Recorded & Mixed by Dave Grinsted at Chipping Norton Studios, August 1974
Released by Transatlantic Records TRA 287, December 1974
Produced by Gryphon and Dave Grinsted
(Side One)
A1. 華麗なる序章 Opening Move (Harvey, Taylor, Gulland, Oberle) - 9:42
A2. 激怒 Second Spasm (Taylor, Gulland) - 8:15
(Side Two)
B1. 哀悼の歌 Lament (Taylor, Gulland, Nestor) - 10:45
B2. チェックメイト(王手詰め) Checkmate (Harvey, Taylor, Gulland, Oberle) - 9:50
[ Gryphon ]
Brian Gulland - bassoon, krumhorn
Graeme Taylor - guitars
Richard Harvey - keyboards, recorders, krumhorn
Philip Nestor - bass guitar
David Oberle - drums, percussion, tympani
with
Organ manufactured by Ernest Hart
Acoustic bass manufactured by Pete Redding
*
(Original Transatlantic "Red Queen to Gryphon Three" LP Liner Cover & Side One/Side Two Label)
デビュー・アルバムがA面B面各6曲でほぼ全曲がイギリス古楽の俗曲に属する舞踏曲とバラッドのアレンジやそれらの模作からなる小曲集、つまり一種のダンス&チルアウト・アルバムだったのに対し、セカンド・アルバムはA面全面がシェイクスピア『テンペスト』の新規上演用に委託された大曲でB面はA面の曲想を継いだ5曲の小曲集という構成はデビュー前から親好があり同じマネジメントに属したイエスの系譜にあるプログレッシヴ・ロックのアルバムとしての性格を強めたものでした。楽曲やアレンジもオリジナリティを確立しバンドの勢いを感じさせる密度の高いアルバムですが、イエスのジョン・アンダーソンに似せたドラマーのデヴィッド・オバリーのヴォーカルに限界があり、リーダーのリチャード・ハーヴェイはグリフォン初の完全インストルメンタル・アルバムを構想します。それがA面B面に各10分前後の大曲を2曲ずつ収めた本作で、特種楽器の多用では凝りに凝ったセカンド・アルバムに較べてハーヴェイのリコーダーとキーボード、ガランドのバスーンをソロイストにフィーチャーしたアンサンブルは前作の大作タイトル曲よりさらにすっきりと練られた展開にアレンジされており、全4曲隙と無駄もなければ凝りすぎの難解さもない、余裕のある良さがあります。オルガンとシンセサイザー、ギターとベースには本作発表の1974年11月~12月にかけて前座バンドとして北米ツアーに同行したイエスの従来からの影響がうかがえますが、イエスのアンサンブルの網の目のような周密さ、オルガン/ピアノのみならず息継ぎする間もなく細かいサウンドの刺繍を織り上げていくスティーヴ・ハウのギターとクリス・スクワイアのベースほど強迫的的なアンサンブルを指向していないのがグリフォンの良さでもあり、当時のイギリスの多数のプログレッシヴ・ロックのバンドからグリフォンを抜きん出た存在とまでは持ち上げられなかった穏健さでしょう。人気、セールス、評価とも一流と目されたバンドはやはり穏健さよりも過剰なテンションや情動への訴求力が強い音楽性に個性があり、グリフォンの本格的再評価も1990年代のCD化と散発的な再結成ライヴ活動を待たなければなりませんでした。レトロスペクティヴとしては十分な偉業を残したと認められるバンドながら、同時代のバンドとしてはどうしてもインパクトに今一つ欠ける感じはこれほどの名作セカンド、サード・アルバムにすらあり、上品さと穏健さも長所であるとともにグリフォンの限界をうかがわせもするのです。