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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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新春握り寿司2016年

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 今年の新年3が日は土日に並ばなかったので、4日の今日がもう平日で、こんなに短い正月も珍しい。大みそかにスーパーで買っておいた握り寿司といなり寿司が元旦の朝食だった。ご覧の通りの画像がそれで、買った時にも写真に撮っている時にも何か違和感があったが、スーパーには一人前の握り寿司のパックはこれ1種類しかなかったので疑問にも気づかず買ってきた。食べ始めてようやく気づいた。この握り寿司の寿司種はあるべきものが欠けている。おわかりになりましたか。答えはこの作文の後半で明らかにします。さて。

 この年末年始は食生活はそこそこ豊かだった。今回が豊かだったと言うより、例年が貧しすぎたと言うべきだろうか。大みそかに海老天そばを食べ、元旦に握り寿司を食べるくらいはささやかなものだろう。揚げ物も寿司も年に数回食べる機会があるかないかなのだ。

 一人暮らしのワンルーム住まいでは揚げ物はあまり作ろうとは思わない。油の無駄と調理の手間がかかりすぎる。せいぜい「揚げずに作れる唐揚げ粉」を使って鶏や豚肉の唐揚げ(酢豚を作る時使う)を作るくらいだが、やっぱりちゃんと油揚げした唐揚げには及ばない。天ぷら、フライ類を食べたい時はスーパーの総菜が見切りになっていれば買う程度で、半額なら食材そのものを買うのと同じくらいの値段なので、調理の手間を含めて良しとする。

 ちらし寿司は自前でたまに作るが(のり巻きも妻子持ちの時にはよく作ってあげた)、握り寿司はさすがに自分では作らない。鉄火丼なら作るが、握り寿司はお祝い事と結びついているようにわざわざ食べに行ったり買ってきたりするご馳走だろう。趣味や特技で握り寿司が上手に作れるならともかく、寿司の種だって少なくとも5~6種類より多く欲しいし、そうなると一度に10人を超える人数ならともかく、少量ずつ寿司種を揃えるのはかえって不経済になる。まあ刺身の盛り合わせを買ってくる手もあるが、作るとなるとやっぱりせいぜいちらし寿司がいいところだろう。

 一式揃って出てくる握り寿司は、やはり寿司種がいろいろ組み合わせてあるから良いので、好き嫌いで言うならイクラなどは苦手になり、鮭も得意ではなく、玉子焼きなどお寿司に入っている意義を疑う。『美味しんぼ』では辛子明太子を「日本の(食文化の)恥」と書いて物議をかもしたそうだが、サラダ巻き・マヨネーズ和えの軍艦巻きなどは基本からは大きく外れているだろう。好き嫌いはあり、どうも女子供には苦手がられるようだが、アナゴ、海老やシャコ、それからシメサバやハマチに代表される光り物は、やっぱりこれがあっての握り寿司の醍醐味という気がする。渋い脇役が締めないと握り寿司一式という感じがしない。

 結局、基本を望めば鉄火(脂っこいのは苦手なのでかえってトロは要らない)、イカ(茹でたタコより生のイカだろう)、光り物代表でシメサバの3点が最低でもあれば「ああ、握り寿司だなあ」と納得がいく。さっぱり行く機会がないが、回転寿司ならマグロとシメサバばかり食べているくらいだ。そう思いながら食べ始めると、この握り寿司のパックには肝心なマグロが欠けているのに気づく。

 これはいったいどういう冗談だ、と思うが、このスーパーも普段は松竹梅のまつざか先生式に3段階の握り寿司セットを販売している。おそらく年末年始用で特別セットに統一する時、比較的華やかな寿司種ばかりで揃えた結果、基本中の基本であるマグロが閑却されてしまったのだろう。握り寿司を売っているスーパーや総菜店、コンビニは近隣に他にもあるし、鉄火握りが入っていないと気づいたら他のお店にも回ったかというと面倒くさくてそこまではしなかったと思うが、握り寿司一式でマグロなしというのは人生50年一度もなかった気がする。今後握り寿司セットを買う時には気をつけよう。さすがにシメサバが入っていなかったら無念だったと思うが、元旦に握り寿司を食べた、という喜びで今回は帳消しにする。しかも珍しく今回はお題の握り寿司から脱線しない作文になった。その辺は、ちょっとマグロ抜きの恨みが反映しているかもしれない。

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