3月ウサギに話を振られ、ネムリネズミは眠っていません、話はちゃんと聞いていましたよ、と言いました。いいからさっさと話せよ、と帽子屋、でないとまた寝るんだろ。
ネムリネズミは急かされて、昔むかし、いとけない3人姉妹がおりました。エルシー、レイシー、ティリーの3人で、住んでいたのは井戸の底でしたが……
興味津々、何を食べてたの?とアリス。
……シロップです、とネムリネズミ。
そんなの無茶よ、とアリス。病気になるわ。
だからもちろん病気でした。
何で井戸の底になんか住んでいるの?
お茶をもう1杯どうだ、と3月ウサギ。
まだ1杯も飲んでいないわ、とアリスはムッとして、もう1杯どころじゃない。
1杯どころじゃないってことは、と帽子屋、次に飲んだら1杯目ということだな。
余計な口出ししないで、とアリス。
その口出しは、と帽子屋、きみの方だろ?
アリスはまたネムリネズミに、どうして井戸の底に住んでいるのかしら。
シロップの井戸だから、とネムリネズミ。
そんな井戸なんてあるわけないじゃない!とアリスは腹を立てましたが、帽子屋と3月ウサギがしっ、しーっ、黙って聞いていられないなら自分で話の続きを作れよ、と言うので、不承不承うなずき、わかったわよ。それもありにしておきましょう。それで?
それもありだと!?とネムリネズミは怒った様子でしたが、続けて、だから3人姉妹が練習したのは、かきまわすことでした。
かきまわすって何を?とアリス。
シロップです、とネムリネズミ。
すると帽子屋が、きれいなカップがほしい。さあみんな、ひとつずつ席を移ろう。
帽子屋が移り、ネムリネズミとウサギも移りました。アリスはウサギの隣になりました。きれいなカップに当たったのは帽子屋だけで、アリスはウサギがミルクをこぼしてべとべとにしたひどい席でした。
でもわからないわ、とアリスはネムリネズミの機嫌を見ながら、慎重に訊きました。どこでシロップをかきまわすの?
プールでは水をかきまわす、と帽子屋、シロップの井戸ならシロップだろ。そんなのバカでもわかることだ。
帽子屋は無視して、でも井戸のどん底なのよね、とアリス。
そう、どん底……とネムリネズミ、だから3人は「お」で始まるものをかきわけるのです。
どうして「お」なの?とアリス。
「お」では悪いか?と3月ウサギ。
では「ま」は?
「ま」?
「ま」では悪いか?と3月ウサギ。
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新・NAGISAの国のアリス(53)
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