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The Shaggs - Philosophy of the World (Third World, 1969)

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The Shaggs - Philosophy of the World(Third World, 1969) full album : https://youtu.be/jQqK1CjE9bA
Recorded March 9, 1969, at Fleetwood Studios, Revere, MA
Released Third World Records 3001(1969), Red Rooster/Rounder Records(1981, 1988)/RCA Victor(1999)
All songs written and arranged by: Dorothy Wiggin.
(Side A)
1. "Philosophy of the World" - 2:56
2. "That Little Sports Car" - 2:06
3. "Who Are Parents?" - 2:58
4. "My Pal Foot Foot" - 2:31
5. "My Companion" - 2:04
6. "I'm So Happy When You're Near" - 2:12
(Side B)
1. "Things I Wonder" - 2:12
2. "Sweet Thing" - 2:57
3. "It's Halloween" - 2:22
4. "Why Do I Feel?" - 3:57
5. "What Should I Do?" - 2:18
6. "We Have a Savior" - 3:06
[Personnel]
Dorothy (aka Dot) Wiggin: lead guitar, vocals
Betty Wiggin Porter: rhythm guitar, vocals
Helen Wiggin: drums
Rachel Wiggin: bass guitar on "That Little Sports Car"
[Production]
Produced by: Austin Wiggin, Terry Adams and Charlie Dreyer
Recorded and engineered by: Bob Olive and Austin Wiggin

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 (Alternative LP Floyd Cover Photograph)
 シャッグスは長らく知られざるアメリカのニューハンプシャーのローカル・バンドで1975年には解散しており、バンド存続中に発表されたレコードもローカル・レーベルからのこのアルバム『フィソロフィー・オブ・ザ・ワールド』だけだった。だが81年にイギリスのラウンダー・レーベルからの再発売によって知名度が上がり、ローリング・ストーン誌のカムバック・オブ・ジ・イヤーを受賞する。かねてからのフランク・ザッパの「ビートルズ以上だろう」という賛辞とともにカルト・バンドと再評価されて、ラウンダーからは75年に録音されて未発表だったセカンド・アルバム"Shaggs' Own Thing"も82年に発売され、CD化以降は2作がカップリングでロングセラーになる。
 ニルヴァーナのカート・コバーンはフェヴァリット・アルバムの5位に上げ、1996年刊のローリング・ストーン誌編オルタナティヴ・ロック・ガイド"Alt-Rock-A-Rama"では年代順「もっとも影響力の強いオルタナティヴ・ロック・アルバム」にMC5『キック・アウト・ザ・ジャムス』1968、キャプテン・ビーフハート&ヒズ・マジック・バンド『トラウト・マスク・レプリカ』1969に続く3番目、「20世紀最高のガレージ・ロック・アルバム」ではプッシー・ガロアやヴェルヴェット・アンダーグラウンド以上にランクされ、「インディーズ・アルバムの記念碑」では第3位にランクされている。

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 (Rounder LP "Shaggs Our Thing" Front Cover)
 ラウンダーからのリリースは追加曲にともなって曲順やジャケットが変更されたものだったが、ついに全米最大大手RCAヴィクターから曲順、ジャケットともにオリジナルのサード・ワールド盤を忠実に復刻した1999年版CDが発売されたため、一時的なCD発売記念再結成コンサートが行われた。この復刻CDはウォール・ストリート・ジャーナルにもレヴューが掲載され、ニューヨーカー誌にもシャッグスを紹介する署名記事(署名記事は無記名記事より重要視される)が載った。ラウンダーからのカップリングCDのジャケットも良いが(『シャッグス・オウン・シング』はあまり良くない)オリジナル・ジャケットはごらんのとおりインパクトの強いものだった。
 2001年にはV.A.によるトリビュート盤『ベター・ザン・ビートルズ』発売、2003年にはシャッグスの歴史を描いたミュージカル『フィソロフィー・オブ・ザ・ワールド』がロサンゼルスでロング・ランになり、2011年からはニューヨークにも進出している。ドラムスのヘレンは2006年逝去、2児の母だった。ウィギン姉妹の母アニーは2005年に逝去している。2011年には英BBCラジオでシャッグスについてのドキュメンタリー番組が放送され、スティーヴン・チョボスキーの大ベストセラー小説を作者自身が監督した2012年の映画『ウォールフラワー』でもシャッグスの曲がサウンドトラックに仕様されている。

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 (Rounder CD "The Shaggs" Front Cover)
 もともとシャッグスはオースティンとアニーのウィギン夫妻が、娘たちをロックスターにしてひと儲けできないか、と思いついてドロシー、ベティ、ヘレン姉妹にエレキギターとドラムスを買い与えて練習を積ませた。ウィギン家で人気の高かったのはハーマンズ・ハーミッツだそうだから(1969年のハーマンズ・ハーミッツ!?)、最初から勘違いがあった。
 とにかくギターはリードギターとリズムギターが要ると考えて、ベースは最年少のレイチェルが1曲だけ弾いている。スカスカな上にメンバー全員リズムがキープできないので、演奏中にどんどん各パートがずれていく。のちのイギリスのスリッツ、レインコーツらプリミティヴなフェミニズム・ロックの元祖と言えるが、シャッグスはもっと壊滅的な演奏で、天然としか言いようがない。

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 (Musical "The Shaggs" Original Soundtrack CD Front Cover)
 父のオースティンはとにかくアルバム・デビューさせなければ、と計画するが、既成の大手レーベルへのつてなど当然ないので、いろいろ当たって弱小インディーズ・レーベルのサード・ワールド・レコーズから自主制作盤を出すことにする。50年代からローカル・インディーズ・レーベルのリリースが注目されて大手レーベルから全米デビューという例は、それこそエルヴィス・プレスリーからロックではよくあるステップだった。だがサード・ワールドはきわめて悪質なレーベルで、1000枚オースティンに出資させて録音・プレスし、オースティンに100枚渡すと残り900枚は販売網にかけもせずに廃棄処分してしまう。
 オースティンが売ったり放送局に送ったりした残り100枚もほとんど反響を呼ばなかったが、マイアミ出身の通好みバンドNRBQのメンバーが偶然1枚持っていたことから80年代イギリスでの再発売につながる。シャッグスはオースティンの売り込みでライヴでは好評を博し、1975年にマネージャーでウィギン姉妹たちの父、オースティンが逝去するまで地元のダンスホールの人気専属バンドとして活動していた。そして80年代以降のさまざまな再評価を経て、リーダーだったドロシーはドット・ウィギン・バンド名義で2013年初のソロ・アルバム"Go! Ready! Go!"を発表、こういう人が案外来日公演することもあるから、近年は油断がならない。

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