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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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#6.続々『ソー・ホワット』

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ドラムスの守屋くんが加わる前の段階で、ぼくとベースのK、ギターの花ちゃんが選んだ曲は『酒とバラの日々』『ブルー・ボッサ』そして『ジャンゴ』だった-確か『ブルー・ボッサ』は花ちゃん、『ジャンゴ』はKの選曲で、『酒バラ』はなんとなく決まったように覚えている。Kはロックをやっていたからコード譜なら読めたし、花ちゃんはテーマ譜を見て初見でメロディを口づさめる読譜力があった。だがサンプル曲を聴いて譜面に起こすのは二人にはできず、ぼくが家でギターを弾いて採譜していた。守屋くんが入ってカルテットになってからもピアノやトランペット、テナーは常時募集していたが、バンド末期に西島さんというすごいピアニスト(すごいのも当然で、CDデビューもしているプロだった)が凖レギュラー参加してくれるまで来る人来る人みんな駄目だった-プレイヤーとしての積極性や自発性に欠けるか、このカルテットが演奏している音楽を理解してもらえないか(そういう人の演奏はぼくらにも面白味が感じられなかった)-うちのバンドの演奏はレパートリーこそジャズだが、アプローチはレッド・ツェッペリンとパンク・ロックの中間みたいなものだった。カルテット全員がロック出なのだから、吹奏楽やクラシック・ピアノ出身者はぼくらの演奏にまったく割り込めなかった。

前記三曲のうち、われわれの力量ではテーマこなすのがやっとで、アドリブなんてとても無理だったのは、『ジャンゴ』だった。ぼくの主楽器はアルトサックスだが、この曲はフルートやクラリネットでも試した。だがいかんせんコード進行と構成が込み入りすぎているのだ。ベースのKは原曲に忠実に弾けばいいが、花ちゃんのセンスではバッキングが弱く、その分ぼくのアドリブはコード感を厳守しなければならない。他の二曲はドラムレスのトリオでもそこそこ形になってきた。

だから『ソー・ホワット』をレパートリーにしたのは『ジャンゴ』で苦労したからで、これならコードは二つしかないぞ、しかもベースのリフとギターが刻む箇所も決っているからアレンジに迷わなくて済む-と考えたのが安易な勘違いで、コードが二つしかないから曲に終止感がなく、どこを演奏しているのか混乱してしまうメンバーが出て支離滅裂なアンサンブルになってしまうのだ。
そんな時来たのが守屋くんだった。守屋くんのドラムスは最初から完璧だった。これなら行ける。

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