Wapassou-"Wapassou"(France,1974/Full Album)
https://www.youtube.com/watch?v=7qGKLJ9PzoY&feature=youtube_gdata_player
Bonus-Tracks/a)Femmes-Fleurs/b)Borgia
Face A-1.Melopee/2.Rien/3.Musillusion(Wapassou)
Face B-1.Chatiment/2.Trip
Freddy Brua-Orgue,Piano Electrique,Piano,Synthetiseur Eminent
Karin Nickerl-Guitare,Chant
Jacques Lichti-Violon
Fernand Landmann-Equipe ment Acoustique
avec:
Genevieve Moerlan-Flute
Jean-Jacques Bacquet-Clarinette
Christian Laurent-Guitare Electrique et Sitar
Jean-Pierre Schaal-Basse
Jean-Michel Biger-Batterie
ワパスーは1974年から1986年の間に六枚のアルバムを発表したフランスのグループだが、ロックバンドと言っていいものか。キーボードのフレディ・ブレアがリーダーで全曲を作曲し、カラン・ニッケル(ギター)とジャック・リシュティ(ヴァイオリン)が正式メンバーだが、この編成で79年までに四枚のアルバムを制作している。フランスでも日本でも何度も再発売されているのはこの初期四枚で、ドラムスと女性ヴォーカルが加入した80年の"Genuine"はポップ作、ギタリスト二名とヴォーカリストを迎えカランはベースに回った86年の"Orchestra 2001"は平凡なプログレッシヴ・ロックと評判は芳しくなく、メンバー自身にも再発売の意志はなさそうだ。元々自主制作盤だった第一作は日本のインディーズからの再発盤、第二作~第四作はフランスのインディーズ・レーベルのクリプト盤が80年代末にも新宿ディスク・ユニオンのプログレ・フロアでは中古の初回プレスでバーゲン・コーナーで売られていた不人気バンドだった。
ワパスーはまずジャケットがいい。このジャケットなのにバーゲン・コーナーなのは、よほど中身が伴っていないのだろうと思うと捨てる神あらば拾う神の気分にさせられる。そしたら高田馬場のタイム・レコードでディスク・ユニオンのさらに半額で売られていた第四作" Ludwig"発見、このアルバムはジャケット裏面にメンバー三人(Claviers,Guitares,Violon)と専属スタッフ二名(Son,Light-Show)が載っていたが、具体的な音楽性はまるで予想せず、自宅でターンテーブルに乗せる直前にタイトル曲がA面20分、B面15分あるんだな、アルバム終盤はエピローグ的な小品が二曲か、ジーバーベルグの映画『ルートヴィッヒ二世のためのレクイエム』は観ているがヴィスコンティの『ルートヴィッヒ・神々の黄昏』は観てないなあ。ルートヴィッヒ二世というドイツ・バイエルンの奇人王が記憶されるのはワグナーとの関係によってだが、アルバム収録曲名にもある1886年はオーストリアに敗戦し国家財政も破綻、国宝芸術家として求められるがまま経済支援してきたワグナーにも見切りをつけられ、精神疾患の明らかな悪化が進み、謎の変死に至る記念すべき年で、1986年にはルートヴィッヒ二世没落百周年のシンポジウムが盛んに催されていた。…と、そんなことはどうでもいいが、ワパスーの『ルートヴィッヒ二世』にはたまげました。サウンド・エンジニア(Son。ちなみにドイツ語ではTon)がメンバー扱いされているからしかとは言えないが、主旋律を奏でているシンセサイザー?ヴァイオリン?どちらにしろこんな音色は聴いたことがない。ジャケット裏の写真を見るとギタリストは女性だが、流麗な演奏とは言い難い。ギタリストと同姓の女性がときどきスキャットで入るが、これも垢抜けない。実はフランスはファッションや映画(これも本当は怪しいものだが)のイメージと違って、ことロックを見ればイモくさいのだ。それを言えば美術も文学も古典音楽もどこかフランス産はイモくさい。イモくさい限りにおいてワパスーのフレンチ・ロックたる属性は明らかたる感じだ。
