アシュ・ラ・テンペル Ash Ra Tempel - ジン・ローズ・アット・ロイヤル・フェスティバル・ホール Gin Rose at The Royal Festival Hall (Manikin, 2000) Full Album : https://youtu.be/i88v6iSgHVU
Recorded live at The Royal Festival Hall, London, U.K. on Julian Cope's CORNUCOPEA Festival, April 2, 2000
Released by Manikin Records Manikin MRCD7049, July 2000
Composed and Performed by Manuel Gottsching and Klaus Schulze
(Tracklist)
1. Eine Pikante Variante (Gin Rose) - 69:26
[ Ash Ra Tempel ]
Manuel Gottsching - guitars, electronics
Klaus Schulze - electronics, percussion
*
(Original Manikin "Gin Rose at The Royal Festival Hall" CD Liner Cover, Booklet & CD Label)
本作についてクラウス・シュルツェの公式サイトでは特に内容に注記はしていませんが、1999年~2000年3月録音のスタジオ盤『フレンドシップ』と2000年4月2日のライヴ録音の本作はレコード番号も連番で、2000年7月に2作同時発売になりました。マニュエル・ゲッチングとクラウス・シュルツェのオリジナル・メンバー3人中二人だけのアシュ・ラ・テンペル一度きりの再結成については前回の『フレンドシップ』で詳しく触れましたからくり返しませんが、このイギリスでのただ1回だけの再結成ライヴはジュリアン・コープ主宰のオルタナティヴ・ロックのフェスティバルの目玉として招聘されたもので、コープは1995年刊の研究書『クラウトロックサンプラー』にまとめられた論考で'60年代末~'70年代のドイツの実験的ロック一派を「クラウトロック」という独自のジャンルと見なし再評価してクラウトロック再評価を定着させた学究肌のミュージシャンです。『クラウトロックサンプラー』にまとめられる前から発表されていたコープのクラウトロック批評に伴ってアシュ・ラ・テンペルやゲッチング、シュルツェの廃盤になっていたアルバムのCD化も進んでいたので、このライヴはコープへの返礼の意味あいもあれば実際アシュ・ラ・テンペルの再結成ライヴが観たい、という多くのリクエストに応えたものでした。
ライヴは約70分全1曲で、CDでは「Eine Pikante Variante」とタイトルがついていますがシュルツェの公式サイトでは「Gin Rose」に改められています。冒頭数分間エレクトロニクス・ノイズが続いたあとギターが入り、メディテーショナルな曲調で楽曲は進みますが、17分すぎからシークエンス・パターンによって曲想は俄然リズミカルになりギターの音色も多彩なテクノ・サイケが展開します。28分すぎには再びエレクトロニクスによるメディテーショナルなアダージョを挟みますが5分すぎて33分頃からはまた異なるシークエンス・パターンのリズムになりエスニックな展開からギターもヘヴィーに始まりメロウなスパニッシュ色のソロに変わっていき、このパートがもっとも長く変化に富んでいます。スパニッシュ・ギターのソロが徐々にテンポを落としていき、55分すぎからはまたヘヴィーでメディテーショナルなエレクトロニクスとギターの絡みになりますが、59分すぎからは全編でももっともアップテンポのシークエンス・パターンによってギターもエレクトロニクスも熱狂的なアンサンブルを奏でてエンディングまで持っていく。シュルツェが引き気味というのではないのですが、ゲッチングの万華鏡のような自在に音色・スタイルを変化させるギターが凄すぎて、アシュ・ラ・テンペルはやはりゲッチングのギターあっての音楽性のバンドだったんだな、と初期アシュ・ラ・テンペルの勢い任せのゲッチングのギター(まだ当時は10代末)から30年経って改めて認識を新たにするだけの名演です。『フレンドシップ』『ジン・ローズ』とも現在廃盤なのは何とももったいなく、これは両作ともゲッチング、シュルツェとも両者のキャリアの一期を画す名盤ではないでしょうか。なお表ジャケットではゲッチングは左利きにデザインされていますが、ブックレット写真で表ジャケットはデザイン上の裏焼きなのがわかります。まぎらわしいものです。
