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Channel: 人生は野菜スープ(または毎晩午前0時更新の男)
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ヴァーンフリート Wahnfried - ドラムスン・ボールズ Drums 'n' Balls (The Gancha Dub) (Metronome, 1997)

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ヴァーンフリート Wahnfried - ドラムスン・ボールズ Drums 'n' Balls (The Gancha Dub) (Metronome, 1997) : Full Album : http://www.youtube.com/playlist?list=PL7iHBNsUOvNGL9Ra6cSd-jiaEwPr91lwj
Recorded at Klaus Schulze Studio, Hambuhren, Beginning of 1997
Released by PolyGram GmbH, Metronome ‎- 539653-2, December 1997
All tracks composed by Wahnfried
(Tracklist)
1. Drums'n'Balls - 15:29
2. Percussy - 12:21
3. House of India - 15:24
4. Bass of Orion - 13:44
[ Personnel ]
Joe "Dum Dum" Loevenstone - ritual percussion
Sloto Olatunye - sirophone, melomanica, bubble drum
Tim Bales - was there
Katarina Nevaseynewa - singing voice
Venus "Fretless" Dupond - bass
Richard Wahnfried - keys, computer, recording, mix

(Original PolyGram/Metronome "Drums 'n' Balls" CD Liner Cover & CD Label)

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 本作はヴァーンフリート・プロジェクト作品としてはかつてない2年連続リリースとなったアルバムかつ現時点でヴァーンフリート・プロジェクト最終作であり、シュルツェ'90年代のアルバムでも'97年11月発売のソロ名義作『ドスブルグ・オンライン』の翌月発表され、次のシュルツェの新作は2,000年代になりますから、シュルツェの20世紀内の新作としては『ドスブルグ・オンライン』とともに最後になったアルバムでもあります。内容はヴァーンフリート前作『トランス・アピール』'96がシームレスとはいえ全11曲に分けられていたのに対して今回は12分半~15分半の楽曲が4曲と明快な構成になっており、のちの再発売でアナログLP化された時は2枚組で各面1曲ずつに振り分けられている通り、通して聴いても連続性がありますが1曲単位でも起伏のある展開で初期3作のリヒャリト・ヴァーンフリート作品ほどではありませんが、ひさしぶりにセッション・プロジェクトらしい音楽性のアルバムになっている。本作の場合ベース、ドラムス、パーカッションにヴォイス・インプロヴィゼーションとアルバム・タイトル通りドラムン・ベースのスタイルに音楽性を寄せたものですが、シュルツェのソロ名義作より開放感のある音楽になっています。シュルツェらしく一定のパターンにエレクトロニクスのインプロヴィゼーションを乗せたものですが、『デューン』'79あたりの作風を思わせる一方それがシークエンサーではなく本作のメンバーたちによる生演奏なのでビートはより自由に細分化されたものになっており、シュルツェによるエレクトロニクス演奏は楽曲ごとのムードの設定で、フィーチャーされているのはドラムスとベースが織りなす基本的ビートへの即興的な絡みによるサウンドのカラーリング効果と言えるでしょう。
 本作はジャンルとしてはアンビエント作品でしょうし、メロディアスな、また和声的なアプローチは最小限にしか現れないので、ロックの文脈から聴いていくとヴォイス・インプロヴィゼーションをフィーチャーしシークエンス・パターンで構成された3曲目「House of India」までやや辛抱を強いられるかもしれませんが、全編の狙いがつかめるとヴァーンフリート作品の掉尾を飾るだけの内容や性格を持っていることがわかる、シュルツェの作品を聴いてきたリスナーには十分報いてくれるアルバムです。ただしリヒャリト・ヴァーンフリート作品は第1作目から順を追って聴かないと狙いのつかみづらい面があるので、優れたロック・バンド編成のセッション・アルバムである初期3作から入るのがより理解しやすいと思われます。

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