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Recorded live at The Public Hall, Cleveland, Ohio, December 1, 1968
All songs written by Lou Reed expect as noted.
(Tracklist)
1. Heroin - 5:56
2. What Goes On - 3:29
3. Waiting For The Man - 6:40
4. Pale Blue Eyes - 5:39
5. I'm Set Free - 4:04
6. Sister Ray (Velvet Underground) - 18:34
[ The Velvet Underground ]
Lou Reed - lead vocal, guitar
Sterling Morridson - guitar, vocal
Doug Yule - bass, organ, vocal
Moe Tucker - drums
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムの日本初発売は元リーダーのルー・リードのソロ活動が脚光を浴びた1974年で、デビュー・アルバムは当時パトロンでアルバム・ジャケットを手がけ名義上はプロデュースも請け負った(実際はトム・ウィルソンのプロデュースによる)アンディ・ウォホール絡みで日本では美術雑誌で話題になりましたが日本盤LPの発売は見送られていたのです。ポリドールからはデビュー・アルバムと発掘ライヴ『1969』が発売され(『1969』は2枚組を1枚に編集したものでしたが)、アトランティック傘下コティリオンからの最終アルバム『Loaded』と発掘ライヴ『Live at The Max's Kansas City』も追って発売されたものの大して評判にはならずすぐに廉価盤発売になり、第2作『White Light / White Heat』と第3作『The Velvet Underground』は'ニコの『Chelsea Girl』とともに80年代初頭まで日本盤発売されず1ドル360円の時代に輸入盤店の高値の花でした。
ヴェルヴェットがどういうライヴ活動をしていたかも発掘ライヴ2種からだけでは見当もつかず、調査が進んで活動の全貌が少しずつ解明されてきたのは'80年代後半、未発表音源集『VU』『Another View』が発掘発売されてオリジナル・メンバーのジョン・ケイル脱退と後期メンバーのダグ・ユールの加入前後の事情が解明されてからのことです。実際の未発表音源の発掘直前に刊行された元メンバーたちへのインタビューによるヴェルヴェット・アンダーグラウンド伝、特にモーリン・タッカーとスターリング・モリソンから具体的にバンドの裏事情が詳細に語られた『Up-Tight』1983(『ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・ストーリー~アップタイト』翻訳・フールズメイト社、平成元年)によると後期メンバーとダグ・ユールの加入とともに約70本のライヴ日程が組まれましたが、新作『The Velvet Underground』1968.3はMGMレコーズからメンバーにギャラはまったく支払われず、メンバーの月収はライヴをこなして合間に音楽以外のアルバイトをしてもせいぜい200ドル(当時のレートで7万円強)、食費は1日2ドル程度(300~400円)で、ジョン・ケイルを含むオリジナル・メンバーのヴェルヴェットがアンディ・ウォホールをパトロンにデビューしたのが1966年10月、ジョン・ケイルの脱退とダグ・ユールの加入が1968年9月、ルー・リードの脱退が1970年8月ですから前期ヴェルヴェットは1966年10月からの2年間、後期は1968年9月からの2年間だったことがわかり、意外とシビアに契約をこなしていたのがわかります。日本ではジョン・ケイル、ルー・リードとも電撃的脱退だったように伝えられていましたが、実際は契約任期ぎりぎりまできっちり仕事をこなした上での脱退だったわけです。
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(Unofficial Not on Label "Public Hall, Cleveland, 68-12-01" CD Liner Cover)
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Canned Heat - On The Road Again (Original LP Version, 1967) : https://youtu.be/tOuj6att1UY
Canned Heat - On The Road Again (TV Live Version, 1969) : https://youtu.be/eJjqax118n4
今回ご紹介のヴェルヴェットのライヴ全6曲・約50分弱は前座バンドのセットリストとしてはよくまとまっており、特に優れた演奏ではないだけに「Heroin」「What Goes On」「Waiting For The Man」「Pale Blue Eyes」「I'm Set Free」とデビュー・アルバムと制作中の新作『The Velvet Underground』からの代表曲を半々に配し、セカンド・アルバムからの大作「Sister Ray」で締める、という選曲が1968年末~1969年度のヴェルヴェットの典型的なセットリストになっており肩のこらない演奏が聴けます。「Sister Ray」は様々なアレンジのライヴ演奏が残されており、1990年代の音源発掘以来凄まじいギターのフィードバック・ノイズ演奏が聴ける1969年3月13日のボストン・ティー・パーティー公演が「Guitar Amp Tapes」として有名な名演で、また1969年12月3日のサンフランシスコ公演ではテンポを落とした38分に及ぶ最長ヴァージョンが聴けますが、この1968年12月1日のクリーヴランド公演はダグ・ユールのオルガンをフィーチャーした割と平凡なアレンジながらこの平凡さはヴェルヴェットにはかえって目新しいとも言え、当時のLP収録時間にほぼ相当する演奏時間の全6曲がバランス良く披露されているのも好感が持てます。後期ヴェルヴェットにはもっと優れた公演もだらけた公演もありますが、たいがいはエキセントリックな印象を残す中で珍しくこの発掘ライヴは普通のロックバンド然としたヴェルヴェットを聴くことができ、前座出演だけに演奏時間も手頃ながら選曲も過不足なく、何かヴェルヴェットでも聴こうかな、という時にはかえって気負わず楽しめるライヴ盤になっています。名演必ずしも愛聴盤とはなりませんが、地方局のラジオ中継でも聴くような気楽さのある本作はなかなかあなどれない内容ではないでしょうか。