Sun Ra - Space Is The Place (Blue Thumb, 1973)
Recorded at Streetville Recording Studio, Chicago, October 19 & 20, 1972
Released by Blue Thumb Records BTS-41, 1973
Produced by Alton Abraham & Ed Michel
All Composed and Arranged by Sun Ra
(Side A)
A1. Space Is The Place : http://youtu.be/ef3rh2qRJvo - 21:14 (incomplete)
(Side B)
B1. Images : http://youtu.be/P8yvURYjhF0 - 6:15 (different early version)
B2. Discipline 33 : http://youtu.be/_e7yjyCjNQA - 4:50 (incomplete)
B3. Sea Of Sound - 7:42*no links
B4. Rocket Number Nine : http://youtu.be/g7vGAHq7VwI - 2:50 (different early version)
[ Sun Ra and His Intergalactic Solar Arkestra ]
< collective personnel >
Sun Ra - piano, space organ
Akh Tal Ebah - trumpet, flugelhorn, vocal
Kwame Hadi (Lamont McClamb) - trumpet
Marshall Allen, Danny Davis - alto saxophone, flute
John Gilmore - tenor saxophone, vocal
Danny Thompson - baritone saxophone, flute, vocal
Eloe Omoe - bass clarinet, flute
Pat Patrick - electric bass, baritone saxophone, vocal
Lex Humphries - drums
Atakatun (Stanley Morgan), Odun (Russell Branch) - percussion
June Tyson, Ruth Wright, Cheryl Banks, Judith Holton - Space Ethnic Voices
今回は本当に残念なご紹介ですが、これを外すわけにはいかないので参考音源を集めてみました。サン・ラが1972年からの3年間レコーディング契約していたインパルス!レコーズは大手ABCレコーズ傘下のジャズ・レーベルでしたが、サン・ラの担当プロデューサーだったエド・ミッチェルがインパルス!ではなくABCレコーズ傘下でも大衆的な黒人音楽(ブルースやR&B)のレーベル、ブルー・サム・レコーズから発売したのが本作『Space Is The Place』です。これはサン・ラのスタジオ・アルバムでも屈指のキャッチーでポップかつダンサブルで、しかもサン・ラ・アーケストラの本流からも外れない名作になりました。
残念なのは本作からの音源を完全な形でご紹介できないことです。全5曲中新曲は3曲ですが(A1,B2,B3)B2のリンクはなくA1とB2を不完全な短縮編集版で、旧レパートリー(『Jazz In Silhouette』1959からのB1,『Interstellar Low Ways』1966からのB4)の新アレンジによる再録音を別のアルバムからのオルタナティヴ・テイクでご紹介せざるを得ませんでした。この2曲は何度も再録音されている代表曲なので、なるべく本作のアレンジに近いものを選びました。アルバム・タイトル曲「Space Is The Place」はジューン・タイソンのヴォーカルがアーケストラの演奏と一体化したキラー・チューンです。この21分のタイトル曲ためだけでも中古CDで安く見かけられたらお勧めできます。B面4曲もまるでブルー・ノート・レーベルのハード・バップ・アルバムのようにわかりやすくかっこいいジャズが聴けて、これほど親しみやすいサン・ラのアルバムはそれほどないでしょう。ジャケットも実に雰囲気があって、おそらくアルバム・ジャケット用に特別なフォト・セッションが行われたサン・ラのアルバムはこれが初めてではないでしょうか。誕生日やクリスマス・プレゼントにも向いています。
本作が制作された由来は、元はといえば地方テレビ局からサン・ラ・アーケストラのドキュメンタリー番組の企画が持ち上がったことに発しました。テレビ番組の企画は流れますが、むしろ発展する形でサン・ラとサン・ラ・アーケストラを実名で主役にしたオール黒人キャストのSF音楽映画の企画に拡大されます。それが映画『Space Is The Place』で、脚本も用意され監督も立てられましたが内容はサン・ラのアイディアでどんどん変更されました。当時は『シャフト』に代表されるブラック・アフロ・アメリカン・ムーヴィー・ブームで、本作もその流れにありました。
