秋口に最寄りの駅前にお菓子の安売り店ができた。最近はお酒はほとんど飲まなくなっている(飲んでも水割りをグラスで一杯、一日おき程度にしか飲まない)。晩酌を楽しむ習慣がなくなったのは、今では大した量も飲まないし、人生の喜びがひとつ減ったようなものだが、その替わりいままでほとんど食べなかったお菓子を食べるようになった。お酒も稀釈済みの梅酒、という安酒しかのまなかなったが(以前は安ワインだった。梅酒は多くても水割り5杯で飽きるが、ワインとなるとボトル1本は軽く空けてしまうので切り換えた)、安売り店で買えばお菓子は毎日食べても酒代より安くつく。
しかし健康面を考えるとカロリーは当然菓子の方が高いし、療養中の生活では家事労働と読書やDVD鑑賞(気に入ったら何度でも観るので一日のうち3時間前後は観ている)、ブログ書き程度のことを頭脳労働と言えるのだろうか?……と書いていたら、たぶんここまではほとんど同じ内容の作文を秋口に書いて載せたのに気づいた。あれが豆腐のような作文なら今回はオカラのようなものだ。亡き母がオカラ料理を知らない人だったので子供時代からオカラは食べつけず、今でも自分からオカラ料理はこしらえないが、ますます侘び寂び度が増してきたような気がする。
基本的に三食一汁一菜の精進食生活なので、高カロリーのスナック菓子がうまい(これも前回の同じような作文で書いた)。吾妻ひでおさんの『ひみつのひでお日記』を読むと、吾妻さんも菓子・コーヒー類についていろいろ書いていて、アル中から足を洗った人はまあそうなる。吾妻さんが好きなスナック菓子はフリトレーの「チートス」で、美味い、必ず口の中を切るけど、と書いている。チートスは美味しい。吾妻さんと嗜好の一致を見て嬉しい。あれはバーベキュー味もあるが、普通のチーズ味が美味しい。吾妻さんはチートスは口内が切れるというが、筆者はチートスでは切れない。コイケヤのポテトチップスだと切れる。
是が非でもチートスではなくてはというほどではないので、店頭で特売で安く買える方を買うから、コイケヤのポテトチップスが安ければしお味、のりしお味、コンソメ味、ガーリック味など種類を混ぜて買うのだが(チートスも同時特売だったらチートス3・ポテトチップス1くらいの割合で混ぜて買うかもしれない)、筆者の場合この手のスナック菓子はいわゆる袋食いという食べ方になる。袋の天だけ開けて袋の端に口をくっつけて斜めに流し込むような食べ方ですな。コイケヤのポテトチップスはこれだと粘膜を傷つけやすいのかもしれない。もちろん個人差の問題だから切れる人は切れるし、切れない人は切れない。
もちろんコイケヤのポテトチップスはうまい。成形ポテトチップスではなく不揃いなのもコイケヤの場合はおいしい。成形ポテトチップスはプリングルス(カラムーチョもそうか?辛いのは苦手だから辛くないカラムーチョならOKだが)、成形コーンスナックはポリンキーが代表格で、あれもあれでおいしいが。コイケヤはベルマークがついているのも偉い。ベルマークがついている食品には深い敬意を払っているつもりだ。わざわざベルマークを切り取り台所の引き出しに収める時は、ガキの頃は誇らしげにベルマークを小学校に持っていったよなあ、と思い出す。家庭を持っていた頃は長女にベルマークを持たしてやったよなあ(次女はまだ未就学児だった)、今までは毎年貯まったベルマークを娘たちへのクリスマス・プレゼントと一緒に添えていたのだが、もう次女も中学生になってしまったしな。
