Ash Ra Tempel "Join Inn" West Germany,Recorded : December,1972(Full Album)
https://www.youtube.com/watch?v=-6_qZPjLyJA&feature=youtube_gdata_player
(A)Freak ' n ' Roll
(B)Jenseits
Manuel Gottsching : Guitar
Hartmut Enke : Bass
Klaus Schulze : Drums,EMS Synthia
Rosi : Voice(on "Jenseits")
アシュ・ラ・テンペルのアルバムはほとんどが散漫なもので、『シュヴィングンゲン』や『セヴン・アップ』のまとまりの良さはおおむねヴォーカリストの起用により、ギタリストのマニュエル・ゴッチングが不動のメンバーであってもアルバムのコンセプトはレーベル側に主導権があったと思われる。そこがカンやファウスト、アモン・デュール、タンジェリン・ドリーム、グル・グルらバンド主導の強力な意志で活動していた少し先輩のバンドらに水を開けられている点でもあるし、デビュー・アルバム制作時ゴッチングは18歳だったが前述のバンドらは平均年齢30歳前後の、ロック転向以前にジャズや現代音楽畑で活動実績があったか、筋金入りのヒッピー集団だった。
71年と72年でアシュ・ラ・テンペルには四作のアルバムがあり、セッション作品では七作に駆り出されているが、『ジョイン・イン』はコズミック・ジョーカーズの大作『タロット』でファースト・アルバムの三人が顔をあわせたことからついでに録音された。A面にギターをフィーチャーしたアップ・テンポのサイケ・インスト、B面は瞑想曲で今回はゴッチングのガールフレンドで当時のアンダーグラウンド・シーンのアイドルだったロジがナレーションを勤めている。早い話『ジョイン・イン』はファースト・アルバムの同一メンバー、同一曲による改作でこんな例はインディーズ盤からメジャー盤への再録や自国語盤から海外盤への改作以外に滅多に聞かないが、ベーシストのエンケはドラッグによる廃疾化が進み、このアルバムが引退作品になった。90年代末以降アシュ・ラ・テンペル名義のライヴが散発的に行われても、ゴッチング以外唯一のデビュー作~第四作までの不動のメンバーだったエンケは参加していない。
曲は同じ、メンバーも同じでもデビュー作と『ジョイン・イン』の印象はかなり異なる。単純に言ってハードなA面はバッド・トリップ、瞑想的B面はトリップの法悦境を描いたものだと思うが、デビュー作では音像ごとどっぷり溺れているのに対し『ジョイン・イン』はクリーンな音像で、演奏も突き放したようなものになっている。バンド自身がこの路線はこれが最後、という意志があったのだろう。確かにこの作品が録音された72年12月には、アルバム発売の頃にはこの音楽はかなり時流から遅れたものだと予測されただろう。
アシュ・ラ・テンペル第五作『Starring Rosi』73は前述のロジ嬢のウィスパー・ヴォイスをフィーチャーしたポップ・サイケ作品、次の『Inventions For Electric Guitar』75はギターのオーヴァーダビングのみによるアルバムで、現在CDではマニュエル・ゴッチングの個人名になっている。『ジョイン・イン』までがアシュ・ラ・テンペルと見るべきだろう。だが『インヴェンションズ~』はその後のゴッチングの方向性を切り開くアルバムになる。次にご紹介するのは93年に発掘CD化された同名フランス映画(日本未公開)のサウンドトラックをタイトル曲に、同時期の未発表曲を加えたものだが、『インヴェンションズ~』期のライヴのスタイルと『ジョイン・イン』までのメタリックなギター・ワークからの完全な変化がわかって面白い。白眉はアルバム巻頭のタイトル曲でデュオ編成のライヴ、75年8月7日収録で、これがそのままサントラに使われた。ニコが主演、フィリップ・ガレル監督作品で、ニコのサード・アルバムで名盤(ニコのアルバムは全部名盤だが)『デザート・ショア』のジャケットにも同映画からのスチール写真が使われている。タイトル曲以外は『インヴェンションズ~』と次作の橋渡しとなる習作だろう。
Ash Ra Tempel "Le Berceau De Cristal" 1993(Full Album/Rec.1975)