Recorded live at The Royal Festival Hall, London, U.K. on Julian Cope's CORNUCOPEA Festival, April 2, 2000
Released by Manikin Records Manikin MRCD7049, July 2000
Composed and Performed by Manuel Gottsching and Klaus Schulze
(Tracklist)
1. Eine Pikante Variante (Gin Rose) - 69:26
[ Ash Ra Tempel ]
Manuel Gottsching - guitars, electronics
Klaus Schulze - electronics, percussion
*
(Original Manikin "Gin Rose at The Royal Festival Hall" CD Liner Cover, Booklet & CD Label)
本作についてクラウス・シュルツェの公式サイトでは特に内容に注記はしていませんが、1999年~2000年3月録音のスタジオ盤『フレンドシップ』と2000年4月2日のライヴ録音の本作はレコード番号も連番で、2000年7月に2作同時発売になりました。マニュエル・ゲッチングとクラウス・シュルツェのオリジナル・メンバー3人中二人だけのアシュ・ラ・テンペル一度きりの再結成については前回の『フレンドシップ』で詳しく触れましたからくり返しませんが、このイギリスでのただ1回だけの再結成ライヴはジュリアン・コープ主宰のオルタナティヴ・ロックのフェスティバルの目玉として招聘されたもので、コープは1995年刊の研究書『クラウトロックサンプラー』にまとめられた論考で'60年代末~'70年代のドイツの実験的ロック一派を「クラウトロック」という独自のジャンルと見なし再評価してクラウトロック再評価を定着させた学究肌のミュージシャンです。『クラウトロックサンプラー』にまとめられる前から発表されていたコープのクラウトロック批評に伴ってアシュ・ラ・テンペルやゲッチング、シュルツェの廃盤になっていたアルバムのCD化も進んでいたので、このライヴはコープへの返礼の意味あいもあれば実際アシュ・ラ・テンペルの再結成ライヴが観たい、という多くのリクエストに応えたものでした。
ライヴは約70分全1曲で、CDでは「Eine Pikante Variante」とタイトルがついていますがシュルツェの公式サイトでは「Gin Rose」に改められています。冒頭数分間エレクトロニクス・ノイズが続いたあとギターが入り、メディテーショナルな曲調で楽曲は進みますが、17分すぎからシークエンス・パターンによって曲想は俄然リズミカルになりギターの音色も多彩なテクノ・サイケが展開します。28分すぎには再びエレクトロニクスによるメディテーショナルなアダージョを挟みますが5分すぎて33分頃からはまた異なるシークエンス・パターンのリズムになりエスニックな展開からギターもヘヴィーに始まりメロウなスパニッシュ色のソロに変わっていき、このパートがもっとも長く変化に富んでいます。スパニッシュ・ギターのソロが徐々にテンポを落としていき、55分すぎからはまたヘヴィーでメディテーショナルなエレクトロニクスとギターの絡みになりますが、59分すぎからは全編でももっともアップテンポのシークエンス・パターンによってギターもエレクトロニクスも熱狂的なアンサンブルを奏でてエンディングまで持っていく。シュルツェが引き気味というのではないのですが、ゲッチングの万華鏡のような自在に音色・スタイルを変化させるギターが凄すぎて、アシュ・ラ・テンペルはやはりゲッチングのギターあっての音楽性のバンドだったんだな、と初期アシュ・ラ・テンペルの勢い任せのゲッチングのギター(まだ当時は10代末)から30年経って改めて認識を新たにするだけの名演です。『フレンドシップ』『ジン・ローズ』とも現在廃盤なのは何とももったいなく、これは両作ともゲッチング、シュルツェとも両者のキャリアの一期を画す名盤ではないでしょうか。なお表ジャケットではゲッチングは左利きにデザインされていますが、ブックレット写真で表ジャケットはデザイン上の裏焼きなのがわかります。まぎらわしいものです。