サン・ラが映画の実権を握ったのは撮影途中からサン・ラ側のマネジメントが版権の50%を穫ることになったからで、つまり製作費の半分はサン・ラ側が負担してプロデュース権を得たのです。完成した映画はプレミア上映時には95分ほどありましたが、サン・ラによって不本意なシーンが削られ、1974年に最終的に編集されたヴァージョンでは70分弱になりました。数回上映されたきり幻の映画になり、アーケストラのライヴのバック・スクリーンに抜粋上映される以外全貌は不明でしたが、1993年に初めてヴィデオ・ソフトが発売され、またブルー・サムからのアルバムとは別に映画用に代表曲を再録音したLP2枚組相当分のサウンドトラック録音が発掘されました。
映画の内容を簡単にご紹介すれば、音楽エネルギーで宇宙を旅する善なる黒人文化の伝道師サン・ラとそのアーケストラが地球に降りて音楽伝動を行いつつ、悪の黒人マフィアのネットワークを企てる敵と時空を超えたトランプ勝負に挑みます。サン・ラは勝利しますが、政府の秘密機関によって宇宙に強制送還されます。このシンプルなプロットの中にサン・ラ思想の伝道とライヴ・シーンが盛り込まれています。次のリンクで映画全編が鑑賞できます。
SUN RA SPACE IS THE PLACE MOVIE : http://www.youtube.com/playlist?list=PLO8jGuXDijv-aknC_bIjM6wa8_pCzrflA
また、映画のサウンドトラックは前述の通りブルー・サム盤とは別で1972年10月いっぱいをかけて録音され、1993年に一連のサターン盤リイシューの際に発掘されてCDリリースされたものです。選曲はサン・ラのグレイテスト・ヒットと言えるものを最新メンバーのライヴ用アレンジで再録音したもので、もし当時ラジオ用スタジオ・ライヴをしたら同じような内容になったのではないでしょうか。バンドの自己紹介的な選曲と演奏とも言えます。
代表曲を選んであるといっても映画のコンセプトに合わせた選曲のようで、曲単位ではそつないのですが選曲が総花的すぎ核になる曲、芯になる流れを欠いていて、アルバムとしては散漫さが否めません。ブルー・サム盤(CDではインパルス!から再発売)『Space Is The Place』が気に入られたら、こちらもついでに聴くと他のサン・ラのアルバムへのガイダンスになると思います。この『Soundtrack To The Film SPACE IS THE PLACE』も実際にサウンドトラック・アルバムからの音源が数えるほどしかないので、別ヴァージョンで代用したリンクをご紹介します。リンクの曲目とは一致しませんが、CD『Soundtrack To The Film SPACE IS THE PLACE』の曲目をご参考までに記載しました。
Soundtrack To The Film SPACE IS THE PLACE (different early versions) : http://www.youtube.com/playlist?list=PLdc5QP2otgcXSgzNSCVbCNg3GO5Yod4Q9
Recorded at variety recording studio in October 1972
Released by Evidence Records ECD 22070-2, 1993
All composed and arranged by Sun Ra
(Tracklist)
1. It's After The End Of The World - 3:25
2. Under Different Stars - 3:55
3. Discipline 33 - 3:22
4. Watusa - 7:11
5. Calling Planet Earth - 3:04
6. I Am The Alter-Destiny - 1:08
7. Satellites Are Spinning - 2:33
8. Cosmic Forces - 3:09
9. Outer Spaceways Incorporated - 3:00
10. We Travel The Spaceways - 2:28
11. The Overseer - 3:04
12. Blackman / Love In Outer Space - 16:53
13. Mysterious Crystal - 5:53
14. I Am The Brother Of The Wind - 5:54
15. We'll Wait For You - 4:11
16. Space Is The Place - 4:23
[ Sun Ra and His Intergalactic Solar Arkestra ]