https://www.youtube.com/watch?v=apUlkHYzfmw&feature=youtube_gdata_player
Manuel Gottsching : Guitar,Electronics
Lutz Urbrich : Guitar,Keyboards,Electronics
そしてゴッチングがロルフ・ウルリッヒ・カイザーの傘下から離れ、フランスのレーベルから発表したのが次作『ニュー・エイジ・オブ・アース』だった。これはアシュ・ラ・テンペル名義の最終作でもあれば、アシュラ名義の国際デビュー作にもなった。翌77年に、マイク・オールドフィールドやタンジェリン・ドリームを成功させたイギリスのヴァージン・レーベルからバンド名とジャケットを改めて再発売、新しいテクノ・ロックのバンドとして国際的な認知を得てからは、かつてのサイケとは一見まったく無関係なイメージになった。ニュー・エイジ・ミュージック、アンビエント等はこの時期のタンジェリンやアシュラの音楽に由来するジャンル名だが、元々はズブズブのサイケ上がりのミュージシャンたちが始めたものだと忘れないでおきたい。『ニュー・エイジ~』は画期的アルバムだしアシュ・ラ・テンペルは出来損ないのサイケ!バンドだったが、それも愛しいものなのだ。
Ash Ra Tempel "New Age of Earth" 1976
(A)1.Sunrain
https://www.youtube.com/watch?v=2T_hHQ64B54&feature=youtube_gdata_player
2.Ocean of Tenderness
https://www.youtube.com/watch?v=qSLs8KT9kGM&feature=youtube_gdata_player
3.Deep Distance
https://www.youtube.com/watch?v=oCSqbVbSe8o&feature=youtube_gdata_player
(B)Nightdust
https://www.youtube.com/watch?v=GaGq87P8Ois&feature=youtube_gdata_player
https://www.youtube.com/watch?v=-6_qZPjLyJA&feature=youtube_gdata_player
(A)Freak ' n ' Roll
(B)Jenseits
Manuel Gottsching : Guitar
Hartmut Enke : Bass
Klaus Schulze : Drums,EMS Synthia
Rosi : Voice(on "Jenseits")
アシュ・ラ・テンペルのアルバムはほとんどが散漫なもので、『シュヴィングンゲン』や『セヴン・アップ』のまとまりの良さはおおむねヴォーカリストの起用により、ギタリストのマニュエル・ゴッチングが不動のメンバーであってもアルバムのコンセプトはレーベル側に主導権があったと思われる。そこがカンやファウスト、アモン・デュール、タンジェリン・ドリーム、グル・グルらバンド主導の強力な意志で活動していた少し先輩のバンドらに水を開けられている点でもあるし、デビュー・アルバム制作時ゴッチングは18歳だったが前述のバンドらは平均年齢30歳前後の、ロック転向以前にジャズや現代音楽畑で活動実績があったか、筋金入りのヒッピー集団だった。
71年と72年でアシュ・ラ・テンペルには四作のアルバムがあり、セッション作品では七作に駆り出されているが、『ジョイン・イン』はコズミック・ジョーカーズの大作『タロット』でファースト・アルバムの三人が顔をあわせたことからついでに録音された。A面にギターをフィーチャーしたアップ・テンポのサイケ・インスト、B面は瞑想曲で今回はゴッチングのガールフレンドで当時のアンダーグラウンド・シーンのアイドルだったロジがナレーションを勤めている。早い話『ジョイン・イン』はファースト・アルバムの同一メンバー、同一曲による改作でこんな例はインディーズ盤からメジャー盤への再録や自国語盤から海外盤への改作以外に滅多に聞かないが、ベーシストのエンケはドラッグによる廃疾化が進み、このアルバムが引退作品になった。90年代末以降アシュ・ラ・テンペル名義のライヴが散発的に行われても、ゴッチング以外唯一のデビュー作~第四作までの不動のメンバーだったエンケは参加していない。
