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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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アル中病棟入院記78

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・3月26日(金)曇り、にわか雨、にわか晴れ、曇り
「ついに病棟全体消毒にかこつけた遠足の日がやってきた。こういうのは初めてなので他の病院ではどうしているのかは知らないが、病棟全体を半日以上からっぽにしなければならないのだからうまい手には違いない。ただ、天候がどうあれ日程は変えられないし、全天候型の施設などそうあるものではない。毎年恒例行事だからにはそのあたりもぬかりないだろう、と病院を信用することにする」

「天気予報通り雨は上がっていたが陽射しはどんよりとした雲でさえぎられていて、予想最高気温13度まで上がるかどうか。昨晩はデイルームにも部屋にもKくんの姿が10時半すぎから見えず、デイルームの時計が消灯の11時ぎりぎり(3分進んでいるのだ)まで喫煙室で就寝前の一服して部屋に戻り、パジャマに着替えてベッドに入った。Kくん消灯直後からの看護婦の巡回迄に戻らないとまずいぞ、と心配していたら戻ってきた。本当にぎりぎり、巡回1分前。そしてよく寝た。中途覚醒やトイレ、夢も見ない。早朝6時半の起床のアナウンスも耳に入らず、ふと気づくと部屋の照明で起床時間だと知った」

「熟睡後の気持のいい寝覚めで個人ロッカーの扉の裏の鏡を見ながら電気シェーバーでひげを剃り、着替えを済ませ、洗面所で洗顔して今日の棟内消毒(燻蒸の類だろう)に備えてロッカー兼テーブル(この日記もいつもこの引き出し式ワゴンを机にして書いている)兼整理棚の上の物をぜんぶワゴン内にしまいこみ、パジャマと枕は平たく延ばした掛け布団の中に入れて薬剤がかからないようにしておき、これでいいやとデイルームに向かうと余裕の7時25分。Skさんが誰も使わないウォーキング・マシンで運動していた。どういう人かは見当がついたから避けるに越したことはないのだが(なにしろあのHAすら恐慌をきたしたほどだ)、ライター商売していた性癖か避けるべきことに好奇心が湧く。ついつい世間話の相手をしてしまう」

「こういうふうに気さくにふるまうのも手口だろう、とは見当がつく。近隣の町の変化、海老名市は、とか綾瀬市は、と話しているうちにSkさんは78年、こちらは68年に相模原市の同じ最寄り駅に住んでいたとわかり、おたがいの生年も名乗りあうことになる。昭和29年、55歳。ちょうど10歳年上だ」(続く)

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