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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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アル中病棟の思い出7

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こんな冗談みたいな理由でアルコール依存症と断定され入院を命じられるのか、と即座に言語化して考えたわけではないが、とっさに口にしたのは、
「なぜですか?」
他に言いようがなかった。それから、どなたでも想像できるように、虚しい押し問答になった。

アベさんにお話した通り、三日三晩酒びたりになったのは事実です。その後は鬱になり、いつもの晩酌よりも酒量は増えているとは思う。だけれど朝から晩まで酒びたりだったのは、事があってから三日間だけで、今日だって飲んでから通院してきてなどいない。晩酌も…量だけではなく飲んでいる時間もやや長くなっているかもしれないが、あんなことがあったのをまだ引きずっているからで、それをアルコール依存症と言われるなら…

「アルコール依存症なんだよ」と主治医は言った。
いや、くどいけれど今お酒の量が多いのは…(以下同文)だからってアルコール依存症ですか?入院して治さなければならないようなことですか?
「そう。Y病院はM市にある単科の精神病院で、入院設備もある。元々精神疾患全般に対応していたが、今はアルコール依存症治療に特化して病院の半分がアルコール依存症の入院治療病棟になっている」
「そこに入院しろと?」
「久里浜の方がいいかい?あそこは日本一のアルコール治療単科病院だが、遠いからね。Y病院ならM市で近いし、うちから何人かお願いしたこともある」

「入院していったい何するんですか」
「まず、酒は飲めないね」
「…治療って、何するんです?」
「それは病院によりけりだね。期間は三か月。それがワンクールになる」
「三か月…」
「三か月で一巡する治療プログラムなんだよ」
「延長したりは…」
「それはない。三か月入院して、クリーンになって出てくる。再入院になるかは退院後の経過次第だ」
「…どうしても入院しなければ駄目ですか?」
「入院しなくちゃ飲み続けるだろ?」
「酒びたりにはなりませんよ。もうあの教会とは関わりませんから」
「いいかい、今入院して治さないとこの先もっとひどいことになる」
「それは命令ですか?」
「そうだ。命令だ」

入院に先立って、M市のY病院に予備診察が申し込まれることになった。次のアベさんの訪問看護が、入院前の最後の訪問だった。翌週、予備診察を受けに行った。

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