当然ムードの統一があったはずで「Detour Ahead」(「恋の廻り道」は全然定着していない邦題でしょう)のムードは「Some Other Time」に引き継がれ「Porgy」で一巡する。そんな具合に聴こえてきます。マイルスのアルバム『Milestones』'58がどう聴いてもアルバム・タイトル曲から始まるB面から聴かないと変なように、『ワルツ・フォー・デビー』もフェイドアウト演奏という変な終わり方の「Milestones」が最終曲なのが尻切れとんぼな感じがするように(そのせいかLP時代は先行発売されスコット・ラファロのオリジナル曲「Gloria's Step」で始まりやはりラファロ作の「Jade Vision」で終わる『Sunday at The Village Vanguard』の方が評価が高く『ワルツ・フォー~』は姉妹作視されがちだった)CD版で「Porgy」が最終曲になったことで必殺のオープニング曲「My Foolish Heart」、アルバム・タイトル曲でエヴァンス自作の名曲「Waltz For Debby」に続く3曲目、と位置まで地味なこの曲がアルバム後半の流れに重要な橋渡しとなっているのもわかりやすくなり(最終曲が「Porgy」になったことでそうなり)アルバムの名作度を高めていると思います。ビリーの名唱の洗練されたジャズ感覚を、ピート・ルゴロがアレンジとバンド総指揮をしたポピュラー寄りの白人女性ジャズ歌手パティ・ペイジのヴァージョンと較べてみてください。また、ベーシストにエディ・ゴメスを迎えた'65年のビル・エヴァンスのライヴ映像も加えました。
Billie Holiday - Detour Ahead (rec.Aladdin '51, from the album "Billie's Blues", Blue Note CDP-7 48786-2, 1988) : https://youtu.be/_YWSMYDBncU - 3:02
Patti Page - Detour Ahead (from the album "East Side", EmArcy MG36116, 1957) : https://youtu.be/9x_PkR_X_0A - 3:36
Bill Evans Trio - Detour Ahead (Live in Belgium, 1965) : https://youtu.be/aOQSNR0FnOU - 5:06
[ Bill Evans Trio ]
Bill Evans - piano
Eddie Gomez - bass
Marty Morrell - drums
Recorded live at the Village Vanguard, New York City, June 25, 1961
[ Bill Evans Trio ]
Bill Evans - piano
Scott LaFaro - bass
Paul Motian - drums
アルバム『ワルツ・フォー・デビー』の隠れ名曲はこれでしょう。ウディ・ハーマン楽団といえばアメリカ東部の白人ビッグバンドでいち早くビ・バップを取り入れ、スタン・ゲッツ、ズート・シムズ、ジミー・ジュフリー、サージ・チャロフ(爆音テナーのフリップ・フィリップス、アル・コーンもいました)をサックス・セクションに擁して育て上げ、夭逝の伝説的天才白人ビ・バップ・トランペット奏者ソニー・バーマンが在籍し、ディジー・ガレスピーのオリジナルのバップ・スタンダード曲「Woody'n You」がウディ・ハーマンに捧げられたことでも知られますが、そのハーマン楽団が専属歌手のマリアン・マッコール歌唱によるレコードでヒットさせた曲です。'40年代アメリカ東部の白人ビ・バップ・ジャズマンのほとんどがハーマン楽団出身で、黒人楽団のビリー・エクスタイン楽団(ガレスピーもパーカーもここ出身)、西海岸のスタン・ケントン楽団(白人、アート・ペッパー、ショーティー・ロジャース、名アレンジャーのピート・ルゴロらを輩出)、ライオネル・ハンプトン楽団(黒人、チャールズ・ミンガスやドド・マーマローザらを輩出)と並ぶ存在でした。日本のジャズ・リスナーはビ・バップ以降のスモール・コンボのジャズが好き・吹奏楽部出身でビッグバンドが好きという層に分かれるので'40年代ジャズは微妙なのですが、どうも世界的に事情は同じらしくこの曲をYou Tubeで試聴しようとしても肝心のハーマン楽団版がありません。
この曲は比較的新しく'48年にオスカー・ピーターソン・トリオで知られるギタリストのハーブ・エリスが書いた曲で、エリスは親バップ派というより(ジャズ界はピーターソンを過小評価しているという反証で)セロニアス・モンクをこき下ろすなどあるまじき言動もあった人ですが(トリスターノのモンク嫌いも有名ですが、トリスターノ門弟のビル・エヴァンスはモンクをバド・パウエルと並ぶ最高のジャズ・ピアニストと賞賛しています)やはりエヴァンスがこれを採り上げたのはビリー・ホリデイのカヴァーに拠るのではないかとボーナス・トラックに「Porgy」が入って締めくくりになるCD版『ワルツ・フォー・デビー』を聴くと思えてきます。ライヴの選曲には当然ムードの統一があったはずで「Detour Ahead」(「恋の廻り道」は全然定着していない邦題でしょう)のムードは「Some Other Time」に引き継がれ「Porgy」で一巡する。そんな具合に聴こえてきます。マイルスのアルバム『Milestones』'58がどう聴いてもアルバム・タイトル曲から始まるB面から聴かないと変なように、『ワルツ・フォー・デビー』もフェイドアウト演奏という変な終わり方の「Milestones」が最終曲なのが尻切れとんぼな感じがするように(そのせいかLP時代は先行発売されスコット・ラファロのオリジナル曲「Gloria's Step」で始まりやはりラファロ作の「Jade Vision」で終わる『Sunday at The Village Vanguard』の方が評価が高く『ワルツ・フォー~』は姉妹作視されがちだった)CD版で「Porgy」が最終曲になったことで必殺のオープニング曲「My Foolish Heart」、アルバム・タイトル曲でエヴァンス自作の名曲「Waltz For Debby」に続く3曲目、と位置まで地味なこの曲がアルバム後半の流れに重要な橋渡しとなっているのもわかりやすくなり(最終曲が「Porgy」になったことでそうなり)アルバムの名作度を高めていると思います。ビリーの名唱の洗練されたジャズ感覚を、ピート・ルゴロがアレンジとバンド総指揮をしたポピュラー寄りの白人女性ジャズ歌手パティ・ペイジのヴァージョンと較べてみてください。また、ベーシストにエディ・ゴメスを迎えた'65年のビル・エヴァンスのライヴ映像も加えました。
Billie Holiday - Detour Ahead (rec.Aladdin '51, from the album "Billie's Blues", Blue Note CDP-7 48786-2, 1988) : https://youtu.be/_YWSMYDBncU - 3:02
Patti Page - Detour Ahead (from the album "East Side", EmArcy MG36116, 1957) : https://youtu.be/9x_PkR_X_0A - 3:36
Bill Evans Trio - Detour Ahead (Live in Belgium, 1965) : https://youtu.be/aOQSNR0FnOU - 5:06
[ Bill Evans Trio ]
Bill Evans - piano
Eddie Gomez - bass
Marty Morrell - drums