……というのを勝手に決めることにしました。このブログの映画感想文でもしょっちゅう言及するコスミック出版の、次の2組のDVDボックスを表彰したいと思います。
*(*は日本未公開作品、**は日本初DVD化作品)
『フランス映画パーフェクトコレクション~フィルム・ノワール 暗黒街の男たち』(2018年11月16日リリース、10枚組・1,800円)
[ 収録作品 ] 1.『犯罪河岸』'47(監督=アンリ=ジョルジュ・クルーゾー)、2.『パニック』'46(監=ジュリアン・デュヴィヴィエ)*、3.『最後の切り札』'42(監=ジャック・ベッケル)、4.『密告』'43(監=アンリ=ジョルジュ・クルーゾー)、5.『デデという娼婦』'48(イヴ・アレグレ)、6.『モンパルナスの夜』'33(監=ジュリアン・デュヴィヴィエ)、7.『ランジュ氏の犯罪』'36(監=ジャン・ルノワール)*、8.『十字路の夜』'32(監=ジャン・ルノワール)*、9.『レミー・コーション / 毒の影』'53(監=ベルナール・ボルドリー)*、10.『この手紙を読むときは』'53(監=ジャン=ピエール・メルヴィル)**
『フランス映画界の至宝 ジェラール・フィリップ コレクション』(2018年12月20日リリース、9枚組・1,800円)
[ 収録作品 ] 1.『狂熱の孤独』'53(監=イヴ・アレグレ)、2.『美しき小さな浜辺』'49(監=イヴ・アレグレ)、3.『愛人ジュリエット』'51(監=マルセル・カルネ)、4.『フレール河岸の娘たち』'44(監=マルク・アレグレ)***、5.『白痴』'46(監=ジョルジュ・ランパン)、6.『失われた想い出』'50(監=クリスチャン=ジャック)**、7.『星のない国』'46(監=ジョルジュ・ラコンブ)、8.『七つの大罪』'52(監=ジョルジュ・ラコンブほか)、9.『ボルゲーゼ公園の恋人たち』'53(監=ジャンニ・フランチョリーニ)***
コスミック出版の10枚組廉価版DVDボックス『パーフェクトコレクション』シリーズは毎月リリースされる2セット(西部劇、戦争映画、ミュージカル、冒険映画、歴史映画、海賊映画、伝記映画、文芸映画、俳優別作品集など)いずれも著作権期限切れ作品集ながら著名作に交えて日本未公開作品、日本初DVD化作品、世界初DVD化作品までさり気なく必ず数作紛れこませており、単品廉価版DVDの価格でも通る1500円~1800円で10枚組DVDボックスを書店流通(書籍扱い)売りをしているというとんでもない出版社です。解説ブックレットなどなくケース裏の収録作品紹介に短く解説文と本国公開年・監督・主演俳優名が載せてあるだけですが、一昨年~昨年の『フランス映画パーフェクトコレクション~ジャン・ギャバンの世界』既刊3集ではジャン・ギャバンの'53年(著作権期限切れ期限年)までの出演作で準主演を演じた第7作から'53年最後の第46作の40作中30作を網羅して日本未公開・日本初DVD化・世界初DVD化作品多数収録、続く『フランス映画パーフェクトコレクション』既刊5集ではトーキー以降'53年度までの(『ジャン・ギャバンの世界』と重複しない)50作もの'30年代~'50年代初頭までのフランス映画の著名作・日本未公開作・隠れ名作を収録。『フランス映画パーフェクトコレクション・舞踏会の手帖』の巻ではサッシャ・ギトリの傑作『毒薬』'51(日本未公開)を日本初DVD化しています。また既刊5集では、ジェラール・フィリップ出演・主演の代表作『パルムの僧院』'47、『肉体の悪魔』'47、『悪魔の美しさ』'49、『輪舞』'50、『花咲ける騎士道』'52、『夜ごとの美女』'53の世評高い'53年までの6作をすでに収録しているので、『フランス映画パーフェクトコレクション~フィルム・ノワール 暗黒街の男たち』と同様、『フランス映画界の至宝 ジェラール・フィリップ コレクション』は既刊の『フランス映画パーフェクトコレクション』とは作品の重複はありません。
