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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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偽ムーミン谷のレストラン(4)

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ムーミンパパは給仕からメニューの仕組みを聞き出すと、注文が決るまで下がってよろしいと紳士的な態度でしたので、ムーミンママも安心して凶器から手を離しました。ごめんなさいあなた、私難しくてちゃんと聞いてなかったの。
ぼくも、とムーミン。やれやれママはともかく中学受験も控えて、それでは困るぞ。ムーミンはやはり偽ムーミンの脅しから入れ替わり、大半の授業は習えずに進級したので、釈明できないことでした。
要するにここのメニューはロール…ロールシャッハ・テスト方式なのだ。ムーミン谷の住人は、見栄は高いが読み書きはまるでいかんからな。テストって何?この図形が何に見えるか、だよ。たとえば私には豚の骨盤に見えるが、それではあんまりなのでスペアリブのフルコースにした。
ぼくには蝶々に見えるよ。私は潰れたヒキガエルに見えますけど。それは困ったな、とムーミンパパは給仕を呼び止め、今流れているのはなんていう歌かね?少々お待ちください。パパが時間稼ぎするからその間に考えるのだぞ。
給仕はLPのレコード・ジャケットを持って戻ってきました。解説書を取り出し、先ほどお客さまがお尋ねになった曲はこれです。
*
「ここからぬけだす道があるはずだ」と/ぺてん師がドロボウにいった/「あまりにもややこしく息つくひまもない/経営者たちはおれのブドー酒をのみ、/農民たちはおれの土地をたがやす/そいつらのだれひとりとして/そのことの価値をしらない」

「そう興奮しなくてもいいさ」/とドロボウはいたわって、いった/「おれたちの仲間でも多くのやつが生きることは/ペテンにすぎないとおもっているさ/だがあんたとおれはそんなことは卒業したし、/これはおれたちの運命じゃない/ウソをしゃべるのはよそう夜がふけてきた」

見張塔からずっと王子たちが見張っていた/すると女たちはみんな出たり/はだしの召使いたちもそうしていた

とおくのほうではヤマネコがうなった/ウマにのった男がふたり近づき/風がほえはじめた
*
私は外国語は読めんが、とムーミンパパ、どうもこれは違う歌詞のようだぞ。翻訳でございますから。翻訳?外国語を別の外国語にしたものでございます。臆病者をチキンと言うようなものかね。まあそんなところでございます。
私チキンソテーにします、とムーミンママ。ぼくも、とムーミン。

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