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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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レストレスレッグス症候群

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 今日は関東は雪の予報だったが、多少みぞれ混じりとはいえ小雨で済んだ。雨量も冷え込みもさほどではなかったので雪にはならなかったのだろう。この週末には内科に成人病(高血脂症)で受診しに行かなければならないので、天候が悪いと空いているので済ませてきた(予想通り空いていた)。太ってきちゃったねえ、駄目だよと言われて採血されてきた。
 今日は公共料金引き落としの仕分けもしなければならないので薬局に処方箋を出して外出して済ませ、薬局に戻って待ちながらパンフレット類を眺めていると、ずらり並んだ各種成人病、外科的疾患、メンタル疾患の見慣れた表紙に混じって、これは初めてお目にかかる「レストレスレッグス症候群」のパンフレットが目についた。レストレスレッグス症候群で現在服薬中という患者を一人知っている。筆者である。私である。ぼくである。「脚がほてった感じがして、とにかくむずむずして、仕方ないからバタバタ動かすくらいしか楽にならないんです」と3年くらい前にかかりつけのメンタル・クリニックで寝つきの悪い原因で思い当たること、として話したのだ。夏だったと思う。
「ああ、それは足むずむず病だよ」と主治医が真顔で言うので、本当にそんな病名の病気があるのか、と訊き返した。「最近病気と認定されたみたいだよ。それまでもあったんだろうけど」「何か原因はあるんでしょうか」「それは、原因は不明ということにされている」「足むずむず病……」「まあ、薬もあるから。飲んでみて効果があるといいね」
 処方された薬はパーキンソン病の症状緩和に用いられる薬だった。現在まだこの症状は原因が特定できないが、脳内の神経伝達物質が円滑に働いていないのではないか、という説がもっとも有力といわれる。パーキンソン病は同様の原因で起こる病気だとはほぼ解明されているので、パーキンソン病の治療・症状緩和に用いられるのと同じ処方がされるわけだ。
 これは決して珍しい症状ではなく、人口の5%前後が経験し、性別では女性で月経や閉経・妊娠中、年齢では中年以降に多いという。とにかく脚のむずむず感のせいで不眠や疲れを引き起こし、集中力や意欲の喪失を招くのがまずいようだ。自分自身をかえりみると、20代半ばから起こり始めた覚えがある。夜中に勤め先の床に寝転がって脚をバタバタさせたものだ。座りっぱなしで仕事していても脚に澱んだ血液が溜まっているような不快感がした。徹夜徹夜で雑誌の編集をしているうちにそうなったので、不健康な労働環境が症状を引き起こし、やがて体質化してしまったのだろう。ただしこの症状が「足むずむず病」とされたのは近年なので、当時は受診しても病気とは見なされず、処方もされなかったろう。編集者どうしでは「仕事してると脚がむくむよなあ」は当たり前とされ、みんな脚をバタバタしていたくらいだ。
 しかし足むずむず病はないよな、と思っていたが、こうしてパンフレットの表題になるくらいだから、公式な病名はめでたく「レストレスレッグス症候群」に落ち着いたようだ。昔(1980年頃)スティッフ・レーベルにレストレス・エリックというロックンローラーがいたのを思い出した。レストレス・エリックなど誰も憶えていないのではないか。

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