Recorded live at The Boston Tea Party, March 13, 1969
All Songs Written by Lou Reed expect as noted.
(Tracklist)
1. Sister Ray (Velvet Underground) - 26:01
2. Heroin - 8:26
3. Jesus - 3:31
4. Beginning to See the Light - 5:31
5. White Light/White Heat - 7:36
6. What Goes On - 7:41
7. I'm Set Free - 4:51
8. Ferryboat Bill - 4:41
9. I'm Waiting for the Man - 7:06
10. Candy Says - 4:31
11. I Can't Stand It - 5:56
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(Half-Official Keyhole "March 13th The Boston Tea Party" CD Front & Liner Cover, with Illustrated Inner tray)
ジョン・ケイル時代の2年間のライヴ音源がフル・コンサートでは2回分、あとはアンディ・ウォホール周辺のニューヨークのインディペンデント映画作家たちが撮影・録音した断片的ライヴ映像しか残っていないので比較はできませんが、ケイル脱退とユール加入は新マネジメント体制で行われておりアンディ・ウォホールとは離れた替わりに営業バンドとしてのヴェルヴェットのライヴ巡業は盛んになり、ユール加入の時点で70公演分のスケジュールが組まれていたといいます。バンドはその後2年間、ルー・リードが契約満期で脱退するまでメンバー一人当たり月収200ドル(約7万円、バンドの仕事がない時のアルバイト収入含む)でヴェルヴェットを続け、リーダーのリード脱退後はユールがリーダーを引き継いでオリジナル・メンバーのモー・タッカー、スターリング・モリソンが順次脱退していく中メンバーを補充し、1973年にはイギリスのセッション・ミュージシャンを起用して全曲ユールのオリジナル曲で固めたスタジオ盤『Squeeze』を発表し、1974年までヴェルヴェット・アンダーグラウンドとしてライヴ巡業を続けますが、一般的にはヴェルヴェットはルー・リード脱退の時点で終わり以降はユール主導の別バンドと考えられています。さて、ケイル在籍時のライヴ音源の少ないヴェルヴェットですが、前記のような事情でライヴ巡業が増加した分ユール加入後の後期2年間のヴェルヴェットには観客やライヴ主催者、会場オーナーによるライヴ録音がようやく多く残されるようになり、現在までには悠に10種を越える1968年9月~1970年8月の2年間のヴェルヴェットのライヴ音源が聴けるようになりました。この間のスタジオ盤はMGMからの1969年3月発売の『The Velvet Underground (III)』とアトランティック傘下コティリオンに移籍して制作された1970年9月発売(リード脱退直後)の『Loaded』で、のち1985年2月に『VU』、1986年9月に『Another View』が発掘発売され『(III)』発売に漏れたケイル在籍末期の未発表曲と『(III)』に続いてMGMから発売予定だったものの契約打ち切りで未完成に終わったアルバムがあったのが判明しました。ユール加入後の2年間のライヴは『(III)』中心の選曲の1968年秋~1969年夏、『VU』と『Loaded』の曲が加わった1969年秋~1970年初頭、『Loaded』からの曲が中心の1970年初頭~1970年8月のリード脱退まで、とおおよそ3期、第2期と第3期をまとめれば1969年秋を境にした前後2期に分かれますが、ヴェルヴェットは良い意味アマチュアリズムとプロ精神のバランスが取れて実験を恐れないバンドだったのでライヴごとにニュアンスの変化に富んだ演奏が聴かれます。本作は確かに伝説的ライヴとの定評だけあるものですが、本作がいければ他のヴェルヴェットの発掘ライヴも同等に楽しめるものです。スタジオ盤に較べて圧巻なのはギターもさもあれ、他のバンドではまず聴けないドラムスの淡々としてラウドなサウンドでしょう。これにはまるとヴェルヴェットの発掘ライヴはどれを取っても催淫剤みたいな魅惑があります。