デビュー・アルバムは完全なバンド自身の自主制作になり、CDではアルバムに先立つシングルAB面のボーナス・トラックから始まる。ワパスーは正式メンバーだけではバンドの体をなさないが、まだこの時期にはベースとドラムス、フルートやクラリネット、シタールを必要とする音楽的発想に止まっていた。ゲスト参加ミュージシャンの貢献がなければ成り立たなかったアルバム、と言ってよい。
76年にワパスーは新興インディーズのクリプトと契約、この『ミサ・ニ短調』はアルバム全篇で一曲という大胆な試みとなり78年の『サランボー』、79年の『ルートヴィッヒ二世』まで続くクリプト・レーベルからの三部作の幕開けとなる。密度からしてファースト・アルバムとは格段に緊密で、全体は構成面では緩い組曲形式をとっているがどの楽想も充実している。アルバムの主題楽想は自主制作盤で初演していた"Musillusion(Wapassou)"の再演なのだが、専任女性ヴォーカリストをゲストに迎えてめりはりのついた仕上がりになり、なんといっても散漫だった前作からもっともオリジナリティに富んだ曲をピックアップし、明確な主題楽想のある組曲形式で統一感と広がりを同時に達成した。この手法の成功で次作『サランボー』、その次の『ルートヴィッヒ二世』はさらに素晴らしいアルバムになるのだ。
Wapassou-"Messe en Re Mineur"(France,1976/Full Album)
https://www.youtube.com/watch?v=Fd6_p6mB1Po&feature=youtube_gdata_player
Face A-Messe en Re Mineur/Parte 1.
Face B-Messe en Re Mineur/Parte 2.
Freddy Brua-Orgue,Piano Electrique,Piano,Synthetiseur Eminent
Karin Nickerl-Guitare,chant
Jacques Lichti-Violon
Eurydice-Vocaux
Fernand Landmann-son
https://www.youtube.com/watch?v=7qGKLJ9PzoY&feature=youtube_gdata_player
Bonus-Tracks/a)Femmes-Fleurs/b)Borgia
Face A-1.Melopee/2.Rien/3.Musillusion(Wapassou)
Face B-1.Chatiment/2.Trip
Freddy Brua-Orgue,Piano Electrique,Piano,Synthetiseur Eminent
Karin Nickerl-Guitare,Chant
Jacques Lichti-Violon
Fernand Landmann-Equipe ment Acoustique
avec:
Genevieve Moerlan-Flute
Jean-Jacques Bacquet-Clarinette
Christian Laurent-Guitare Electrique et Sitar
Jean-Pierre Schaal-Basse
Jean-Michel Biger-Batterie
ワパスーは1974年から1986年の間に六枚のアルバムを発表したフランスのグループだが、ロックバンドと言っていいものか。キーボードのフレディ・ブレアがリーダーで全曲を作曲し、カラン・ニッケル(ギター)とジャック・リシュティ(ヴァイオリン)が正式メンバーだが、この編成で79年までに四枚のアルバムを制作している。フランスでも日本でも何度も再発売されているのはこの初期四枚で、ドラムスと女性ヴォーカルが加入した80年の"Genuine"はポップ作、ギタリスト二名とヴォーカリストを迎えカランはベースに回った86年の"Orchestra 2001"は平凡なプログレッシヴ・ロックと評判は芳しくなく、メンバー自身にも再発売の意志はなさそうだ。元々自主制作盤だった第一作は日本のインディーズからの再発盤、第二作~第四作はフランスのインディーズ・レーベルのクリプト盤が80年代末にも新宿ディスク・ユニオンのプログレ・フロアでは中古の初回プレスでバーゲン・コーナーで売られていた不人気バンドだった。
