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Pink Floyd - Biding My Time in Croydon; Croydon 1970 (January 18th, 1970)

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Pink Floyd - Biding My Time in Croydon / Croydon 1970; Live at Fairfield Hall, Croydon, Surrey, UK (January 18th, 1970) Full Concert : https://youtu.be/Aj-5nfjsF8Q
Date : 18/01/1970
Venue : Fairfield Hall, Croydon, Surrey, England
Duration : 124:10 min
Tracklist :
CD 1
1. Astronomy Domine (Syd Barrett, Richard Wright) - 9:02
2. The Violent Sequence (David Gilmour, Roger Waters, Richard Wright, Nick Mason) - 15:32
3. Set the Controls for the Heart of the Sun (Waters) - 14:05
4. The Amazing Pudding (aka Atom Heart Mother) (Gilmour, Waters, Wright, Mason) - 24:34
5. Careful with that Axe Eugene (Gilmour, Waters, Wright, Mason) - 10:58
CD 2
1. The Embryo (Waters) - 9:38
2. Main Theme from "More" (Gilmour, Waters, Wright, Mason) - 14:02
3. Biding My Time (Waters) - 5:59
4. A Saucerful of Secrets (Gilmour, Waters, Wright, Mason) - 16:54
[ Pink Floyd ]
David Gilmour - guitar, vocals
Roger Waters - bass, acoustic guitar, vocals
Richard Wright - keyboards, vibraphone, vocals
Nick Mason - drums, percussion

 先日取り上げた『On Stage with Zappa』(1969年10月25日録音)が60年代ピンク・フロイドの総決算なら、この『Biding My Time in Croydon』または『Croydon 1970』(ジャケットは後者を用いた。理由は後述)は70年代のフロイド黄金時代の幕開けになるライヴ音源で、6月~翌1971年10月までは「Atom Heart Tour」とされ92公演が行われた。この音源は現在までに発掘された1970年度の36公演分のコンサートのうち、もっとも早い日付のものになる。音源の発掘はごく最近で、2013年5月から『Croydon 1970』としてCD-Rで出回り、間もなく『Biding My Time in Croydon』と改題されてプレスCDで流通している。『Croydon 1970』発掘時のメーカー・インフォメーション(英語原文を忠実に日本側代理店が日本語全訳したもの)がライヴ音源内容を丁寧に解説し尽くしているので、採録しておきたい。

