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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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蜜猟奇譚・夜ノアンパンマン(25)

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 誰もが気づかないふりをしていますが、アンパンマンのIQ、または偏差値なりで測定できる知性は、どのような尺度でも地を払うようなものでした。もっとわかりやすく言えば、そこ抜けのバカということです。その責任は多大に(歴代)ジャムおじさんにあり、歴代ジャムおじさんは(たぶん)初代のアンパンマンからずっとおんなじあんパンを焼き続けてきました。そもそも頭部交換式という作り自体に問題があったのです。知性とは経験の蓄積にあり、知識の適切な摂取にあります。アンパンマンは正義と引き換えにそれらを犠牲にして生まれてきたのです。今もなお、アンパンマンはまだ自分が何に姿を変えているかに気づきませんでした。
 そこで君に訊こう、と理事長は言いました、君は乳と尻のどちらが好きかね?キヨシはためらいましたが、理事長の趣味を察して尻です、と答えました。ほう、そうか、君とは趣味が合うようだ、と理事長。では、なぜ尻が好きなのかね?キヨシは無難に受け流そうとしましたが、待った、理由などないだとかそこに尻があるからだ、などというのは答えにならんよ、と釘を刺されました。隣のガクトが見るに見かねて、これはスフィンクスの問いのようなものでござるな、朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足なのはなあに、つまり人は生まれた時は四つん這い、そして二足歩行になり、歳をとれば杖をつく……。いいから黙っていてくれないか、とキヨシは言いましたが、四つん這いから二足歩行、待てよ、と閃きました。それは四足歩行の類人猿時代、男が最初に見たのが女性の尻だったからです、とキヨシは理事長にかぶりつくように訴えました、それから人類は二足歩行になったので、替わりに女性の乳が尻に代わって発達した。でもそれは尻の代用でオリジナルじゃない、コピーよりオリジナルの方がいいのは当然です!とキヨシは絶叫しました、だから尻が!……気がつくと理事長はキヨシの肩に手を置いていました。もういい、君はグレートだ、尻の好きな男に悪い人間はいない。
 アンパンマンは自分のからだに正面と背中の区別がないことに気づいた時点で、これはスマキどころではないことに気づくべきでした。また、全身が性感帯と化していることきも鈍感すぎたと言うべきですが、乳首の存在理由は性感帯だけではないので、いくらアンパンマンでもペニスやクリトリスに変態していたら感覚の異常にはもっと早く気づいたと思われます。



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