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Charles Mingus - Blues & Roots (Atlantic, 1960)

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Charles Mingus - Blues & Roots (Atlantic, 1960) Full Album : http://youtu.be/Y9KcMfQhn6w
Recorded 4 February 1959, Atlantic Studios, New York City
Released by Atlantic Records Atlantic SD1305, March 1960
All Titles composed by Charles Mingus.
(Side 1)
A1. Wednesday Night Prayer Meeting - 00:00 (5:39)
A2. Cryin' Blues - 05:42 (4:58)
A3. Moanin' - 10:44 (8:01)
(Side 2)
B1. Tensions - 18:48 (6:27)
B2. My Jelly Roll Soul - 25:18 (6:47)
B3. E's Flat Ah's Flat Too - 32:08 (6:37)
[ Personnel ]
Charles Mingus - bass
Jimmy Knepper - trombone
Willie Dennis - trombone
John Handy - alto sax
Jackie McLean - alto sax
Booker Ervin - tenor sax
Pepper Adams - baritone sax
Dannie Richmond - drums
Horace Parlan - piano, except for "E's Flat Ah's Flat Too"
Mal Waldron - piano on "E's Flat Ah's Flat Too"
Nesuhi Ertegun - producer
Tom Dowd - recording engineer

 このアルバムは昨年1月にもご紹介しているが、せっかく黄金時代のミンガスを連続紹介しているので『Pithecanthropus Erectus』1956以来のミンガス作品の流れの中で聴き返すのも意義があろうかと、多少の加筆修正をほどこして再掲載したい。もっともその時は単発紹介が前提だったので、内容はこのアルバムに即したものというより、チャールズ・ミンガスというアーティストのジャズの世界での独自の位置を解説したようなものだった。
 この『Blues & Roots』について特に強調したいのは、その後も代表曲になった「Wednesday Night Prayer Meeting」と「E's Flat Ah's Flat Too」の名曲2曲を含む点、また「Wednesday Night Prayer Meeting」が典型的なようにジャズのブルースをゴスペルをルーツとしたもの(アルバム・タイトルはそこに由来する)と看破してアルバム全体をそのムードで統一した発想で、聖なる音楽のゴスペルと典型的な世俗音楽のブルースの関連は当時レイ・チャールズらソウル・シンガーが音楽的に実践した端緒だったが、ジャズではミンガスが定着させたといえる。第3にこのアルバムは新旧ミンガス・オールスターズというべきメンバーが一堂に会しており、2トロンボーン・4サックスからなる9人編成の大所帯がばっちり決まっている。粒ぞろいの新曲、豪華メンバー、アレンジと演奏も極上の上に、コロンビアのような大メジャー・レーベルからの作品にはない適度な気楽さもある。里程標的名盤ではないが充実した作品で、力みのないミンガスの典型的な作風が最良のかたちでまとめられた傑作と呼べるだろう。
 (Original Atlantic "Blues & Roots" LP Liner Notes)

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 チャールズ・ミンガスという人はビバップ以降のモダン・ジャズではパーカー、ディジー、モンクらに次ぐ巨匠で、ディジー同様バンドリーダー・作編曲家としての力量は素晴らしく、ほとんどの黒人ジャズマン(または黒人ジャズ指向の白人ジャズマンも)は最初にパーカーかディジーの薫陶を受け、マイルス、ブレイキー、ミンガスのバンドメンバーを経験している。ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズはリーダーがドラマーだったため音楽監督持ち回り制でメンバーの回転が早く、マイルスのバンドはメッセンジャーズ経験者から生え抜きの人選をしていた。メッセンジャーズもマイルス・クインテットもアルバムのみならずライヴ・バンドとしての人気も高かった。
 ミンガスのバンドはメッセンジャーズやマイルス・クインテットのようにはライヴができなかった。まずスタンダード曲はやらずにミンガスの自作曲ばかりやる、飲食や会話がうるさいとミンガスみずから客にケンカを売るので出演させてくれるジャズクラブがない。そこでミンガスのバンドはドラムスのダニー・リッチモンド以外固定メンバーを置かず、ミンガス・ファミリーとも言えるミュージシャンたちからアルバム制作ごとにメンバーを召集する、という集団制作方法を採ることになる。
 (Original Atlantic "Blues & Roots" LP Side 1 Label)

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 毎回新曲で、しかも短期集中的にアルバム制作するから、ミンガスのリーダーシップは強引なので悪名高かった。殴られなかった管楽器奏者はクラレンス・ショウ(tp)とエリック・ドルフィー(as,b-cl)、ローランド・カーク(ts,reeds)くらいだったらしい。
 面白いのは、ミンガス・バンド経験者はディジーのバンドやメッセンジャーズ、マイルス・クインテットと同じくらい大成したメンバーが多いが、ディジーやメッセンジャーズ経験者から生え抜きのメンバーが参加したのがマイルス・クインテットだったくらいディジー、ブレイキー、マイルス門下生は重なるのに、ミンガス・ファミリーのミュージシャンは見事なくらいメッセンジャーズやマイルスからはお呼びがかからない。唯一例外はジャッキー・マクリーンで、マイルス・バンドを経てからミンガス・ファミリーに加わり、ミンガスとメッセンジャーズの掛け持ちを同時にやってのけている。1956年~1957年の2年間がそれに当たり、2年間で30枚のアルバムに参加している。
 大してお金にならない上に、リーダーの満足いく演奏まで殴られながらもメンバーたちがついて行ったのは、ミンガスの音楽が魅力的でもあり実際に高い評価を受けて、ミンガス門下生であることはメッセンジャーズ以上にミュージシャンたちの勲章だったからだ(ミンガスの音楽は嫌いだ、と明言したコルトレーンのような人もいたが)。この『Blues & Roots』はアトランティックからの3作目になり、『Pithecanthropus Erectus』1956、『The Clown』1957に続くアルバムだが、3か月後にミンガス初のメジャー・レーベル(コロンビア)作品『Mingus Ah Um』とほぼ同メンバーで、傑作と名高いコロンビア作品よりものびのびとして奔放なアトランティック作品を好む人は多い。
 (Original Atlantic "Blues & Roots" LP Side 2 Label)

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 ミンガス自身はアルバムの自筆ライナーノーツで以下のようにこの作品を解説している。見事な自作解説で、作品制作の背景もわかる。これだけ明確に音楽的ヴィジョンを提示できたバンドリーダーはミンガス以外にはいなかった。だがモダン・ジャズ全体の中ではミンガスの方法は特殊なもので、ローランド・カークやエリック・ドルフィー、ブッカー・アーヴィンくらいしか直接的影響は及ばなかった(オーネット・コールマンを加えてもいいが)。巨匠でありながら何となく主流からは外れるのはそのせいでもある。ミンガスをどれだけ聴いているかでジャズの聴こえ方も違ってくる気がする。
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 This record is unusual - it presents only one part of my musical world, the blues. A year ago, Nesuhi Ertegun suggested that I record an entire blues album in the style of Haitian Fight Song (in Atlantic LP 1260), because some people, particularly critics, were saying I didn't swing enough. He wanted to give them a barrage of soul music: churchy, blues, swinging, earthy. I thought it over. I was born swinging and clapped my hands in church as a little boy, but I've grown up and I like to do things other than just swing. But blues can do more than just swing. So I agreed.
(Charles Mingus from Original Atlantic "Blues & Roots" LP Liner Notes)



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