Same as Blue Thumb BTS-41
Recorded at Streetville Recording Studio, Chicago, October 19 & 20, 1972
Released by Blue Thumb Records BTS-41, 1973
Produced by Alton Abraham & Ed Michel
All Composed and Arranged by Sun Ra
(Side A)
A1. Space Is The Place : http://youtu.be/ef3rh2qRJvo - 21:14 (incomplete)
(Side B)
B1. Images : http://youtu.be/P8yvURYjhF0 - 6:15 (different early version)
B2. Discipline 33 : http://youtu.be/_e7yjyCjNQA - 4:50 (incomplete)
B3. Sea Of Sound - 7:42*no links
B4. Rocket Number Nine : http://youtu.be/g7vGAHq7VwI - 2:50 (different early version)
[ Sun Ra and His Intergalactic Solar Arkestra ]
< collective personnel >
Sun Ra - piano, space organ
Akh Tal Ebah - trumpet, flugelhorn, vocal
Kwame Hadi (Lamont McClamb) - trumpet
Marshall Allen, Danny Davis - alto saxophone, flute
John Gilmore - tenor saxophone, vocal
Danny Thompson - baritone saxophone, flute, vocal
Eloe Omoe - bass clarinet, flute
Pat Patrick - electric bass, baritone saxophone, vocal
Lex Humphries - drums
Atakatun (Stanley Morgan), Odun (Russell Branch) - percussion
June Tyson, Ruth Wright, Cheryl Banks, Judith Holton - Space Ethnic Voices
今回は本当に残念なご紹介ですが、これを外すわけにはいかないので参考音源を集めてみました。サン・ラが1972年からの3年間レコーディング契約していたインパルス!レコーズは大手ABCレコーズ傘下のジャズ・レーベルでしたが、サン・ラの担当プロデューサーだったエド・ミッチェルがインパルス!ではなくABCレコーズ傘下でも大衆的な黒人音楽(ブルースやR&B)のレーベル、ブルー・サム・レコーズから発売したのが本作『Space Is The Place』です。これはサン・ラのスタジオ・アルバムでも屈指のキャッチーでポップかつダンサブルで、しかもサン・ラ・アーケストラの本流からも外れない名作になりました。
残念なのは本作からの音源を完全な形でご紹介できないことです。全5曲中新曲は3曲ですが(A1,B2,B3)B2のリンクはなくA1とB2を不完全な短縮編集版で、旧レパートリー(『Jazz In Silhouette』1959からのB1,『Interstellar Low Ways』1966からのB4)の新アレンジによる再録音を別のアルバムからのオルタナティヴ・テイクでご紹介せざるを得ませんでした。この2曲は何度も再録音されている代表曲なので、なるべく本作のアレンジに近いものを選びました。アルバム・タイトル曲「Space Is The Place」はジューン・タイソンのヴォーカルがアーケストラの演奏と一体化したキラー・チューンです。この21分のタイトル曲ためだけでも中古CDで安く見かけられたらお勧めできます。B面4曲もまるでブルー・ノート・レーベルのハード・バップ・アルバムのようにわかりやすくかっこいいジャズが聴けて、これほど親しみやすいサン・ラのアルバムはそれほどないでしょう。ジャケットも実に雰囲気があって、おそらくアルバム・ジャケット用に特別なフォト・セッションが行われたサン・ラのアルバムはこれが初めてではないでしょうか。誕生日やクリスマス・プレゼントにも向いています。
本作が制作された由来は、元はといえば地方テレビ局からサン・ラ・アーケストラのドキュメンタリー番組の企画が持ち上がったことに発しました。テレビ番組の企画は流れますが、むしろ発展する形でサン・ラとサン・ラ・アーケストラを実名で主役にしたオール黒人キャストのSF音楽映画の企画に拡大されます。それが映画『Space Is The Place』で、脚本も用意され監督も立てられましたが内容はサン・ラのアイディアでどんどん変更されました。当時は『シャフト』に代表されるブラック・アフロ・アメリカン・ムーヴィー・ブームで、本作もその流れにありました。