曲は同じ、メンバーも同じでもデビュー作と『ジョイン・イン』の印象はかなり異なる。単純に言ってハードなA面はバッド・トリップ、瞑想的B面はトリップの法悦境を描いたものだと思うが、デビュー作では音像ごとどっぷり溺れているのに対し『ジョイン・イン』はクリーンな音像で、演奏も突き放したようなものになっている。バンド自身がこの路線はこれが最後、という意志があったのだろう。確かにこの作品が録音された72年12月には、アルバム発売の頃にはこの音楽はかなり時流から遅れたものだと予測されただろう。
アシュ・ラ・テンペル第五作『Starring Rosi』73は前述のロジ嬢のウィスパー・ヴォイスをフィーチャーしたポップ・サイケ作品、次の『Inventions For Electric Guitar』75はギターのオーヴァーダビングのみによるアルバムで、現在CDではマニュエル・ゴッチングの個人名になっている。『ジョイン・イン』までがアシュ・ラ・テンペルと見るべきだろう。だが『インヴェンションズ~』はその後のゴッチングの方向性を切り開くアルバムになる。次にご紹介するのは93年に発掘CD化された同名フランス映画(日本未公開)のサウンドトラックをタイトル曲に、同時期の未発表曲を加えたものだが、『インヴェンションズ~』期のライヴのスタイルと『ジョイン・イン』までのメタリックなギター・ワークからの完全な変化がわかって面白い。白眉はアルバム巻頭のタイトル曲でデュオ編成のライヴ、75年8月7日収録で、これがそのままサントラに使われた。ニコが主演、フィリップ・ガレル監督作品で、ニコのサード・アルバムで名盤(ニコのアルバムは全部名盤だが)『デザート・ショア』のジャケットにも同映画からのスチール写真が使われている。タイトル曲以外は『インヴェンションズ~』と次作の橋渡しとなる習作だろう。
Ash Ra Tempel "Le Berceau De Cristal" 1993(Full Album/Rec.1975)
https://www.youtube.com/watch?v=apUlkHYzfmw&feature=youtube_gdata_player
Manuel Gottsching : Guitar,Electronics
Lutz Urbrich : Guitar,Keyboards,Electronics
そしてゴッチングがロルフ・ウルリッヒ・カイザーの傘下から離れ、フランスのレーベルから発表したのが次作『ニュー・エイジ・オブ・アース』だった。これはアシュ・ラ・テンペル名義の最終作でもあれば、アシュラ名義の国際デビュー作にもなった。翌77年に、マイク・オールドフィールドやタンジェリン・ドリームを成功させたイギリスのヴァージン・レーベルからバンド名とジャケットを改めて再発売、新しいテクノ・ロックのバンドとして国際的な認知を得てからは、かつてのサイケとは一見まったく無関係なイメージになった。ニュー・エイジ・ミュージック、アンビエント等はこの時期のタンジェリンやアシュラの音楽に由来するジャンル名だが、元々はズブズブのサイケ上がりのミュージシャンたちが始めたものだと忘れないでおきたい。『ニュー・エイジ~』は画期的アルバムだしアシュ・ラ・テンペルは出来損ないのサイケ!バンドだったが、それも愛しいものなのだ。
Ash Ra Tempel "New Age of Earth" 1976
(A)1.Sunrain
https://www.youtube.com/watch?v=2T_hHQ64B54&feature=youtube_gdata_player
2.Ocean of Tenderness
https://www.youtube.com/watch?v=qSLs8KT9kGM&feature=youtube_gdata_player
3.Deep Distance
https://www.youtube.com/watch?v=oCSqbVbSe8o&feature=youtube_gdata_player
(B)Nightdust
https://www.youtube.com/watch?v=GaGq87P8Ois&feature=youtube_gdata_player