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Ash Ra Tempel : "Schwingungen" ,"Seven Up"

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Ash Ra Tempel "Schwingungen" (1972,West Germany / Full Album)
https://www.youtube.com/watch?v=lVGN9_eJ8WM&feature=youtube_gdata_player
(A)Light And Darkness-a)Light : Look At the Sun / b)Darkness : Flowers Must Die
(B)Schwingungen-a)Suche / b)Liebe
Recorded : February 1972
Composed & Lyrics : Gottsching
Manuel Gottsching-Guitar,Organ,Electronics,Voice
Hartmut Enke-Bass,Guitar,Electronics
Wolfgang Mulker-Drums,Vibes
Featuring : John L-Vocals,Jews Harp,Percussion
Matthias Wehler-Alto Sax
Uli Pop-Bongos
アシュ・ラ・テンペルのセカンド・アルバム『シュヴィングンゲン(振動)』はドラマーが交替し、ゲストにヴォーカル、サックス、パーカッションの三人を迎えた六人編成で、このバンドではもっとも聴きやすいアルバムになった。とかくドイツのバンドといえばヴォーカルが問題になる。米英以外でロックが盛んだったのはドイツ、イタリア、フランスが三強で、日本もそれに迫っていた。イタリアとフランスは自国語への愛着が強く、独自の歌曲様式の伝統もあったから米英ロックの訳詞ヴァージョンから自国語によるオリジナル・レパートリーに進む。日本では訳詞ロックの時代を経て英語詞オリジナルと日本語詞オリジナルに分化していた時代があり、ドイツでは英語オリジナルか、さもなければインストルメンタルというのが大勢で、ドイツ語詞のグループは少ない。ヘルダーリーンやワレンシュタイン、ノヴァーリスらバンド名もロマン派文学に由来するドイツ語ロックもなかなか歌が良いのだが、国際進出は度外視しても国内受けも良くないのだろう。イタリアやフランスでは自国語で歌うロックバンドは支持されるが、ドイツではドイツ語ロックは主流にならなかった。
『シュヴィングンゲン』は英語詞で、ヴォーカルやヴォーカル曲の曲調はずばり先輩バンドのカンを思わせる。具体的には日本人ヴォーカリストのダモ鈴木在籍時代のカンで、B面曲は例によってピンク・フロイドの『神秘』のパクりだからオリジナリティはあまりないアルバムだが、出来は良く心地良く聴けて晩酌や読書のお伴にしっくりくる。トリップ・ミュージックらしい節度がデビュー作では乱調気味だったが、この第二作ではいい塩梅になっている。

アシュ・ラ・テンペルは90年代のドラッグ・カルチャー再評価までは評価は不安定で、ユーロ・ロック=プログレッシヴ・ロックとして見ればイギリスの代表的なプログレッシヴ・ロックとはほとんど音楽的な接点がなく、クラシックやジャズ、フォークの要素もないからドイツのロックが特に好き、という人意外あまり人気はなかった。町田のプログレ専門ショップ(アナログ盤限定)には店長氏からいろいろ教わったが、日本のユーロ・ロックの人気はシンフォニック系(クリムゾンやイエス、ジェネシスの系譜)が主流で、アシュ・ラ・テンペルなどは投げやりに「『セヴン・アップ』くらいじゃないの?」とそんなのよりハットフィールド&ザ・ノースを勧められた。あのお店は一枚目当てのアルバム買いに行くと二時間くらいかけて五枚くらいのアルバム片面ずつ聴かせてくれるという、勉強になるお店だった。そこで今思うと、アシュ・ラ・テンペルは実は町田のプログレ専門店では不得意なのも仕方なく、米英ロックでもアシッド・ロックとしては接点があり、連続性があったということが見過ごされていた。ドイツが訳詞ロックの時代から音楽的なオリジナリティを確立したのはイタリアやフランスより早く、イギリスでプログレッシヴ・ロックが定着するよりも早いサイケデリック・ロックの時期に米英の実験的なロックから出発したのがドイツのロックだった。
アシュ・ラ・テンペルの第三作『セヴン・アップ』はアメリカのLSD普及活動家ティモシー・リアリーを支援するために作られたアルバムで、リアリーはアメリカ本国でも同種のアルバムを二作作っていた。作詞はリアリーとその助手、レコーディングはセヴン・アップの瓶に詰めたLSDを全員が服用しながらヴォーカル要員6人、ミュージシャン7人がパーティー形式で録音し、後に編集されて完成した。こう書くとさぞかし焦点のボケたグダグダのアルバムになっていそうだが、見事に構成の整った作品で『シュヴィングンゲン』より明らかに前進している。ここでもB面曲はデビュー作、第二作と同じ曲を再演しているという徹底ぶりだが、アルバムごとにアレンジが異なるだけでなく、アルバムの曲想の中で違った響きを持つのは確かだ。
Timothy Leary & Ash Ra Tempel "Seven Up" (1972,West Germany / Full Album)
https://www.youtube.com/watch?v=7d9Qe_Cpscs&feature=youtube_gdata_player
(A)Space-a)Downtown / b)Power Drive / c)Right Hand Lover /d)Velvet Genesis
(B)Time-a)Timeship / b)Neuron / She
Recorded : August & October 1972
Composed : Gottsching
Lyrics : Leary / Barritt
Timothy Leary,Brian Barritt,Liz Elliot,Bettina Hohls,Portia Nkomo,Michael Duwe-Voices & Vocals
Manuel Gottsching-Guitar,Electronics
Hartmut Enke-Bass,Guitar,Electronics
Steve Shroeder-Organ,Electronics
Dietmar Burmeister,Tommy Engel-Drums
Klaus D. Mueller-Tambourine
Dieter Dierks-Synthesizer,Engineering

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