『フランス映画パーフェクトコレクション~フィルム・ノワール 暗黒街の男たち』は、ほとんどが日本公開作か未公開作品ながらDVDリリース作ですが、他社からのDVDはパブリック・ドメインにもかかわらず単品で2500円~5000円の価格帯でDVD発売されている作品ばかりであり、しかも『密告』は廃盤です。作品選択は豪勢を極めており、デュヴィヴィエとルノワールの犯罪映画2本ずつにクルーゾーの傑作2本、ベッケルの監督デビュー作『最後の切り札』とアレグレの佳作『デデという娼婦』、さらにゴダールが『アルファヴィル』'65で借りたエディ・コンスタンティーヌの当たり役・探偵レミー・コーション作品の収録も嬉しいですが、何と言っても目玉はジャン=ピエール・メルヴィルの『この手紙を読むときは』でしょう。メルヴィルの日本未公開作品にして日本盤未DVD化作品であり、これで監督作品13本の寡作家メルヴィルの日本盤未DVD化作品は日本未公開作品『フェルショー家の長男』'62と、日本公開時に30分あまり短縮公開されたままDVD化もされない『ギャング』'66のみになりました。このボックスは収録作10作とも必見です。
また『フランス映画界の至宝 ジェラール・フィリップ コレクション』でも単品DVDがパブリック・ドメインにもかかわらず高価なのは同様で、'99年にようやく日本公開された隠れ名作『美しき小さな浜辺』'49、2002年に日本公開された主演デビュー作『星のない国』'46も入っているのですから、単品DVD既発売で日本公開作の初期の主演コメディ『すべての道はローマへ』'49も入れて10枚組にしてほしかったと欲も出ますが、日本未公開・初DVD化作品が3本も入っています。『フレール河岸の娘たち』'44は主演ではありませんがフィリップの映画デビュー作ですし、『失われた想い出』'50と『ボルゲーゼ公園の恋人たち』'53は当時流行のオムニバス映画ですがフィリップ主演のエピソードを含む作品です。このうち『フレール河岸の娘たち』'44と『ボルゲーゼ公園の恋人たち』'53は世界初DVD化になるようです。このボックスと既刊5集の『フランス映画パーフェクトコレクション』収録の代表作6作+『すべての道はローマへ』で、映画デビューから'53年(著作権期限切れ期限年)ジェラール・フィリップ出演・主演作はすべて揃います。
本当はコスミック出版の『パーフェクトコレクション』シリーズは西部劇、戦争映画、ミュージカル、冒険映画ではリリース本数がすごい分さらにとんでもないことなっているのですが(大作『ビッグ・トレイル』'30でデビューするも『駅馬車』'39主演に抜擢されるまで泣かず飛ばずだったジョン・ウェインの'30年代B級西部劇主演作シリーズも既刊4集・40本までリリースしています)、アメリカ映画は不眠不休で一生観てもすべてを観るのは不可能な世界なので、コスミック出版のリリース本数では1/10のフランス映画から選んでみました。問題なのはビデオ・メーカーによるDVD化ではない書籍扱い発売のDVDは正規リリースとして扱わない慣習が日本の映画ジャーナリズム(映画誌・映画サイト)にはあることで、ウィリアム・A・ウェルマンの『英雄を支えた女』、フリッツ・ラングの『暑い夜の疼き』、ニコラス・レイの『不屈の男たち(ラスティ・メン)』などのアメリカ映画(上げればきりがないほどあります)はおろか、ここに上げた『毒薬』『この手紙を読むときは』『フレール河岸の娘たち』『失われた想い出』『ボルゲーゼ公園の恋人たち』もコスミック出版からリリースされても映画誌・映画サイトでは日本未公開・日本未DVD化扱いされ続けることです。それは業界の都合ということなのでしょうが、『ジャン・ギャバンの世界』に収録されていた隠れた佳作・名品『リラの心』『面の皮をはげ』『夜は我がもの』『ベベ・ドンジュについての真相』『彼らの最後の夜』なども日本未公開だったり日本未DVD化扱いのまま気づかれないで終わってしまう。これは残念なことではないでしょうか。
