今回でキューブリック全劇映画は最終回になります。前作『シャイニング』はその前の『バリー・リンドン』から5年ぶり、『バリー・リンドン』はその前の『時計じかけのオレンジ』から4年ぶり、『時計じかけ~』はその前の『2001年宇宙の旅』から3年ぶりと、1作ごとに製作ペースが開いてきたキューブリックですが、『フルメタル・ジャケット』は『シャイニング』から7年ぶり、遺作『アイズ ワイド シャット』は『フルメタル~』から12年ぶりの作品になりました。つまり晩年20年間には2本、『シャイニング』の公開から数えても3本しかないわけで、普通ならこれは不遇の境遇からの寡作になるところですがキューブリックの場合は『バリー・リンドン』すらスポンサーがついたほどですから本当に撮りたいものだけ撮った結果の寡作という感じがします。晩年2作の出来はどうあれ十分に力を尽くした印象が強いのは手抜き映画の佳作『シャイニング』の後だけになおさらで、健在ならばさらに新作が期待できた人ですが持てる力は晩年2作では作品ごとに使い切った燃焼感があります。特に『フルメタル~』ではなく『アイズ ワイド~』で幕を下ろしたのは有終の美で終わらせない、最後まで現役感を失わない面目を見せてくれた気がします。
●6月29日(木)
『フルメタル・ジャケット』Full Metal Jacket (米ワーナー・ブラザース'87)*117min, Color, Widescreen (American Vista)
●6月30日(金)
『アイズ ワイド シャット』Eyes Wide Shut (米ワーナー・ブラザース'99)*159min, Color, Widescreen (European Vista)
●6月29日(木)
『フルメタル・ジャケット』Full Metal Jacket (米ワーナー・ブラザース'87)*117min, Color, Widescreen (American Vista)
●6月30日(金)
『アイズ ワイド シャット』Eyes Wide Shut (米ワーナー・ブラザース'99)*159min, Color, Widescreen (European Vista)