Croydon 1970; Live at Fairfield Hall, Croydon, Surrey, UK 18th January 1970
●1970年1月に行われた4回のイギリスでのコンサートから、3回目となる1月18日、サリー州クロイドンはフェアフィールド・ホール公演でのライヴを、当時としては最長の一つとなる127分に渡って良質なオーディエンス録音で全曲収録したファン必聴テイクが登場です。「Atom Heart Mother」は、前日の17日ヨークシャー公演にて、初めて公の場で披露されたその説がありますが、その日の音源は現在に至るまで存在していませんので、今回のクロイドン公演音源が、最も最古の「Atom Heart Mother」のライヴ音源ということになります。(今週リリースの新作「CRYSTAL PALACE 1971」が最古の「Echoes」を収録しているのは興味深い偶然の一致です。)つい先日、発掘され話題を呼んだ1月23日のパリ音源は、本公演から2回目のライヴであり、そこでも聴けるように、「Atom Heart Mother」は、後半のニックのドラムソロを含んだパート以外は、ベーシック・トラックに関しては殆ど完成しています。Embryoは、1969年のBBCセッションで演奏された時は短めの小品と言った感でしたが、ここでは11分に渡って演奏されており、中間にはギターソロとヴィブラフォンのソロが挟まった、壮大な曲調に変化しています。前半では映画のサントラ「More」からの抜粋に加え、「The Man」の一部で、Workとして演奏されていたBiding My Timeが単独で演奏されています。ディスク1の最後に Astronomy Domineが収録されていますが、実際はコンサートのオープニングトラックではないかと推測されます。ディスク2冒頭には15分に及ぶ、映画「Zabriskie Point」のアウトテイクと言われるThe Violent Sequenceを収録。無機質的な反復するリズムによるHeart Beat, Pig Meatで始まり、ドラムソロとピアノの激しい掛け合いを中盤に挟み、ラストは「狂気」に収録されることになるUs And Themの原曲をピアノで奏でるというこの時期お馴染みの3部構成の実験的組曲。ラストは17分に及ぶアンコールA Saucerful Of Secretsで、緊張感を孕んだ圧巻の演奏を堪能できます。曲間のカットが多いですが、音像そのものは終始安定しており、ヒスノイズの問題や、音の割れや劣化も無いので、全くストレス無く聴けます。現在、マスターから枝分かれしているリールテープ・コピーが2種存在するようですが、本音源は近年登場した、本公演を収録したテイクでは、最もジェネ若と言われている、マスターリールテープからのコピーのRAW TRANSFERテイクを収録しています。聴けば、一発で判りますが、とにかく劣化の無い澄んだ音の響きは素晴らしく、おそらく、70年クロイドンに関しては、実際のコンサートから44年も経過していることを考えると、今後、これ以上のテイクは出てこないのではないでしょうか。綿密かつ繊細なリストア作業も施されているようで、音像の安定感は驚くべきものがあります。前述の曲間カットの関係か、収録されている曲順など、全体のセット構成が不明ですが、この素晴らしい歴史的テイクをあるがまま聴ける最良盤ということで、間違いなくファン必聴・必携の2枚組に仕上がっています。高かったピッチは正確に補正済み。本来ならこのままストレートにプレスCD化が相応しい1970年クロイドン公演の決定盤をお楽しみください。
Croydon 1970
Live At Fairfield Hall, Croydon, Surrey, UK 18th January 1970
(Disc 1)
1. Careful With That Axe, Eugene
2. The Embryo
3. Main Theme From More
4. Biding My Time
5. Astronomy Domine
TOTAL TIME (52:12)
(Disc 2)
1. The Violent Sequence
2. Set The Controls For The Heart Of The Sun
3. The Amazing Pudding
4. A Saucerful Of Secrets
TOTAL TIME (75:03)
(Unofficial "Croydon 1970; Live at Fairfield Hall, Croydon, Surrey, UK" CD-R Liner Cover)

イメージ 2

 ここまで丁寧な解説にはつけ加えることはほとんどなく、収録各曲のライヴ・アレンジについて補足説明するくらいしかない。オムニバス盤発表曲「The Embryo」は70年後半にはダイナミックなアレンジで15分を超え、1971年には30分を超える大作に発展するが、フロイドはライヴ・アレンジで大作化した「The Embryo」のスタジオ再録音はしなかった。代わりに、「The Embryo」と平行して71年6月からステージ・レパートリーになった新曲「The Return of the Son of Nothing」のアレンジに「The Embryo」のアレンジ・アイディアを融合させ、後の「Echoes」に統合改作する。
 シド・バレットが脱退してデイヴ・ギルモアが正規メンバーになった1968年以降のフロイドのライヴ定番曲は、まず主要曲として、
・Astronomy Domine
・Interstellar Overdrive
・Set the Controls for the Heart of the Sun
・Careful with That Axe, Eugene
・A Saucerful of Secrets
 に、ライヴ用に大きくアレンジを変えた、
・Cymbaline
・The Embryo
 を加え、アコースティックな小曲フォーク・バラードとして、
・Green Is the Colour
・Grantchester Meadows
 さらに70年度からのアルバム先行演奏披露になる新曲では、
・The Amazing Pudding (aka Atom Heart Mother)
・Fat Old Sun
 があり「Fat Old Sun」などはスタジオ録音の6分弱のアレンジに対してライヴでは15分近い。さらに71年6月からは、
・The Return of the Son of Nothing (aka Echoes)
 のアルバム先行演奏がされ、未完成状態では30分(スタジオ録音でも23分30秒だが)にも及ぶ。全体的にアルバム『Atom Heart Mother』1970.10発表後のツアーでは、バンドが次作『Meddle』1971.11(7月録音開始)の構想に入る直前の1971年春には曲のライヴ用アレンジによる大作化はすごいことになっており、具体例を上げれば1971年4月3日のオランダ公演などはライヴ後半の72分で「The Embryo」「A Saucerful Of Secrets」「Atom Heart Mother」の3曲しかやっていない。こうしたことも発掘ライヴ音源を聴かないとわからない、わかると興味が尽きないので、ピンク・フロイドの発掘ライヴ音源にはボブ・ディラン、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリンと並んで絶大な人気がある一因となっている。
(Unofficial "Biding My Time in Croydon" CD Liner and Front Cover)