*(*は日本未公開作品、**は日本初DVD化作品)
『フランス映画パーフェクトコレクション~フィルム・ノワール 暗黒街の男たち』(2018年11月16日リリース、10枚組・1,800円)
[ 収録作品 ] 1.『犯罪河岸』'47(監督=アンリ=ジョルジュ・クルーゾー)、2.『パニック』'46(監=ジュリアン・デュヴィヴィエ)*、3.『最後の切り札』'42(監=ジャック・ベッケル)、4.『密告』'43(監=アンリ=ジョルジュ・クルーゾー)、5.『デデという娼婦』'48(イヴ・アレグレ)、6.『モンパルナスの夜』'33(監=ジュリアン・デュヴィヴィエ)、7.『ランジュ氏の犯罪』'36(監=ジャン・ルノワール)*、8.『十字路の夜』'32(監=ジャン・ルノワール)*、9.『レミー・コーション / 毒の影』'53(監=ベルナール・ボルドリー)*、10.『この手紙を読むときは』'53(監=ジャン=ピエール・メルヴィル)**
『フランス映画界の至宝 ジェラール・フィリップ コレクション』(2018年12月20日リリース、9枚組・1,800円)
[ 収録作品 ] 1.『狂熱の孤独』'53(監=イヴ・アレグレ)、2.『美しき小さな浜辺』'49(監=イヴ・アレグレ)、3.『愛人ジュリエット』'51(監=マルセル・カルネ)、4.『フレール河岸の娘たち』'44(監=マルク・アレグレ)***、5.『白痴』'46(監=ジョルジュ・ランパン)、6.『失われた想い出』'50(監=クリスチャン=ジャック)**、7.『星のない国』'46(監=ジョルジュ・ラコンブ)、8.『七つの大罪』'52(監=ジョルジュ・ラコンブほか)、9.『ボルゲーゼ公園の恋人たち』'53(監=ジャンニ・フランチョリーニ)***
コスミック出版の10枚組廉価版DVDボックス『パーフェクトコレクション』シリーズは毎月リリースされる2セット(西部劇、戦争映画、ミュージカル、冒険映画、歴史映画、海賊映画、伝記映画、文芸映画、俳優別作品集など)いずれも著作権期限切れ作品集ながら著名作に交えて日本未公開作品、日本初DVD化作品、世界初DVD化作品までさり気なく必ず数作紛れこませており、単品廉価版DVDの価格でも通る1500円~1800円で10枚組DVDボックスを書店流通(書籍扱い)売りをしているというとんでもない出版社です。解説ブックレットなどなくケース裏の収録作品紹介に短く解説文と本国公開年・監督・主演俳優名が載せてあるだけですが、一昨年~昨年の『フランス映画パーフェクトコレクション~ジャン・ギャバンの世界』既刊3集ではジャン・ギャバンの'53年(著作権期限切れ期限年)までの出演作で準主演を演じた第7作から'53年最後の第46作の40作中30作を網羅して日本未公開・日本初DVD化・世界初DVD化作品多数収録、続く『フランス映画パーフェクトコレクション』既刊5集ではトーキー以降'53年度までの(『ジャン・ギャバンの世界』と重複しない)50作もの'30年代~'50年代初頭までのフランス映画の著名作・日本未公開作・隠れ名作を収録。『フランス映画パーフェクトコレクション・舞踏会の手帖』の巻ではサッシャ・ギトリの傑作『毒薬』'51(日本未公開)を日本初DVD化しています。また既刊5集では、ジェラール・フィリップ出演・主演の代表作『パルムの僧院』'47、『肉体の悪魔』'47、『悪魔の美しさ』'49、『輪舞』'50、『花咲ける騎士道』'52、『夜ごとの美女』'53の世評高い'53年までの6作をすでに収録しているので、『フランス映画パーフェクトコレクション~フィルム・ノワール 暗黒街の男たち』と同様、『フランス映画界の至宝 ジェラール・フィリップ コレクション』は既刊の『フランス映画パーフェクトコレクション』とは作品の重複はありません。