ところで画像はハウス食品から出ている「O'zack」の「松茸の香り」というのになる。これがしばらく前に本日限り・現品のみの特売で、2袋100円(税込み)で売っていた。一箱12袋入りだったので箱買いで2箱買ってきた。同じお店ではチートスやコイケヤも時たま2袋100円や、明治製菓やロッテの板チョコ2枚100円をやるので安い時に買い置きしておくにしくはない。オーザックは特に好きでも嫌いでもない(チートスと同時特売だったらチートス3・オーザック1くらいの割合で混ぜて買っただろうが)。では君は本心ではどう思っているのかね?とお父さんに訊かれたら、おいしいと思います、としか答えようがない。サッポロ一番、チャルメラ、出前一丁なら一も二もなくサッポロ一番を選ぶが、ポテトチップスやコーンスナック系の菓子は、強いて言えば甘くしたものより塩味、とはいえトーハトのキャラメルコーンみたいな例外もある。あれはうまい。ピーナッツは単独では単調な味だが柿の種ミックスなど実に旨い。柿ピーとチーズが、これまたよく合うのだ。筆者は酒につまみは要らない口だが、つまみがあると酒より食になってしまうからだった。
要するに食べれば何でも美味しくいただけるのだ。オーザックはどういう製法か、ポテトチップスが発泡したように仕上がっており、スライスしたポテトに切れ目でも入れて揚げてあるのかもしれない。細かく油脂が染み込んでいるようで表面はサクサクしているが芯は他のポテトチップスよりしっとりしている。基本は塩味で、スパイスはほとんど含まないようだ。といっても、オーザックについて真剣に考えたことなどこれが初めてなので、わからない。これが初めて食べたオーザックではないと思うが、以前食べた時は何味だったかなど憶えていないのだ。憶えているのはオーザックのおもしろい食感で、膨れた煎餅みたいに(もっと薄いが)断面がぽっこりしている。自分のために菓子を買うような男になったのはつい最近のことだし、娘たちや妻へ菓子を買っていた時もオーザックを選んだ記憶はない。もっと昔、両親から菓子を与えられたり駄菓子屋で工面していたような子供時代にはまだオーザックは存在していなかった。一年365日として50年生きれば18250日になるが、そのうちのどこかで食べたことがあるはずなのだ。ついでに計算してみたら、人が生誕10000日を迎えるのは28歳の誕生日のちょっと手前くらいでしかない。82歳まで生きても30000日には少し足りない。話題が逸れた。
で、このオーザック「松茸の香り」だが、袋を開けたとたんにムッと松茸の香りが漂う。看板に偽りなしでさすがだ。わが家など六畳相当のワンルームだから部屋中松茸の香りが漂った。袋のヴィジュアル・デザインも秋仕様の缶ビールみたいでなかなか良い、と考えるとこれは秋の新(期間限定?)商品なのではないかと思い至った。賞味期限は2月、逆算するとまだ秋の早いうちだろう。
松茸の香りは確かに大したものだった。だがそれがポテトチップスと合うかというと微妙で、キノコもジャガイモもどちらかといえば土臭い風味の食品だと思う(キノコは土から生えるばかりではないが)。相殺とまではいかないが、香りだけでなく咀嚼してみると、ややくどい味わいになっているのだ。
秋のうちは出回っているのを見かけず、もう冬に入る時期に特売品になっているというのも「松茸の香り」いまいちだったか、と想像させられる。案外また来年の秋も売り出されるのかもしれないが。今日その店を見てきたら、オーザックは4種類くらい並んでいたが「松茸の香り」はなかった。やっぱり季節限定だったか。パッと見だが、オーザックは袋のヴィジュアルは悪くないが、ヴィジュアルも各種のネーミングも、コイケヤのポテトチップスみたいに味を具体的に喚起させるわかりやすさが欠けている。逆にいえば「しお味」「のりしお」「コンソメ」「ガーリック」を使われてしまったらコイケヤと同じようにはできない、というローリング・ストーンズ的工夫が裏目に出ているのかもしれない。
というわけで、憶えておいででしたらコンビニやスーパーのスナック菓子売り場でオーザックの盛衰を見ると、ポテトチップスにもより親しみが湧き、ポテトチップスに生まれなくて良かったわぁともののあはれを感じたりするかもしれない。テキトーな締めくくりですいません。今回のテーマは「内容がないのに長い」作文の実例でした。ジャン。