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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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祝?アル中病棟入院記100

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・3月29日(月)曇りときどきにわか雨
「朝の会が9時40分、Kdさんの酒歴発表が10時。短い間にトイレや一服を済ませるから慌ただしい。Kdさんの酒歴発表は簡潔だった。足腰を悪くし、肝硬変まできている。私の病気を知った父は涙を流して、と入院を決意したクライマックスにさしかかると涙声になっていた。Kdさんの実家は借地収入だけで一族が暮らせる大地主のお嬢様育ちで、本人の酒歴発表では過多の飲酒に陥った原因は触れていなかったが裕福すぎて暇が多く、その分生活にも張りがない環境からフラストレーションが生じ、依存症に至る飲酒に発展したのは普段のKdさんの話から想像がつく。どれほど大地主かというと某市何々町等々、の何々町全域がKdさんの本家・分家の地所だから昔なら士族のお嬢様だろう。Smくんが夫婦で住んでいるマンションもKdさんの実家の地所らしいくらいだ。彼女は初老だし、理解あり協力的で愛されている家族がいるし、病状も引き返せるぎりぎりの線だから入院の成果は期待できるだろう」

「正確には肝硬変まで進めば肝機能の回復は望めないが、飲酒さえ止めればアルコール依存症による最終段階への進行は防止できる。肝硬変から進行したら、もう癌しかない。癌まで進めば断酒の如何に拘らずステージ1から4まで遅かれ早かれ進行していく。抗癌剤は延命処置にしかならない。女性の肝機能は男性の三分の一程度という性差もあるから、肝機能障害から肝硬変、さらに肝臓癌への進行も容易に起こる。致命的なことに肝臓の障害は自然な新陳代謝の域を越えると可遡的自己修復能力がない。つまり薬物の服用によっても抑制はできるが回復はしない」

「プロセスは異なるがこれは腎臓にもいえて、胃腸等の消化器系の臓器の機能回復はなんとかなる。また消化器系の役割は栄養摂取にとどまるから補助手段も行い得る。だが肝臓や腎臓の役割は様々な有毒成分の代謝にあり、これは飲食物や循環器系臓器から自然に生成される生命活動の副産物だから、肝臓や腎臓の機能不全は有毒物質を人体に蔓延させ様々な障害を引き起こす。身体末端の痺れや壊疽などもそう。免疫力は低下し、全身の機能が次々と害なわれる。それは内科的機能に限らず外科的機能にまで及ぶ。肝臓また腎臓の機能を維持できない限りそうやって人は死に向っていく…これが入院学習で学んだことだ」(続く)
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