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 ご覧の通り、リンクに引いた同一日の公演(曲間カットや音質、録音時期の珍しさからもほぼ確実に同一音源)の後発盤『Biding My Time in Croydon』はプレスCDという点で『Croydon 1970』に勝るが、ジャケットに1968年頃のバンド・ショットを使うなど詰めの甘さがあり、先に解説を採録した通り『Croydon 1970』とは曲順が異なっている。元々の音源に曲間のカットがあるため曲のつながりが決定できず、当時のピンク・フロイドのコンサートは「Astronomy Domine」をオープニングに「A Saucerful Of Secrets」で終わるのが定番でもあった。続く3か月のライヴ音源を参照すると、
・February 11th, 1970 - Live at Town Hall, Birmingham, UK
1. The Embryo / 2. Main Theme from "More" / 3. Careful with That Axe, Eugene / 4. Sysyphus / 5. Heat Beat, Pig Meat / 6. Quicksilver / 7. Moonhead / 8. The Violent Sequence / 9. Set the Controls for the Heart of the Sun / 10. The Amazing Pudding (Atom Heart Mother)
・March 20th, 1970 - Live at Stora Salen, Akademisk Forening, Sweden
1. Astronomy Domine / 2. Careful with that Axe, Eugene / 3. Cymbaline / 4. A Saucerful Of Secrets / 5. The Embryo / 6. Interstellar Overdrive / 7. Set the Controls for the Heart of the Sun / 8. The Amazing Pudding (Atom Heart Mother)
 そして、4月のアメリカ・ツアーからは、
・April 22nd, 1970 - Live at Capitol Theatre, Port Chester, New York, USA
1. Granchester Meadows / 2. Astronomy Domine / 3. Cymbaline / 4. The Amazing Pudding (Atom Heart Mother) / 5. The Embryo / 6. Green is the Colour / 7. Careful with that Axe, Eugene / 8. Set the Controls for the Heart of the Sun / 9. A Saucerful Of Secrets
・April 29th, 1970 - Live at Fillmore West, San Francisco, California, USA
(Same Setlist as April 22nd Concert)
 4月~6月のコンサートはフェスティヴァル出演で短縮される場合はあっても選曲・曲順は上記セットリストが基本で、今や古典的な7月16日のBBCラジオ放送用公開ライヴ収録では短縮セットリストながら、
1. The Embryo / 2. Fat Old Sun / 3. Green is the Colour / 4. Careful with that Axe, Eugene / 5. If / 6. Atom Heart Mother
 と、アルバム用の合唱団とオーケストラつきアレンジが完成して正式にタイトルが決定した「Atom Heart Mother」と、同アルバム収録曲の先行披露として「Fat Old Sun」と「If」がライヴで初演される。
 結局2月、3月の過渡期のライヴもクロイドン・コンサートでの曲順を決定する手がかりにはならないのだが(この2月バーミンガム、3月スウェーデンのライヴ音源は曲間カットがなく、実際の曲順通り。また4月~6月のセットリスト固定化は前述した)、主なピンク・フロイド研究サイトでは現状の資料では『Croydon 1970』の曲順を史実と判定しているらしい。このリストでは「Heart Beat, Pig Meat」 「Quicksilver」「Us and Them」と分割されているが、実際には3曲1組で組曲「The Violent Sequence」として演奏された。記述が重複するが、今回のライヴ音源の曲順は本来以下のようになるのを確認しておきたい。
・Live At Fairfield Hall, Croydon, Surrey, UK, 18th January 1970
(Setlist)
1. Careful With That Axe, Eugene
2. Embryo
3. Main Theme from "More"
4. Biding My Time
5. Astronomy Domine
6. Heart Beat, Pig Meat
7. Quicksilver
8. Us and Them
(The Violent Sequence; instrumental)
9. Set the Controls for the Heart of the Sun
10. The Amazing Pudding (aka Atom Heart Mother)
11. A Saucerful Of Secrets

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