ワパスーはまずジャケットがいい。このジャケットなのにバーゲン・コーナーなのは、よほど中身が伴っていないのだろうと思うと捨てる神あらば拾う神の気分にさせられる。そしたら高田馬場のタイム・レコードでディスク・ユニオンのさらに半額で売られていた第四作" Ludwig"発見、このアルバムはジャケット裏面にメンバー三人(Claviers,Guitares,Violon)と専属スタッフ二名(Son,Light-Show)が載っていたが、具体的な音楽性はまるで予想せず、自宅でターンテーブルに乗せる直前にタイトル曲がA面20分、B面15分あるんだな、アルバム終盤はエピローグ的な小品が二曲か、ジーバーベルグの映画『ルートヴィッヒ二世のためのレクイエム』は観ているがヴィスコンティの『ルートヴィッヒ・神々の黄昏』は観てないなあ。ルートヴィッヒ二世というドイツ・バイエルンの奇人王が記憶されるのはワグナーとの関係によってだが、アルバム収録曲名にもある1886年はオーストリアに敗戦し国家財政も破綻、国宝芸術家として求められるがまま経済支援してきたワグナーにも見切りをつけられ、精神疾患の明らかな悪化が進み、謎の変死に至る記念すべき年で、1986年にはルートヴィッヒ二世没落百周年のシンポジウムが盛んに催されていた。…と、そんなことはどうでもいいが、ワパスーの『ルートヴィッヒ二世』にはたまげました。サウンド・エンジニア(Son。ちなみにドイツ語ではTon)がメンバー扱いされているからしかとは言えないが、主旋律を奏でているシンセサイザー?ヴァイオリン?どちらにしろこんな音色は聴いたことがない。ジャケット裏の写真を見るとギタリストは女性だが、流麗な演奏とは言い難い。ギタリストと同姓の女性がときどきスキャットで入るが、これも垢抜けない。実はフランスはファッションや映画(これも本当は怪しいものだが)のイメージと違って、ことロックを見ればイモくさいのだ。それを言えば美術も文学も古典音楽もどこかフランス産はイモくさい。イモくさい限りにおいてワパスーのフレンチ・ロックたる属性は明らかたる感じだ。
デビュー・アルバムは完全なバンド自身の自主制作になり、CDではアルバムに先立つシングルAB面のボーナス・トラックから始まる。ワパスーは正式メンバーだけではバンドの体をなさないが、まだこの時期にはベースとドラムス、フルートやクラリネット、シタールを必要とする音楽的発想に止まっていた。ゲスト参加ミュージシャンの貢献がなければ成り立たなかったアルバム、と言ってよい。
76年にワパスーは新興インディーズのクリプトと契約、この『ミサ・ニ短調』はアルバム全篇で一曲という大胆な試みとなり78年の『サランボー』、79年の『ルートヴィッヒ二世』まで続くクリプト・レーベルからの三部作の幕開けとなる。密度からしてファースト・アルバムとは格段に緊密で、全体は構成面では緩い組曲形式をとっているがどの楽想も充実している。アルバムの主題楽想は自主制作盤で初演していた"Musillusion(Wapassou)"の再演なのだが、専任女性ヴォーカリストをゲストに迎えてめりはりのついた仕上がりになり、なんといっても散漫だった前作からもっともオリジナリティに富んだ曲をピックアップし、明確な主題楽想のある組曲形式で統一感と広がりを同時に達成した。この手法の成功で次作『サランボー』、その次の『ルートヴィッヒ二世』はさらに素晴らしいアルバムになるのだ。
Wapassou-"Messe en Re Mineur"(France,1976/Full Album)
https://www.youtube.com/watch?v=Fd6_p6mB1Po&feature=youtube_gdata_player
Face A-Messe en Re Mineur/Parte 1.
Face B-Messe en Re Mineur/Parte 2.
Freddy Brua-Orgue,Piano Electrique,Piano,Synthetiseur Eminent
Karin Nickerl-Guitare,chant
Jacques Lichti-Violon
Eurydice-Vocaux
Fernand Landmann-son