サン・ラが映画の実権を握ったのは撮影途中からサン・ラ側のマネジメントが版権の50%を穫ることになったからで、つまり製作費の半分はサン・ラ側が負担してプロデュース権を得たのです。完成した映画はプレミア上映時には95分ほどありましたが、サン・ラによって不本意なシーンが削られ、1974年に最終的に編集されたヴァージョンでは70分弱になりました。数回上映されたきり幻の映画になり、アーケストラのライヴのバック・スクリーンに抜粋上映される以外全貌は不明でしたが、1993年に初めてヴィデオ・ソフトが発売され、またブルー・サムからのアルバムとは別に映画用に代表曲を再録音したLP2枚組相当分のサウンドトラック録音が発掘されました。
映画の内容を簡単にご紹介すれば、音楽エネルギーで宇宙を旅する善なる黒人文化の伝道師サン・ラとそのアーケストラが地球に降りて音楽伝動を行いつつ、悪の黒人マフィアのネットワークを企てる敵と時空を超えたトランプ勝負に挑みます。サン・ラは勝利しますが、政府の秘密機関によって宇宙に強制送還されます。このシンプルなプロットの中にサン・ラ思想の伝道とライヴ・シーンが盛り込まれています。次のリンクで映画全編が鑑賞できます。
SUN RA SPACE IS THE PLACE MOVIE : http://www.youtube.com/playlist?list=PLO8jGuXDijv-aknC_bIjM6wa8_pCzrflA
また、映画のサウンドトラックは前述の通りブルー・サム盤とは別で1972年10月いっぱいをかけて録音され、1993年に一連のサターン盤リイシューの際に発掘されてCDリリースされたものです。選曲はサン・ラのグレイテスト・ヒットと言えるものを最新メンバーのライヴ用アレンジで再録音したもので、もし当時ラジオ用スタジオ・ライヴをしたら同じような内容になったのではないでしょうか。バンドの自己紹介的な選曲と演奏とも言えます。
代表曲を選んであるといっても映画のコンセプトに合わせた選曲のようで、曲単位ではそつないのですが選曲が総花的すぎ核になる曲、芯になる流れを欠いていて、アルバムとしては散漫さが否めません。ブルー・サム盤(CDではインパルス!から再発売)『Space Is The Place』が気に入られたら、こちらもついでに聴くと他のサン・ラのアルバムへのガイダンスになると思います。この『Soundtrack To The Film SPACE IS THE PLACE』も実際にサウンドトラック・アルバムからの音源が数えるほどしかないので、別ヴァージョンで代用したリンクをご紹介します。リンクの曲目とは一致しませんが、CD『Soundtrack To The Film SPACE IS THE PLACE』の曲目をご参考までに記載しました。
Soundtrack To The Film SPACE IS THE PLACE (different early versions) : http://www.youtube.com/playlist?list=PLdc5QP2otgcXSgzNSCVbCNg3GO5Yod4Q9
Recorded at variety recording studio in October 1972
Released by Evidence Records ECD 22070-2, 1993
All composed and arranged by Sun Ra
(Tracklist)
1. It's After The End Of The World - 3:25
2. Under Different Stars - 3:55
3. Discipline 33 - 3:22
4. Watusa - 7:11
5. Calling Planet Earth - 3:04
6. I Am The Alter-Destiny - 1:08
7. Satellites Are Spinning - 2:33
8. Cosmic Forces - 3:09
9. Outer Spaceways Incorporated - 3:00
10. We Travel The Spaceways - 2:28
11. The Overseer - 3:04
12. Blackman / Love In Outer Space - 16:53
13. Mysterious Crystal - 5:53
14. I Am The Brother Of The Wind - 5:54
15. We'll Wait For You - 4:11
16. Space Is The Place - 4:23
[ Sun Ra and His Intergalactic Solar Arkestra ]
Same as Blue Thumb BTS-41