『フランス映画パーフェクトコレクション~フィルム・ノワール 暗黒街の男たち』は、ほとんどが日本公開作か未公開作品ながらDVDリリース作ですが、他社からのDVDはパブリック・ドメインにもかかわらず単品で2500円~5000円の価格帯でDVD発売されている作品ばかりであり、しかも『密告』は廃盤です。作品選択は豪勢を極めており、デュヴィヴィエとルノワールの犯罪映画2本ずつにクルーゾーの傑作2本、ベッケルの監督デビュー作『最後の切り札』とアレグレの佳作『デデという娼婦』、さらにゴダールが『アルファヴィル』'65で借りたエディ・コンスタンティーヌの当たり役・探偵レミー・コーション作品の収録も嬉しいですが、何と言っても目玉はジャン=ピエール・メルヴィルの『この手紙を読むときは』でしょう。メルヴィルの日本未公開作品にして日本盤未DVD化作品であり、これで監督作品13本の寡作家メルヴィルの日本盤未DVD化作品は日本未公開作品『フェルショー家の長男』'62と、日本公開時に30分あまり短縮公開されたままDVD化もされない『ギャング』'66のみになりました。このボックスは収録作10作とも必見です。
また『フランス映画界の至宝 ジェラール・フィリップ コレクション』でも単品DVDがパブリック・ドメインにもかかわらず高価なのは同様で、'99年にようやく日本公開された隠れ名作『美しき小さな浜辺』'49、2002年に日本公開された主演デビュー作『星のない国』'46も入っているのですから、単品DVD既発売で日本公開作の初期の主演コメディ『すべての道はローマへ』'49も入れて10枚組にしてほしかったと欲も出ますが、日本未公開・初DVD化作品が3本も入っています。『フレール河岸の娘たち』'44は主演ではありませんがフィリップの映画デビュー作ですし、『失われた想い出』'50と『ボルゲーゼ公園の恋人たち』'53は当時流行のオムニバス映画ですがフィリップ主演のエピソードを含む作品です。このうち『フレール河岸の娘たち』'44と『ボルゲーゼ公園の恋人たち』'53は世界初DVD化になるようです。このボックスと既刊5集の『フランス映画パーフェクトコレクション』収録の代表作6作+『すべての道はローマへ』で、映画デビューから'53年(著作権期限切れ期限年)ジェラール・フィリップ出演・主演作はすべて揃います。
本当はコスミック出版の『パーフェクトコレクション』シリーズは西部劇、戦争映画、ミュージカル、冒険映画ではリリース本数がすごい分さらにとんでもないことなっているのですが(大作『ビッグ・トレイル』'30でデビューするも『駅馬車』'39主演に抜擢されるまで泣かず飛ばずだったジョン・ウェインの'30年代B級西部劇主演作シリーズも既刊4集・40本までリリースしています)、アメリカ映画は不眠不休で一生観てもすべてを観るのは不可能な世界なので、コスミック出版のリリース本数では1/10のフランス映画から選んでみました。問題なのはビデオ・メーカーによるDVD化ではない書籍扱い発売のDVDは正規リリースとして扱わない慣習が日本の映画ジャーナリズム(映画誌・映画サイト)にはあることで、ウィリアム・A・ウェルマンの『英雄を支えた女』、フリッツ・ラングの『暑い夜の疼き』、ニコラス・レイの『不屈の男たち(ラスティ・メン)』などのアメリカ映画(上げればきりがないほどあります)はおろか、ここに上げた『毒薬』『この手紙を読むときは』『フレール河岸の娘たち』『失われた想い出』『ボルゲーゼ公園の恋人たち』もコスミック出版からリリースされても映画誌・映画サイトでは日本未公開・日本未DVD化扱いされ続けることです。それは業界の都合ということなのでしょうが、『ジャン・ギャバンの世界』に収録されていた隠れた佳作・名品『リラの心』『面の皮をはげ』『夜は我がもの』『ベベ・ドンジュについての真相』『彼らの最後の夜』なども日本未公開だったり日本未DVD化扱いのまま気づかれないで終わってしまう。これは残念なことではないでしょうか。