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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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アル中病棟入院記128

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・4月2日(金)雨のち曇り
(前回より続く)
「夕食後の出来事を先に書いたが、午後などは(また昨日みたいなことはないだろうな、昨日の今日だよ、だといいですねと喫煙室でFさんやMさん、煙草は喫わないのに「情報弱者になりたくない」ので入ってくるSmくんと話しながら―ただし女性の前ではこの話題は遠慮した、不安を与えたくないからだ。そして悪い方に予感は的中したが…)プログラムもなく穏やかで、昼寝しに部屋にいるか、デイルームではテレビをBGMに新聞を読んだり、KくんやKdさん、お照さんといつもの雑談をしてひまつぶししていた。Tkさんもこれまでは食事や行事、プログラム以外は散歩仲間に加わる程度で部屋に戻っていることが多かったが、今日は昼食後にラジオ体操と掃除の時間が済んでも自分の席に着いて雑談仲間に加わっていた」

「それで彼女が入院の初期に食事までずっと個室(隔離室ではなく。隔離室は施錠され、患者が鎮静状態に戻るまで外部刺激を遮断する目的がある)にこもっていた理由を教えられた。それは彼女がアルコール科入院組ではなく一般精神科だろうか、と思っていたのと同じ理由だった。Tkさんは抗酒剤が飲めないのだ。抗酒剤はシアナマイドとロックビンの二種類があるが、どちらも彼女ははしかやおたふく状のアレルギー反応を起こし、伝染病の可能性もあるから集団感染予防のために個室に拘足され、検査結果で感染症ではないと判明した。抗酒剤は強制的にアルコールを代謝する機能を低下させる、つまり下戸の体質にする薬物だが、アルコール依存症の治療には薬学的には唯一の有効手段になる。入院中も朝一回飲み、退院後も通院しながら自宅で朝食後に飲むのだが、Tkさんの場合は抗酒剤でアレルギー反応を起こすから服用できないのだ」

「するとAtさんがニコニコしながら書きかけの酒歴用紙を持ったUzさんを連れてきた。Uzさんが図書室で作文に苦労しているのを見て佐伯さん、佐伯さんと、手伝ってもらうのを薦めてきたのだ。Atさんは満足のいく酒歴ができて嬉しかったのだろう。だって私恥かしいし…。ご自分で書くのが一番ですよ、ぼくは代筆したのではなくAtさんのメモとお話からご本人の書きたかったようにまとめただけですから。才能ってあるのね、とKdさん。こそばゆいが、これもAtさんなりの感謝の表現かもしれない」
(続く)

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