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ビビン麺紅生姜添え

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 前回は途中で放り投げてしまった紅生姜の話題だが、せっかくの機会だから調べてみようと思って検索してみた。案の定、例の辞典にも項目がある。丸投げで引用する。

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[紅しょうが]
 紅しょうが(べにしょうが)は、ショウガの塊根を梅酢に漬けた漬物の一種。

《由来》(……加筆願います……)

《作り方》
 塊状の根生姜(ねしょうが)を塩で下漬けした後、梅酢(梅干しを漬けた後に残る漬け汁)で数日間漬けこみ、取り出して細切りにする。
 この際の梅酢は、赤紫蘇を用いた梅酢を用いると(紫蘇の色が移って)濃い紫色になるが、シソを用いていない梅酢を用いた場合でも、ショウガの中にアントシアン系色素が含まれているため、梅酢の酸と反応して淡い薄紅色に漬けあがる。
 なお工業的に製造する場合は、赤系の食用色素を混ぜた、梅酢を用いた調味液で、あらかじめ細切りにしておいたショウガを漬け込む製法が多い。

《利用法》
 そのまま食べることもあるが、基本的には色取り・あしらい・口直し・付け合わせとしての性格が強い。
 形態としては、お好み焼きやたこ焼きなどに用いるみじん切り紅生姜、焼きそばなどに添えられる千切紅生姜、寿司などに添えられる平切紅生姜(ガリ)などに分けられる。
 牛丼や博多ラーメン、沖縄そばの店のほとんどは、紅しょうがを入れた器を客席に置いており、客が自分でトッピングするようになっている。

《紅しょうがを付け合せにする料理》
・お好み焼き
・たこ焼き
・焼きそば
・焼きうどん
・冷し中華
・博多ラーメン
・沖縄そば
・牛丼
・寿司
・天ぷら、串カツ - 近畿地方では、薄くスライスして天ぷら、縦に切って串カツにしたものが古くから親しまれている。
・薩摩揚げ
・チャーハン
・北海道の赤飯
 (ウィキペディアより)

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 ……項目がある割にはあっさりしているな、という感じを受ける。もうちょっとお祭り騒ぎ的な解説を期待していたのが間違いだったのか。ガリも紅生姜のうちに入るとは知らなかった。酢漬けなのは食べればわかるが、梅酢だとは知らなかった。何より物足りないのは、紅生姜という項目がありながら《由来》が見出ししかないことで、これでは盛り上がらなくても仕方ないではないか。
 明らかに、紅生姜には祝い事や景気づけの意味合いがあるのは、添えられる料理の一覧を見ても明白なのだが、ならば何らかの伝承がないはずだし、当然ながら由来がないということはあるまい。その由来に、紅生姜の紅生姜たる由縁があると思える。それ抜きには語れまい。

 何より、紅生姜は一般の付け合わせとは違って、単独で米飯のおかずになるような食品となる漬け物ではない。お茶漬けにも向かないだろうし、漬け物で紅生姜だけ出てくることもまずなさそうだ。漬け物というよりは薬味だから、常に何かに添えられるかたちで出てくる。薬味には栄養価的働きもあるが、食欲増進効果の方が大きいと思われる。紅生姜が添えられる料理といえば、主食というよりは軽食に当たるものが多く、主食・主菜・副菜・汁物といった構成の献立にはまず紅生姜は入らない。軽食とは、食事ではあるが中国料理でいう点心に相当するもの、間食や夜食に相当するものだろう。

 そんなわけで、紅生姜の製法・用法はわかっても肝心な出自や発祥はわからないとなると、これ以上話の進めようがない。推測を元にしてあれこれ想像することもできるだろうが、辞典サイトだってそれなりに根拠の乏しい諸説を並べるくらいのことはできただろう。だいたい食品の発祥などというと、日本各地に納豆の発祥地を名乗っている市町村があり、焼きそばやお好み焼き、寿司だって各地で異なる製法のものが同時発達した。だが紅生姜となると、薬味として製造されたというピンポイント食品なのだから発祥の特定くらいできそうなものだし、文献のもっとも古い用例などを群書類従あたりから引きずり出せそうだが、それもないのだからよほど文献を欠いているのだろう。こういう時は京都か奈良(大和)発祥、としておけばだいたい似たようなものが実際にあって、それが紅生姜のルーツであるとこじつけた上で「という説もある」で責任回避する、という手もある。自分で今書いていても、京都か奈良ならありそうだよな(しかも古すぎて資料がない)と思えてきた。歴史にはかなわない。古都恐るべし。

 まあそんなわけで紅生姜については不毛な考察に始終したが、人間には考えるべきことと、大して考えなくて良いことがある、ということだろう。単純に掲載したビビン麺の画像から紅生姜の部分だけ隠して見るとわかる。紅生姜が乗っているだけでやはり、どうしてか、うまそう感がぐん、と跳ねあがるのだ。

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