(しょうゆラーメン)
ラーメンの良さは極上までは望めないにしても味の安定感にあり、味覚のかなりの部分は食感によるものだから、生ラーメンまたは生麺タイプのインスタントラーメンが味つけ油揚げ麺タイプのインスタントラーメンに勝る点はそこにある。もちろん味つけ油揚げ麺には独特の味わいがあり、生ラーメンよりインスタントラーメンを食いたいという切迫感に駆られる時もしばしばある方も多いだろう。そんな時は、とにかくネギをどっさり盛る。これでインスタントラーメンの弱点はほとんど相殺できる。
(みそラーメン)
たかが手料理のラーメンといえどそこそこ具材は乗せたい。インスタントラーメンの場合具材の支度に手間取っていると麺がつゆを吸ってグズグズになってしまうので、麺を茹でる前にチャーシューまたはベーコン、またはハムを適当な大きさに切り、刻みネギを済ませ、あればナルトや海苔を切り、シナチクの瓶詰めを出し、湯戻しワカメを揃え、七味唐辛子または胡椒、ラー油の小瓶と酢の瓶を並べる。麺と一緒に煮る玉子は数時間前に冷蔵庫から出して室温にしておく。茹で玉子を乗せるなら茹でてあった玉子の殻を剥いて切っておく。麺より先に茹で始める野菜類はモヤシならそのままでいいが(根切りモヤシにこだわると大変なことになる)、モヤシは割高なのでキャベツを使うとなると葉の芯を薄くスライスする必要がある。これがけっこう手間がかかる。
以上かなりの手順、うっかり忘れそうな支度を生ラーメンの場合は麺を茹で始めてから取りかかっても追いつけるのがインスタントラーメンより余裕のあるゆえんでもある。文面にすると外食ならばともかくたかが手製のラーメンにそれほど手間がかかるのか、と悩ましい気持にもなり、世の中にはこれを他人に調理させるだけで自分は調理せず食べるだけの人もいれば、自分の食べるものは自分で調理するのが当たり前という人もいる。もちろん手製のラーメンに対する姿勢にその人の全人格が顕れるわけではない。ひとつだけ確かなことは、出来上がったラーメンは食べられなければならない。それだけのことだろうか。